中小企業の目標管理方法! 導入しやすいやり方やコツ・例を徹底解説!

中小企業が目標管理を行うにはどうしたらよいのでしょうか?中小企業では、初めて目標管理制度や人事制度を導入する機会も少なくありません。

制度を導入する際に考えておきたいのが、運用の方法はもちろん、運用のメリットやコツです。はじめは、安定した制度を構築するまでに手間と時間がかかるかもしれませんが、ポイントを理解しておくことによって、よりスムーズな導入が可能になります。

そこで、導入初期をよりスムーズにしていくためにも、目標管理において気を付けていただきたいポイントや事例をご紹介します。
中小企業での制度の運用に向けて、ぜひ参考にしてみてください。

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中小企業で目標管理をするメリット

目標管理制度は、大手企業を中心に多くの企業が採用している仕組みです。
中小企業においても、個人ごとに目標を設定し管理できるこの制度は、企業の目標達成や人事評価において大きなメリットを発揮します。

この章では、目標管理によって中小企業が得られるメリットについて詳しく解説していきます。

モチベーションが向上する

1つ目のメリットは、従業員のモチベーションの向上に繋がる点です。なぜなら、目標があることによって目指すべきものが明確になり、さらに達成時に評価されることによって、自分の努力を認めてもらうことができるからです。

中小企業が大企業と異なるのは、一人ひとりの従業員の介在価値が大きい点です。そのため、一人ひとりのモチベーションが高いことが企業の成長に直結しやすいのです。

また、目標がないと「最終的にどこに向かえばよいのかわからない」状態となり、何のために仕事をしているのかがわかりません。しかし、自分で目標を考え目標達成への計画を立てることによって、ワクワク感と納得感を保つことが可能です。

さらに、目標管理においては上司による適切なフィードバックが行われることにより、目標達成を目指してモチベーションががアップします。

このように、目標管理によって従業員のやる気がアップすることで、中小企業にとっては大きなメリットをもたらしてくれます。

経営理念が浸透しやすくなる

2つ目のメリットは、目標管理によって企業の経営理念が全員に浸透しやすくなる点です。なぜなら、個人目標は常に企業の目標達成を目指すことに繋がっているため、同時に企業が求めるものをに関心を持つことが、必要不可欠となるからです。

経営理念とは、経営者の考えや経営哲学を表したものです。例えば、Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業」という経営理念を掲げています。

経営理念には具体的な内容が提示されていないことが多いため、従業員に理解が及んでいない場合もあります。しかし、企業にとっては経営理念の実現が、組織としての最大目標でもあります。
そのため、個人の目標の設定と達成は、企業の経営理念を実現するためのマイルストーンとなる必要があります。
つまり、個人が目標を設定する際には、その目標を達成することによって経営理念も達成できると言えるかどうかがポイントとなります。

このように、目標管理は最終的には会社の目標を達成するために行われます。そのため、会社の目標と個人の目標が一致すると、会社の求めていることが理解でき、経営理念が浸透しやすくなります。

客観的な人事評価ができる

3つ目のメリットは、人事評価がより客観的に行える点です。なぜなら、目標管理では、目標に対する取り組みの過程や進捗、結果などが明確になるため、達成率などの明確な数字で人事評価を行うことができるからです。

例えば「1ヵ月以内に新規の顧客を5%以上増やす」という目標では、1ヵ月後の新規顧客数を1ヵ月前の新規顧客数と比較することで増加率を計算することができ、達成できたかどうかの判定がしやすくなります。もし未達成となった場合でも、達成率や結果が明確な数字で算出できれば、客観的な評価が可能です。

また、人事管理制度によって評価の結果を給与や昇進に反映させることで、本人とマネジメント側の双方が納得のいく制度の構築が可能です。
このように、目標管理制度によって人事評価を公正に行うことができ、本人へ結果が還元されることによってモチベーションのアップにもつながるという相乗効果もあります。

中小企業で目標管理を行う際のコツ

では、中小企業で目標管理を導入するにあたって、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか?
この章では、新たに体制を取り入れることも多い中小企業での目標管理において、より効果的な運用を行う為にも重要な2つのコツについて解説していきます。

制度策定時に管理職のメリットを伝えておく

1つ目のコツは、目標管理制度をマネージャーとして牽引していく立場である管理職の人材に、マネジメント側のメリットを伝えておくことです。なぜなら、管理職は新しい管理制度の運用を負担に感じている場合も多く、メリットを理解できていないと協力的なマネジメントを得られない可能性があるからです。

確かに、新しい制度の導入を行う際には現在行っている業務ペースやプロセスに変更を加える必要が出てきます。そのため、運用開始は一見負担となるように感じる場合もあります。
しかし、実際には目標管理制度を導入することによって、目指すべきものが明確となり、部下メンバーへの指摘が行いやすくなったり、仕事を振りやすくなるというメリットがあります。

また、制度策定時には、評価基準が各部署の業務内容に合っているかどうかを、評価者でもあるマネジメント層に検証しておいてもらう必要があります。制度導入後においては、評価内容が実態に合わなくなればその都度修正を加えていくことになりますが、その際にもマネジメント側の経験に基づく提案があれることで、スムーズな改定が実現します。

このように評価制度が整備されることによって、現場の実態に即した評価を行うことができ、公平・公正な評価を行うことによって実際に業務を行うメンバーの納得度も高まります。

そのため、評価者となる管理職側が制度策定に関して深く理解していることが重要であり、そのメリットを知った上で、当事者としてマネジメントを行っていくことがポイントとなります。

最初から完璧を求めすぎないようにする

2つ目のコツは、制度の運用を開始する直後から完璧を求めないことです。なぜなら、制度運用のゴールは完璧な施策の運用ではなく、制度自体を自社に適したものへと育てていくことだからです。

初めての人事制度の運用では、どれだけ検討や修正を重ねて準備したとしても、実際に現場で導入・運用していくと徐々に問題が生じてくるものです。しかしこの際に重要なのは、制度設計が完璧でなかったことを反省し、失敗とみなすことではなく、一つひとつの問題を丁寧に修正していくことです。

特に中小企業において前例のない制度の導入となると、エラーが発生してしまうことは当然と言えます。よくあるエラーとしては、「評価結果にバラつきが生じる」「事業の内容の変化によって評価項目が合わなくなる」などが挙げられます。しかし、大企業よりも人数の少ない中小企業においては、改善策の実施を判断しやすかったり、少し攻めた目新しい案の実施でも取り組みやすいのが利点と言えるでしょう。

そのため、制度を設計する段階では100%でなはく40%の期待感を持っておき、実際の運用で分析やトライ&エラーを繰り返しながら残りの60%を埋めていくものだと心得ておくのがよいでしょう。

中小企業で目標管理を行う際の注意点

中小企業で目標管理を行う上では、いくつかの注意点も存在します。メリットやコツを念頭に置きつつも、以下の2つの注意点に関しても覚えておきましょう。

運用主体者が不明確にならないようにする

1つ目の注意点は、目標管理制度を運用する際に、その主体となっているのが誰なのかが曖昧にならないようにすることです。

このような新しい取り組みにおいてトラブルが発生すると、現場では責任の押し付け合いに発展することも多々あります。
例えば、管理職が「人事に言われたとおりにやっただけ」と言えば、人事も「管理職に任せただけ」と言い始め、結局責任逃れが始まってしまうことも…

そのため、目標管理制度を設計する際には、管理職と人事が協力して作成し、主な責任は現場の指揮を執る立場の管理職に持たせる方法がおすすめです。管理職は自らの立場において、部下の不満の声を聞き、必要であれば制度の微調整や修正の提言を行い、よりよい制度へと育てる「核」となる必要があります。

このように、人事制度への意識を高く持ち、トップで一体となって問題にも誠実に向き合い対処できるような「核」となる人物がいるかどうかが、新しい制度を運用する際のカギとなります。

そのため、「核」となる人を明確にし、運用の際には部下の声を拾いつつ、人事と協力しながら運用を進めていけるかどうかが重要になります。

ルールを厳格化しすぎないように気をつける

2つ目の注意点は、運用におけるルールを厳格にしすぎないことです。

人事制度設計の際には、たくさんのルールや査定を考える必要があります。例えば人事評価のランク(A、B、Cなど)決定基準、給与の改定基準、賞与支給基準、昇進昇格基準、などです。
しかしこのルールを厳格に制定しすぎてしまうと、逆に「イレギュラーなケース」や、「ルールを守れないこと」が発生する可能性もあります。なぜなら、中小企業は大手に比べてKPIやタスクの内容を明確に定めにくく、不明確な事柄も多いため、形式にはまった評価が難しい場合が発生しやすいからです。

例えば、普段の業務において前例の無いプロジェクトが始まったり、いつもと違うメンバー構成で業務を行った場合に、「部下が適正な目標内容や達成水準を設定できていなかった」「目標設定内容と達成水準の難易度が人によって違いすぎた」「評価の際の評価者の目線が合っていない」という理由のため高い評価が得られないケースなどが挙げられます。

そこで、ルールを少し緩めた形で設計しておくと、制度内でルールを破ることなく運用することが可能になります。そもそも制度運用の目的の一つは、「社員の頑張りが公平・公正に評価され、処遇に反映されること」でもあります。
そのため、人事制度を設計する際にはルールを厳格化しすぎず、一定の「調整できる余地」を用意しておくことがポイントとなります。このように設計しておくことによって、定量的な成果以外の評価を反映させたい場合において、イレギュラーかつ制度のルールに沿った対処が可能になります。

さらに、イレギュラーな評価が発生する場合には、一人の独断ではなく他のマネジメント層や役員からの客観的な意見も確認し、納得できる場合のみ調整可能とするなど、条件を追加しておくのも公正な評価を行う際に重要です。

中小企業の目標管理に1on1がおすすめな理由

中小企業が目標管理制度を導入するにあたっておすすめなのが、1on1ミーテングです。

1on1ミーティングとは、上司と部下が一対一で定期的に面談を行うスタイルを指します。面談中のやり取りも、通常の面談とは違い部下を中心として、人材のポテンシャルを伸ばすために進めていく点が異なります。
ここでは、目標管理制度を中小企業で運用する際に1on1ミーテングが活かせる2つの理由を説明していきます。

ルールを厳格化しなくても運用でカバーできる

1つ目の理由は、先ほどの注意点でご説明したルールの厳格化を避ける代わりに、ルール内での制度運用をサポートできるからです。

先ほど、ルールの厳格化を避けるべき理由として、業務内で発生するイレギュラーや前例のないことに対処する必要があるためとご説明しました。
このような困難に対しては、ルールの厳格化を避けるだけではなく、マネジメントによる目標管理の運用で対処することも可能です。

困難やトラブルは、現場の状況に対して目標のレベルが合っていなかったり、必要な目標が設定されていなかった場合のズレによっても発生します。その場合に、複数人での会議において解決を目指そうとすると、どうしても個々の能力の差やスキルの問題に合わせた調整を行うことが難しく、ズレが放置されたままとなりがちです。

しかし、上司と部下間で何度かの1on1ミーティングを行うことによって、個別の目標に対してアドバイスを行ったり、業務内容の調整を行うことが可能となり、細やかなアプローチによって困難の解決を目指すことができます。

そのため、1on1ミーティングの活用は、個々の力がダイレクトに結果に反映されやすい中小企業の目標管理において、大きなメリットとなります

目標達成が厳しい際に早めに手を打つことができる

2つ目の理由は、目標が未達成で終わりそうな場合に、その状況にいち早く気づき、フィードバックや支援を行うことができるからです。

目標管理で失敗しがちなケースとして、期限が近付いてきた月末などのギリギリのタイミングでフィードバックを行ってしまい、もはや達成を目指せる可能性がほどんど残っていないという場合があります。

しかし、1on1ミーティングは短時間であれど、週に一回ほどのペースでの開催が主流のスタイルとなります。毎週、定期的な1on1ミーティングが行われていることによって、状況を説明・把握するまでの時間が完結に済むだけでなく、目標達成が厳しいと判断したなるべく早いタイミングで上司が手を打つことが可能になります。

そのため、複数人での会議を月に1回ほど行っている場合に比べて早いタイミングでメンバーの困難を察知することができ、対処が難しくなる前にサポートを行い、目標達成の可能性を高めることができます。

中小企業で1on1を活用して目標管理を行う具体例

では、実際に中小企業において1on1ミーティングを活用しながら目標管理を行う際の具体的な例を見ていきましょう。

実際の1on1の会話例

ここでは、実際の1on1ミーテイングにおける会話の例を読んでいただくことで、1on1ミーテイングを具体的にイメージしていただけたらと思います。
設定としては、A社に依頼された企画の運営を任されているチームの、上司と部下による会話です。

上司「いつもおつかれさまです!今月から始まったA社関連のプロジェクト、部下さんにとってもぐんと成長できそうな案件だね」
部下「そうですね、今まで学んできたことが発揮できるように頑張ってはいるんですけど…」
上司「今取り組んで貰ってるプレゼン準備が一番の山場だよね。間に合いそう?だいじょうぶ?」
部下「そうなんですよ、実は少し手こずってて…」
上司「部下さんの中で、この状況を解決できそうな手段って思いついてたりする?」
部下「以前、○○さんが別の会社で同じようなプロジェクトの経験があるって言ってたんで、色々聞こうかな?とは思ってるんですけど」
上司「お!それはいい情報だね。○○さんにはいつ質問行けそう?」
部下「そうですね…今日中にコンタクトとって、質問行ってみます!先延ばしになる前に」
上司「了解!今週の後半にはプレゼンのロープレまでできたらバッチリだね。明後日には一度資料に目を通したいから、○○さんに確認してもらった後の修正まで済ませておいてね!」
部下「わかりました!がんばります」
上司「部下さんはいつも確信が持てた後の資料作りが完璧だから、楽しみにしてるね!きちんと評価に入れるつもりだから、がんばれ!」

会話の中に含まれていたポイント

  • 「部下さんにとってもぐんと成長できそうな案件だね」という管理職の発言で、部下のスキルを信頼していることが伝わります。
  • 「部下さんの中で、この状況を解決できそうな手段って思いついてたりする?」という管理職の発言で、部下の自主性やアイデアを引き出せています。
  • 「今週の後半にはプレゼンのロープレまでできたらバッチリだね。」「明後日には一度資料に目を通したい」という管理職の発言で、期限や進捗のスピード感を確認できています。

そして最後に「部下さんはいつも確信が持てた後の資料作りが完璧だから、楽しみにしてるね」というポジティブな声がけで、部下のやる気を引き出しています!

まとめ

目標管理制度は、個人のモチベーションを向上させ、公正な人事評価、経営理念の浸透に役立つ方法です。目標管理制度を運用する際には、管理職側の心得や制度の設計が重要となってきますが、トライ&エラーを繰り返して納得のいく制度に育て挙げるまで、スピード感を持って取り組めるのが中小企業の利点とも言えます。
適切な制度の運用を行えるようになれば、マネジメント側にとっても従業員にとってもモチベーションのアップにつながるでしょう。

この記事に書かれているポイントやコツを参考にして、ぜひ目標管理制度の導入に挑戦してみてください。

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