コールセンターでの目標管理方法とは? コツと例を徹底解説!
コールセンターやコンタクトセンターでは、電話で顧客対応を行うプロたちが、日々お客様からの問い合わせに対応しています。
コールセンターでの業務はビジネスとお客様の関係をつなぐ重要な役割を持っており、オペレーター達が目標を持って対応を行うことは、サービスの品質を左右したり、モチベーションの向上に繋がります。しかし、コールセンターの目標管理をどのように行えばよいのか、あまりイメージできないというマネージャーの方もいるのではないでしょうか?
この記事では、目標設定の目的や手順、設定の際のポイントや、KPIの意味などについて解説します。目標管理を始めてみたい、見直してみたい時などに、ぜひ参考にしてみてください!
コールセンターにおける目標管理が大切な理由
コールセンターやコンタクトセンターにおける目標管理の重要性は、どこにあるのでしょうか?
目標管理が大切な理由は、大きく分けて3つ挙げられます。この章では、それぞれのポイントやメリットについて解説していきます。
応対・接続品質の向上
1つ目の理由は、問い合わせ応対の質の向上に繋がるからです。
コールセンターでは、顧客からの問い合わせが不定期に発生します。しかし、目標を持たずに応対にあたっていると、自分の対応にどのような傾向があるのかを考えたり、どのくらい良い応対ができているのかを振り返るチャンスが無いため、応対時のメリハリも弱くなってしまいます。
しかし、応対に関して発生する受注率や応答率を定量的に算出して意識したり、回答力や問題解決力を評価し向上することによって、自分のスキルを客観的に捉えることができます。
そのため、目標というゴールを設定し、自分の現在地と照らし合わせることによって自分のスキルを研鑽する必要気づき、それぞれのメンバーが応対や接続の質を高めることに繋がります。
生産性の向上
2つ目の理由は、生産性の向上に繋がるからです。
コールセンターにおける生産性の向上とは、具体的には1回の対応における通話~後処理時間の短縮を指します。例えば、一件ごとの対応に長く時間がかかればかかるほど、一日に対応できるトータル件数は少なくなってしまいます。
しかし、目標設定において通話時間や後処理時間の短縮を目指すことによって、対応チーム全体で処理できる問い合わせ件数を増やすことにつながり、結果として生産性のアップを見込むことができます。
顧客満足度の向上
3つ目の理由は、お客様の満足度に繋がるからです。
コールセンターでの応対に対して、お客様の不満が溜まってしまうシーンはいくつか挙げられます。
例えば、なかなか電話に出てもらえない時や、質問に対する回答が得られなかった時などです。
このような問題を解決する手段としても、目標設定が有効です。電話応対までの待ち時間が問題なのであれば、通話時間や後処理時間の短縮や、応答率の改善、応対内容の見直しなどが求められるでしょう。また、回答を的確にお客様に伝えるには、スクリプトの改善やフローチャートに沿った応対などの、インプット知識の見直しが必要かもしれません。
そのため、このような改善内容を組み込んだ目標設定により、お客様のストレスの解消にも繋がり、顧客満足度の向上を期待することができます。
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コールセンターにおける目標管理の手順
では、実際にオペレーターは目標管理を行い応対やサービスの改善を目指すには、どのように目標設定を行えばよいのでしょうか?
コールセンターにおける具体的なKGIやKPIの例やをもとに、レベルアップのための目標設定の手順を解説していきます。
最終目標(KGI)を設定
まず行って欲しいのが、最終目標(KGI)の設定です。KGIとは、「KeyGoalIndicators」の略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。
これは、企業や事業で設定した目標を達成しているかどうかを計測するための指標であり、企業やチーム全体で目指している最終目標に該当します。
例えば、オペレーターチームにおけるKGIとしては、
「新規顧客獲得率〇%アップ」「応答率〇%改善」「商品リピート率前年比〇%アップ」などが例として挙げられます。このように、KGIを設定する際には、具体的な数字を用いるようにしましょう。
なぜなら、数字を用いることによって達成率の計算が可能になるからです。例えば、「頑張って顧客獲得率を伸ばす」や「サービスのファンを増やす」といった目標を立ててしまうと、何を基準に「獲得率が伸びた」「ファンが増えた」と判断すればよいのかが分からなくなってしまいます。
そのため、KGIは定量的に、かつ具体的に設定する必要があるのです。
KGI達成のために必要な要素を洗い出してKPIを設定
最終目標として設定したKGIから、達成のために必要になる要素を洗い出し、KPIを設定していきます。KPIとは「KeyPerformanceIndicator」の略で、日本語では「重要業績評価指数」と訳されます。KPIは、KGIを達成するために設定していきます。別の表現をするならば、KGIが「長期目標」なのに対してKPIが「中間目標」となります。
例えば、「新規顧客獲得率〇%アップ」を目標としたとき、達成のために必要な要素は以下のように考えられます。
・受付時間の延長
・オペレータの育成&増員
・電話以外にチャットやメール、chatボットなどのチャネルで対応を始める
・1回の応対時間を削減する
この要素を業務に落とし込むことで、KPIを設定します。KGIを設定することによって、おおよそのKPI目標値が算出できるようになります。
「新規顧客獲得率〇%アップ」を目標としたときに設定できるKPIは、以下のように考えられます。
・サービスレベル(SL)〇%アップ
・平均応答速度(ASA)を2分以内に収める
数値を設定する際には、現状のデータを分析した上で無理のないレベルに設定しましょう。
KPIの数値目標とそれに応じたタスクを立てる
KPIを設定したあとは、KPI達成に向けてタスクを具体的にしています。
タスクを設定する際には、日々の取り組みの内容を変更することも大切ですが、そもそもシステムの整備や人員配置で解決できるものがないかを考えてみましょう。それでも改善されなかった業務に関しては、タスクとして設定することによって、適切で無駄のない人材の運用が可能になります。
例えば、「新規顧客獲得率〇%アップ」のためには、「平均応答速度を2分以内に収める」というKPI目標を立てることができます。
「平均応答速度を2分以内に収める」というKPI目標を達成するためのタスクとしては、以下のような内容が挙げられます。
- 後処理が効率よく行えるように、内容記録のフォーマットを設定しておく
- 顧客情報を記録する際に、全て手入力するのではなく、プルダウン選択ができるようにする
- 手の空いているスタッフが同時に会話をヒアリングし、代わりに記録やメモを行うようにする
このようなタスクに関しては、メンバーへの共有はもちろんですが、いつでも意識できるように「見える化」しておくことも有効的です。
目標の進捗を確認してPDCAサイクルを回す
最後に、タスクを実行しつつも目標の進捗を確認し、必要であれば改善を加えPDCAを回していきます。
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の4つの頭文字を繋げた用語です。PDCAのサイクルを意識しながらタスクを実行し、エラーが出た際には対策や改善をしていくことによって、全体的な品質の向上に繋がります。
例えば、「顧客情報を記録する際に、全て手入力するのではなく、プルダウン選択ができるようにする」というタスクを実行したのに、平均応答速度がなかなか縮まらなかったとします。
その場合には、プルダウンの選択肢が本当に必要で使い易いものに設定されているか?むしろ手入力の方が記録が早いものを、プルダウンに設定してしまっていないか?を確認し、必要であれば内容の改善を行います。
このように仮説と検証を繰り返し、品質を向上していくことが「PDCAサイクルを回す」ということです。
PDCAサイクルを回すことによって「平均応答速度を2分以内に収める」というKPIを達成し、そのほかのKPI目標も同じように達成していくことによってKGIである「新規顧客獲得率〇%アップ」の達成へと繋がります。
KPIとは
KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語では重要業績評価指標とも呼ばれます。
KPIは、企業が設定した目標の達成過程を評価する中間指標として、最終的な目標達成に向かうためのプロセスが滞りなく実行されたかを計測します。
KPIは、KGIと併せて設定されるのが一般的です。KGIはKey Goal Indicatorの略で、日本語では重要目標達成指標と呼ばれます。両者の違いは、KPIが「中間目標」であり、KGIが「最終目標」である点にあります。
例えば、「本年度業績20%アップ」といった最終的な目標がKGIであれば、KGI達成のために設定される「公式サイト経由の月間予約件数10%アップ」といった目標がKPIとなります。
そのため、まずはKGIを設定した上で、KGI達成のために必要なプロセスや要素を分解し、KPIを設定する必要があるということです。
そうすることで、KPIを達成すれば自ずとKGIの達成に繋がるのです。
KPIの目標設定はSMARTの法則を活用する
KPI設定をする際には、「SMARTの法則」というフレームワークを基準に考えましょう。「SMART」はSpecific・Measurable・Achievable・Related・Time-boundedlyの略で、各単語の意味は以下のとおりです。
・Specific: 具体的な内容であるか
・Measurable :計測できるか
・Achievable :達成可能か
・Related :最終目標に関連しているか
・Time-bounded :期限が設定されているか
目標を設定する際には、これらSMARTの法則に当てはめて、「YES」と答えられるかを自問してみましょう。
SMARTの法則にならってKPIを設定すれば、「半年後までに成約率を20%アップ」、「新規顧客を月10人から20人に増やす」のように、目標達成に必要な行動がより明確になります。
このように、最終目標に繋げることを意識しながら、効果的にKPIの目標設定を行いましょう。
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コールセンターの重要なKPI例6選
では、コールセンターの業務においてはどのようなKPIが設定されているのでしょうか?
オペレーター業務において設定できるKPIは、実は全部で100種類以上あるとされています。この章では、その中でも特に重要な6つのジャンルのKPIについてご紹介します。それぞれの特徴を理解した上で、皆さんの課題や改善点に合わせてKPIを導入した目標設定の際に利用してみてください。
1.応答率
応答率とは、着信件数に対してスタッフが対応した数の割合を指すものです。
応答率割合が高いスタッフほど、多くのお客様対応を行っていると言えます。そのため、先月の応答率やチームの平均応答率を算出し、その割合に対して「〇%を超える」のように目標を立てることが可能です。
例えば、コールセンターでのお客様対応において応答率を算出するには、【(対応件数÷着信数)×100】という計算式になります。
応答率を目標設定に組み込む際には、
「入社から2か月後までに、応答率90%を達成する」のように目標を設定することが可能です。
お客様が電話をかけてきたとしても、オペレーターが対応できないと断念させたり、何度も電話をかけさせたりすることになります。そのような状況では、どうしても顧客満足度の低下は避けられません。そのため、応答率に関する目標を設定し達成することが、顧客満足度の向上にも繋がるのです。
2.稼働率
稼働率とは、稼働時間内の対応時間を指すものです。稼働率の数値が高いスタッフは、作業時間内に多くの作業をしていると言えます。そのため、先月の稼働率を算出し、その稼働率に対して「今月は〇%上げる」のように目標を立てることが可能になります。
例えば、コールセンターでの問い合わせ対応において稼働率を算出するには、【(会話時間+後処理時間+その他時間)÷作業時間】という計算式になります。
稼働率を目標設定に組み込む際には、「先月の稼働率75%に対して、今月は5%高い80%を達成する」のように具体的な数値として設定することができます。
稼働率は、業務時間内の効率の良さや生産性の高さとも言えます。会社の評価制度に反映するのにもおすすめです。
3.応対品質関連のKPI
応対品質とは、「オペレーターと顧客が電話で会話を行う際の品質」を表します。この数値が低いと、どんな優れたサービスや商品も売れません。そのため、コールセンターでKPIを設定する際は、まず応対品質の改善から始めるとよいとも言われています。
応対品質に関連したKPIは以下の通りです。
サービスレベル(SL)
サービスレベルとは、コールセンターにおいて品質に関する指標として用いられるKPIのひとつです。
設定された時間内でオペレーターが対応したコール数の割合を表しています。
例えば、30秒以内に受電するという基準を設けたとします。集計までの間に100件の入電があり、そのうち基準値である30秒以内に受電できた件数が50件だとすると、この際のサービスレベルは50%です。
待ち時間が長いと、「つながりにくいコールセンター」といった印象を与えてしまいます。そのため、品質を考えるうえでサービスレベルは重要な指標といえます。
平均応答速度(ASA)
平均応答速度はASAとも言われます。ASAとは「Average Speed of Answer」の略で、コンタクトセンターにおいては顧客から入電があってからオペレーターが応答するまでの平均時間を指す指標のことを指します。
ASAは、【着信からオペレーターが応答するまでの時間の総計 ÷ 総入電数】という計算式で求めることができます。
ASAを目標として設定する場合は、基本的に数値の短縮を目指した目標を立てるとよいでしょう。問い合わせたいことがある顧客にとって、待ち時間は心理的に長く感じられます。そのため、ASAを短くすることによって顧客満足度の向上に繋がります。
放棄呼率
放棄呼率とは、顧客がコールセンターに電話した際、オペレーターにつながる前に電話を切ってしまった件数の割合を表します。そのため放棄呼率の数字か小さいほど、お客様対応が多く行えているということになり、放棄呼率が大きいほど対応が十分に行えていないということになります。
コールセンターにおける放棄呼率は、【着信に出なかった件数÷着信数 】or【 100-応答率】という計算式で求められます。
放棄率を目標設定に組み込む際には、「3か月後までに毎月の放棄率を5%以下を目指す」のように、「〇%以下」というキーワードを用いて設定するのがおすすめです。
この際に、「0%を目指す」のように極端な目標を設定してしまうと、難易度が高すぎるほか、一度着信に出られなかっただけで目標達成が不可能となってしまい残りの期間のモチベーション維持が難しくなってしまいます。そのため、幅を持たせた数値の目標設定を行うよう注意しましょう。
4.顧客満足度関連のKPI
顧客満足度とは、「企業のサービスやコールセンターに対して、顧客がどれだけ満足しているか」を表します。満足度が低い場合、顧客はリピーターにならず、別の企業へ去ってしまうでしょう。効率性のみを追求すると低下しやすいので、「顧客目線での対応ができているか」は常にチェックしてください。
顧客満足度に関連したKPIは以下の2つです。
顧客満足度
顧客満足度では、お客様側が対応を通じてどのくらい満足したか、疑問が解決されたと感じるかを知ることができます。顧客満足度は、一見データ化するのが難しいようにも思えますが、工夫次第で計測をすることが可能です。
顧客満足度を測るための代表的な手段は、アンケートの実施です。アンケートでは「オペレーターのお客様対応はいかがしたか?」のような質問に答えてもらう形式のオープンクエスチョンではなく、質問に対して5段階評価で答えてもらうタイプの問いかけが適切です。質問に数値で答えてもらうことにより、結果を集計した際に定量として評価をデータ化することが可能になります。
また、お問い合わせの定型文に返信いただいた回数や、課題を解決させるまでのやりとりの回数などでも判断できます。
顧客満足度に関しては、「スタッフの対応に関する満足度を現状の3.5から3.8にアップさせる」「お客様の疑問を、オペレーターに繋いでから3往復以内に解決させる」のように設定が可能です。
顧客推奨度
顧客推薦度は、ネットプロモータースコア(NPS®)とも呼ばれます。ネットプロモータ―スコアとは、顧客の親密度や満足度を測定するための指標です。ネットプロモータースコアを分析することで、顧客が企業やサービスを友人や周囲の人々にどの程度おすすめしてくれたを把握することができます。
また、顧客満足度と完全に一致するわけではありませんが、ネットプロモータースコア分析で他者への推奨度を計測し、顧客満足度の判断基準とする手法もあります。
〈測り方〉
NPS®を測るには、「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という質問を行い、0~10の11段階で評価をしてもらいます。
〈計算方法〉
NPS®スコアの計算方法は非常にシンプルで、9~10点を付けた顧客を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類する。
回答者全体に占める【推奨者の割合】から【批判者の割合】を引いて出てきた数値がNPSスコアの値となります。
顧客がサービスや商品に満足したうえで、さらに「誰かにおすすめしたい」と感じるのは、顧客本人が非常に満足してくれたことを意味します。そのため、NPS®スコアを算出し目標設定を行うことで、表面的ではない顧客満足度を追求することができます。
5.効率性関連のKPI
効率性とは、「オペレーターが顧客対応をどれほど効率的に行っているか」を表します。効率性が低いと、本来必要な人数よりも多い人員が必要となり、人件費が増大して採算性が悪化します。オペレーターの研修はしっかり行い、効率性も少しでも向上させることが重要です。
効率性に関連したKPIは以下の通りです。
AHT(平均処理時間)
Average Handling Timeとは、平均処理時間を指します。ACWが1件ずつの処理時間を算出しているのに対し、AHTは対応開始から対応終了までのトータル時間を表しています。AHTを知ることによって、対応しながら処理を進める場合の作業効率を把握することができます。
AHTは【(総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答件数】の計算式で求められます。
AHTを目標設定に組み込む際には、
「AHTを先月よりも10%短縮させる」のように組み込むことが可能です。
AHTの算出では、適切なスピードで業務が行えているかだけでなく、処理プロセスや個人パフォーマンスの課題を洗い出すこともできます。
しかし、無理に通話時間を無理に短くしようとすると、お客様の満足度が低下してしまいます。そのため、AHTを改善するには、保留時間を短くするほか、後処理工程を見直しするなど、応答時間以外の時間を削減し生産性を向上させる事が重要です。
ACW(平均後処理時間)
ACWとは、After Call Workの略で、後処理にかかる時間を指します。後処理とは、コールセンターのオペレーターが顧客との通話を終えた後、顧客の問い合わせ内容や意見の内容をまとめて応対記録を専用のシステムに入力するといった作業のことです。そして、こうした後処理作業にかかる時間の平均をACWと言います。
当たり前ですが、処理時間が長いことによって新しいお客様の対応までの時間に影響が出る可能性も高くなります。
ACWは【合計後処理時間÷総応答件数】の計算式で求められます。
ACWを目標設定に組み込む際には、
「先月よりもACWを20%以上減少させる」「2分を超えるACWを5件以内におさめる」のように具体的に設定するのがおすすめです。
ATT(平均通話時間)
ATTとはAverage Talk Timeの略で、通話の開始から終了までの通話が接続している時間数のことを指します。先程紹介したACWに対して、ATTが意味するのは顧客との通話に限った平均時間です。
ATTは【通話時間の合計÷総コール数(対応件数)】という計算式で求めることができます。
ACW・ATTはいずれも最初に紹介したAHTの構成要素であり、これらの合計がAHTとなります。例えば、顧客との通話にかかった平均時間(ATT)が20分で、そのあとの後処理にかかった平均時間(ACW)が5分であれば、AHT(平均処理時間)はその合計の25分となります。
CPC(通話コスト)
CPCとはCost Per Call(コスト・パー・コール) の略であり電話応対1コールにかかるコストのことを指します。
CPCは、【全体コスト÷通話数】という計算式で求められます。
ここに含まれる【全体コスト】の算出には、オペレーターの直接人件費のほかにも、管理者や責任者などの人件費も計上します。さらに、センタースペースや設備などのインフラコスト、CRMシステムやFAQシステムなどのIT関連コスト、通信コストなど、コールセンター・コンタクトセンターを構成する全てのコスト要素を織り込んで計算することが望ましいです。
6.マネジメント関連のKPI
マネジメントとは、「オペレーターのモチベーションをどれだけ維持できているか」を表します。コールセンターは人の入れ替わりが激しく、既存オペレーターに対するマネジメントを怠ると欠勤・離職が相次ぐので注意しましょう。
マネジメントに関連したKPIは以下の通りです。
欠勤率
コールセンターの仕事は、ある程度代わりがきく業務です。そのため、欠勤率を算出することで、メンバーの出勤バランスを客観的に捉えることができます。
欠勤率は、【欠勤日数÷予定勤務日数】という計算式で求められます。
例えば、20日出勤予定で1日欠勤した場合の欠勤率は、「1÷20日」で5%となります。
目標としては0に抑えることが望ましいですが、実際はオペレーターの体調不良や公共交通機関の遅延、その他トラブルなどでやむを得ないことが多いです。そのため、欠勤が出てもカバーができる仕組みを準備しておくことが大切です。
離職率
離職率とは、ある時点で企業に雇用されていた従業員のうち、一定期間で離職した人の割合を指します。企業での働きやすさとも関連しているため、求人票などに記載されているのを見ることもあるでしょう。
離職率は、【離職者数÷従業員数×100】という計算式で求められます。
離職率の計算においては、企業側が期間や従業員の対象を自由に設定することで、さまざまなパターンの割合を算出することができます。離職率が突然上がったり、高い数字が続いている場合には、原因を考察し、何らかの対処が必要と言えるでしょう。
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目標管理の際のコツ
ここまではコールセンターにおける目標管理の基本を説明しました。最後に、目標管理を行う際の2つのコツをお伝えします!
オペレーターとの目標設定の際に、参考にしてみてください。
設定した目標に囚われすぎない
1つ目のコツは、設定した目標に囚われすぎて、負担のかかる運用にしないことです。なぜなら、設定を厳格にしすぎてしまうと、イレギュラーが起きた時に調整が難しくなってしまうからです。
確かに、KPIを掲げてレベルアップや業務効率化を目指すことは大切です。しかし、コールセンターはイレギュラーな事例が発生することの多い現場でもあります。そのため、イレギュラーや前例のないエラーが起きても対処できるよう、ルールの厳格化は避けたほうがよいでしょう。
そして、ルールを厳格化しない代わりに、マネジメント側が目標管理のサポートをし、制度を運用していくことが大切です。困難やトラブルは、現場の実情に対して目標の難易度が合っていなかったり、ズレた目標が設定されていた場合に発生しがちです。そのため、目標設定の段階からマネジメントを行うことが重要となります。
目標設定の段階で上司が内容が現実的であるかを見極め、目標達成を目指す段階でもメンバーにストレスがかかりすぎる状況でないかをチェックし、サポートすることが大切です。
週一で進捗を確認するようにする
2つ目のコツは、マネジメント側によるこまめな進捗の確認です。なぜなら、確認をこまめに行わないでいると発生しそうな問題を予測できず、問題が大きくなってからの対処に追われやすいからです。
目標を管理するには、マネージャーによるサポートが必要不可欠です。細やかな管理によって、問題が小さいうちに解決に向けて介入することが可能になります。
しかし、複数人での会議において問題の解決を目指そうとすると、どうしても個々の能力の差やスキルの問題に合わせた調整を行うことが難しく、ズレが放置されたままとなりがちです。
しかし、上司と部下間で何度かの1on1ミーティングを行うことによって、個別の目標に対してアドバイスを行ったり、進捗状況の調整を行うことが可能となります。結果的に、複数人でミーテイングを行うよりもスピーディーで細やかなアプローチが可能になり、メンバーの成長にも繋がります。
そのため、1on1ミーティングの活用は、オペレーターの対応がダイレクトに顧客に伝わりやすいコールセンターの目標管理において、大きなメリットとなります。
まとめ
コールセンター業務における目標管理は、営業やマーケティング職と異なり評価基準があいまいになりがちなカスタマーサービス(CS)というジャンルにおいて、重要な基準となります。
そのため、適切なKPIを設定し、明確な数値目標を持たせることが、コールセンター改革実現の第一歩となります。
自社の業務内容や業績目標をもとに、最適なKPIを導入し、目標達成に役立てましょう!
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