総務の目標設定が難しい理由と解決策|具体例・指標・評価のポイント

▼ この記事の内容

総務の目標設定は「経費削減率」「業務時間の短縮」「従業員満足度スコア」など、プロセス改善の成果を数値化することで客観的に評価できます。目標数は3〜4つに絞り、減点ではなく加点方式で運用すると、担当者の改善意欲が高まり組織全体の生産性向上につながります。

人事評価制度の運用実態に関する調査では、間接部門の評価に「納得感がない」と回答した企業が4割を超えるとされています。総務部門はその筆頭に挙がりやすく、成果が見えにくい業務構造が評価の難しさにつながっています。

総務は備品管理から社内行事、安全衛生、ITインフラまで担うため、営業のように売上で評価しにくい構造があります。しかし「経費を何%削減したか」「問い合わせ件数を何件減らしたか」など、プロセス改善の成果は数値化できます。

この記事では、総務の目標設定における具体例と数値化の指標、運用段階で意識すべき評価のポイントを整理しています。「何を目標にすればいいかわからない」という状態を脱し、納得感ある評価につなげる方法がわかります。

目標設定の基本的な考え方から具体的な指標例まで順を追って整理しているため、初めて総務の目標を立てる方にも、既存の運用を見直したい方にも役立つ内容です。


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総務の目標設定が難しい理由と数値化の考え方

総務の目標設定が難しいのは、業務範囲が広く成果を売上のような単一指標で測りにくい構造にあります。しかし「時間」「件数」「率」の3軸でプロセス改善の成果を捉えれば、客観的に評価できる目標を設計できます。

総務の業務範囲が広く成果が数値化しにくい構造

総務部門が担う業務は、備品・消耗品の管理、施設の維持管理、社内行事の企画運営、各種契約や文書管理、安全衛生管理、来客・電話対応まで多岐にわたります。中小企業では1人の担当者が5件以上の業務領域を兼務するケースも珍しくありません。

営業部門であれば売上や受注件数で成果を測れますが、総務にはそのような明確な数値指標がありません。「ミスなく回して当然」と見なされやすく、業務の質が上がっても評価に反映されにくい構造が生まれます。

この構造が「何を目標に設定すればいいかわからない」という悩みの根本にあります。成果が見えにくいからこそ、たとえば「月5時間の短縮」のように数値で可視化する設計が必要です。

参考:総務省|情報通信白書

「時間・件数・率」の3軸でプロセス改善を可視化する

総務の目標設定で数値化できる指標は「時間の短縮」「件数の削減」「率の改善」の3軸に集約されます。備品発注時間を月5時間短縮する、問い合わせ件数を20%削減するなど、プロセス改善の成果を数値で測る設計が有効とされています。

3軸を使い分けるポイントは、改善したい業務プロセスの種類に応じて最も測定しやすい指標を選ぶことです。経費関連は「率」、業務効率関連は「時間」、対応品質関連は「件数」が測りやすい傾向にあります。

数値化した目標は進捗を月次や四半期で追跡しやすく、上司との目標面談でも「何をどれだけ改善したか」を具体的に説明できます。評価の透明性を高める土台として機能します。

目標の定量化の具体的な手法と考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

総務の目標設定 具体例と指標4選

総務の目標設定は、経費削減・業務効率化・福利厚生改善・問い合わせ対応の4領域で具体化できます。それぞれに定量的な指標を設定することで、達成度を客観的に評価する仕組みが整います。

経費削減の目標例と評価指標

経費削減は総務の目標設定で最も着手しやすい領域です。一般に「消耗品費を前年比10%削減する」「コピー用紙の使用量を6ヶ月で20%削減する」など、金額や使用量の変化を追跡することで達成度を測定できます。

施策としては、一括購入による単価引き下げ、再利用可能な製品への切り替え、電子文書管理システムの導入によるペーパーレス化が有効です。月次で消耗品購入額やエネルギー使用量をモニタリングし、四半期ごとに達成度をレビューします。

ただし、経費削減を追求しすぎると業務効率や従業員の作業環境が悪化するリスクがあります。「出張費を50%削減する」という目標を設定する場合は、オンライン会議の活用を軸にしつつ対面が必要な場面には柔軟に対応する仕組みを併設します。

既存業務の効率化の目標例と評価指標

既存の業務プロセスを見直し、所要時間や工数を削減する目標です。「社内問い合わせの対応時間を月5時間短縮する」「会議の総時間を30%削減する」など、現状のデータをもとにベースラインを設定することが一般に推奨されています。

具体的な施策としては、部門間連絡のチャットツール導入、立ち会議の導入による所要時間の短縮、会議の目的と議題の事前共有による準備効率化があります。いずれも現状の工数を計測したうえで目標値を設計します。

コミュニケーション手段の変更は社員の抵抗を招く場合があるため、段階的な導入とフィードバック収集を組み合わせることが定着のポイントです。新しいツールの導入時には、使用方法の研修やサポート体制の整備を忘れずに進めます。

福利厚生・従業員満足度の目標例と評価指標

福利厚生の充実度は、従業員満足度調査のスコアで定量的に追跡できます。「1年以内に福利厚生の満足度スコアを現状から10%向上させる」という目標を設定し、半年ごとにアンケートを実施して進捗を確認する方法が一般に有効とされています。

施策としては、柔軟な休暇制度の導入やリモートワーク環境の整備が挙げられます。全従業員の声を公平に集め、世代や家族構成による需要の違いに配慮した設計が求められます。

四半期ごとの中間調査や新制度の利用率を追跡することで、施策の効果を検証できます。満足度向上は離職率の低下や採用力の強化にもつながるため、経営に対するインパクトを示しやすい目標です。

問い合わせ対応のマニュアル化と工数削減

総務部門には日々さまざまな問い合わせが寄せられます。「6ヶ月以内に頻出する質問の80%をマニュアル化し、問い合わせ件数を30%削減する」という目標が一般に設定されており、対応工数と対応品質の両面を改善できます。

まず過去6ヶ月間の問い合わせデータを分析し、頻出トピックを特定します。次にカテゴリ別のFAQを作成し、社内ポータルに公開します。キーワード検索機能を実装すれば、社員が必要な情報に素早くアクセスできる環境が整います。

マニュアルは作成して終わりではなく、定期的な内容更新と社内への周知が不可欠です。制度変更や新しいツール導入のたびにFAQを更新し、総務への問い合わせ件数を月次で確認するサイクルを回します。

目標設定を運用に乗せる4つのポイント

目標を立てただけでは成果につながりません。運用段階で意識すべきは「数値化」「目標数の絞り込み」「加点評価」「目標と評価の連動」の4点です。

できる限り数値化する

「経費削減」のような漠然とした目標ではなく、「6ヶ月以内に消耗品費を前年比15%削減する」と具体的な数値に落とし込むことが一般に推奨されています。過去6ヶ月間のデータを分析して現状を把握し、実現可能な水準を設定することが出発点です。

数値目標を設計するときは、施策とセットで考えます。「一括購入で単価を引き下げる」「再利用可能な製品に切り替える」など、目標達成のための具体的なアクションを併せて検討します。

月次で実績を集計し、四半期ごとに目標達成度をレビューする運用が効果的です。ただし過度な経費削減が業務効率の低下を招かないよう、品質とのバランスに配慮して目標値を調整します。

目標数を3〜4つに絞る

総務の業務領域が広いと、あれもこれもと目標を並べがちです。しかし目標を増やしすぎるとリソースが分散し、どれも中途半端な達成度で終わるリスクが高まります。

まず会社全体の戦略目標を確認し、総務部門が貢献できる領域を明確にします。そのうえで影響力が大きく実現可能性の高いものを3〜4つ選定します。「経費削減」「業務効率化」「福利厚生改善」など、優先度の高いテーマに集中するのが原則です。

目標を絞ることで重要な業務が見落とされないよう、四半期ごとに目標の妥当性を見直します。達成した目標は速やかに次の重要課題に差し替えることで、少数の目標でも幅広い責任をカバーできます。

減点評価ではなく加点評価にする

総務の業務は「ミスなく回して当然」と見なされやすく、減点方式で評価する仕組みではミスを避けることが最優先となり、新しい改善提案や挑戦的な取り組みが生まれにくくなります。

加点方式に切り替えると、改善提案や業務効率化への取り組みがプラス評価の対象になります。たとえば「実現可能な改善案を提出すれば加点、導入後に効果が出ればさらに加点」という評価基準を設けると、担当者が日常業務の中で改善機会を探すようになります。

ミスや問題が発生した場合も「再発防止策の提案と実行」を加点対象にすれば、問題を隠さず報告する風土が育ちます。小さな改善案でも積極的に評価する姿勢が、ルーチンワーク中心の部門に自律性と成長意欲をもたらします。

社員の仕事への意欲を高める具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

目標と評価に関連性を持たせる

目標を設定しても、評価基準が別の観点で運用されていると納得感が生まれません。「業務プロセスの所要時間を20%短縮で評価B、30%以上短縮で評価A」のように、目標と評価を直接紐付ける基準を設計することが一般に推奨されています。

業務改善の提案や実行に対しても評価基準を明示することが重要です。「改善案を提出すれば15点、導入後に効果が確認できれば追加で25点」といった加点方式を組み合わせると、努力が直接評価に反映される仕組みになります。

短期的な効率化だけでなく、長期的な視点での改善も評価対象にすることで、持続的な業務改善が期待できます。目標面談時に上司と期待値のすり合わせを行い、評価基準の認識を一致させておくことが運用定着の鍵です。

よくある質問

売上がない総務でも目標を数値化できますか?

「時間」「件数」「率」の変化を指標に設定すれば数値化できます。たとえば「備品発注にかかる時間を月5時間削減する」「問い合わせ件数を20%減少させる」など、プロセス改善の成果は一般に測定可能とされています。

ルーチンワーク中心の総務で評価される目標を立てるには?

属人化している業務をマニュアル化し、誰でも対応できる状態に標準化することが有効です。FAQの整備や業務フローの見直しなど、組織全体の生産性を上げる取り組みが評価に値する目標になります。

まとめ

総務の目標設定は「時間」「件数」「率」の3軸で数値化することで、成果を客観的に評価できる仕組みを構築できます。経費削減・業務効率化・福利厚生改善・問い合わせ対応の4領域で具体的な指標を設け、達成度を定期的にレビューすることが基本です。

運用段階では、目標数を3〜4つに絞り、減点ではなく加点方式で評価することが定着の鍵です。目標と評価基準を直接紐付け、改善提案や業務効率化への取り組みをプラス評価の対象にすることで、ルーチンワーク中心の部門にも改善意欲が生まれます。

まずは現状の業務を棚卸しし、最も改善効果の大きい領域から1つ目標を設定してみてください。小さな成果の積み重ねが、総務部門全体の評価と組織への貢献を可視化する第一歩になります。

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