どんな組織にも、下記の様に様々な小グループがあります
- 階層に基づくグループ:経営陣とスタッフ/マネージャーとメンバー
- 機能に基づくグループ:セールス/マーケティング/コーポレート
組織にグループが生まれる事は自然なことであり、効率的なことでもありますが、同時に組織の効率性や生産性を損なう原因にもなります。
厳密に区別された職場では、異なるプロジェクトに取り組むチームがそれぞれの利害を調整するのが困難なケースがあります。
例えば、マーケティング部門が新製品の宣伝を最優先し、管理部門が経費削減を課題としている場合、対立は避けられないでしょう。
組織のサイロ化は、以下の様な悪影響を会社にもたらします。
- 生産性の低下
- チームワークの欠如
- コミュニケーション不足
- モラルの低下
一方で、人事部門は、職場の縦割り構造を解消し、会社全体で協力し合う文化やシステムを促進する役割があります。
- 組織のミッションを明確にする
- 垣根を超えて育成に取り組む
- 物理的なスペースを共有する
- チーム間の対話の機会を増やす
- 組織全体で楽しむ機会を設ける
本記事では、組織のサイロ化を解消する5つの方針について解説します。
組織のミッションを明確にする
会社全体が協調して働くためには、まず最初に目的から始める必要があります。具体的には、下記の論点について考えてみましょう。
- チームの今年の目標は何か?
- 組織全体の目標は何か?
- 目標を設定した理由・背景は何か?
社内の縦割りをなくすための最善の方法は、全員が同じ目標に向かって努力することです。
会社のビジョンをチームリーダーや従業員の頭の中に置いておかないと、部門間の利害関係に支配されてしまいます。
会社の戦略や業務上の優先事項(長期的なものだけでなく、短期的、中期的なものも含めて)が明確であるだけでなく、すべての部門に明確に伝えられていることが、チームをまとめるのに大いに役立ちます。
職場のサイロ化を防止するために人事ができる最も重要なことは、管理職と協力して、明確な目標と透明性のあるコミュニケーションをもって、組織全体でビジョンを共有することです。
垣根を超えて育成に取り組む
部署間の協力関係や透明性を高めたいと考えている企業にとって、垣根を超えたトレーニング機会を設ける事によって、お互いが見えていなかった側面を見せることは、状況を改善させる可能性があります。
クロストレーニングとは、会社にとって重要なスキルやプロセスを、通常の職務以外の従業員に教えることであり、その方法はさまざまです。
例えば、以下のような方法が考えられるでしょう。
- 他の部署のミーティングに従業員を同席させる
- 会社全体でトレーニングを行う
- ジョブ・ローテーションを行う
- 異なる部署や役割の社員をペアにするメンター制度を導入する
チームの垣根を超えた育成に取り組むことは、単に壁を取り除くだけでなく、リテンション戦略のための長期的な投資にもなります。
クロストレーニングを行うことで、従業員は他の人が何をしているのか、お互いの役割がいかに重要であるかを意識するようになります。
物理的なスペースを共有する
組織のサイロ化を防ぐ最もシンプルな解決策の1つは、物理的に同じ空間に人を集める事です。
これは、同じプロジェクトに異なるチームを参加させ、可能な限り直接会って、(もしくはオンライン会議システムを使って)より長期的な取り組みを行うことを意味します。
チームのリーダー同士が協力して、実際に目に見える形で同じ作業を協働して行うことで、チームがバラバラに働くのではなく、一体となって働くことに慣れるようにしましょう。
また、物理的なオフィススペースのレイアウトは、組織のサイロを化を防止ます。
よって、機能的なワークスペースを構築することで、オープンにコミュニケーションをサポートするように考慮する必要があります。
会議室の広さ、異なる部署の席を近くに配置したデザイン、広々とした休憩スペース(ウォータークーラーを設置する)など、人々が動き回り、循環する方法を考えることで大きな効果が得られます。
チーム間の対話の機会を増やす
部門間のコミュニケーションを円滑にすることは、より協力的な職場を作るための人事部の最大のツールのひとつです。
チーム間のコミュニケーションを簡単に行えるようにしましょう。
そのためには、社内SNSの様なメッセージングプラットフォームや専用のSlackチャンネルを作成し、異なる部署の人々が情報を共有出来るようにするのがオススメです。
コミュニケーションのインフラを整備する事で、全員が自分たちのやっている仕事をより全体的に把握できるようになり、重要な情報を他のチームメイトと共有したいと思うようになるでしょう。
組織のサイロに打ち勝つ唯一の方法は、どんなに小さなことでも常にコミュニケーションを取るという基本的な原則を忘れてはいけません。
組織全体で楽しむ機会を設ける
しかし、仕事上の生活であっても、一緒に働く人々を団結させる最良の方法は、お互いが楽しむ機会を設ける事です。
新型コロナウィルスの流行がすべての人に厳しい影響を与えているのは事実でありますが、リモートワークの常態化によって、メンバー間の交流が少ないことは、会社にとって大きな損失となります。
オフィスは、団結して共存し、共通の目標に貢献するための場所であることを認識することにおいて極めて重要な役割を果たしてきました。
懇親会、ランチ、ハッピーアワー、ピザパーティーなど、組織のメンバーが絆を深める場となっているイベントでは、部署の枠を超えて、心を開いて交流することができます。
部門内だけのコミュニケーションを強化するのではなく、すべての異なるグループを一つにまとめるようなイベントを設置しましょう。
特に大企業では、各部門が社会的に異なる 派閥に分かれてしまうことがあり、それが仕事上での他のチームとの協力関係に影響を与えてしまいます。
異なるチームや部門がお互いの絆や関係を築く機会があれば、仕事上の共通の目標を達成するために協力して働くことが自然に感じられるようになります。
まとめ
職場のサイロ化は、何もないところで起こるわけではありません。
それは、会社組織という構造の副産物であることもありますが、人間の性質によるものでもあります。
集団を形成するのは人間の本性であり、従業員は、自分が所属するユニットのメンバーのことをよく知っていると、安心するという傾向を持っています。
組織のサイロ化を防止することは必ずしも容易ではありませんが、人事部には人々を一つにまとめ、その状態を維持するための手段があります。
まずは、人事部が、各チームの声や意見に耳を傾けることで、各部門のチームにとってより良い仕事環境を作り出す第一歩を踏み出しましょう。
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