【アビーム社堀江氏:前編】コンサルタント48名からなる「Well-Being Initiatives」 – 「食事」「運動」「睡眠」「検証」を4つのチームで担当し、生産性向上を目指す
※この記事は2019年9月に実施したインタビュー前編となります。
後編【アビーム社堀江氏】最大の課題である「従業員をどう巻き込むか」- 社員2,000人以上が運動プログラムや睡眠改善の参加に至るまでの記事はこちら
■お話をお伺いした方
執行役員プリンシパル
P&T Digital ビジネスユニット IESセクター長
Well-Being推進担当
堀江啓二様
■インタビューさせていただいたアビームコンサルティング社について
事業内容|
マネジメントコンサルティング(経営診断・戦略立案・M&A・アライアンス)
ビジネスプロセス コンサルティング(業務改革・組織改革・アウトソーシング)
ITコンサルティング(IT 戦略・企画立案・システム開発・パッケージ導入・保守)アウトソーシング
設立|1981年4月1日
従業員数|5,915名(連結2019年4月1日時点)
総合マネジメントコンサルティングファームであり、グローバルにお客様のビジネス変革をサポートしているアビームコンサルティング様。
社員をビジネス界のアスリートとして捉え、社員の自己実現をサポートするための4つの軸(「Smart Work」「Diversity&Inclusion」「Well-Being」「Social Contribution」)で働き方改革を進めている。
本格的な取り組みを始めてからまだ間もない中で、コンサルタントとして多くのプロジェクトをリードし、経験を重ねた役員がリーダーを務めつつ、経営層を含む様々な役職の方を巻き込み、制度を作ってきた実体に迫る。
目次
働き方改革は、取締役兼CWO(Chief Workstyle & Well-Being Officer)をリーダーとし、4つの軸(「Smart Work」「Diversity&Inclusion」「Well-Being」「Social Contribution」)で推進
ーまず御社の事業内容についてお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。
(堀江様)
簡単に紹介すると、お客様と共に戦略を考えていく経営戦略コンサルティングや業務の改善・改革を行うための組織改革などを行っております。
また、業務改革や組織改革を実現するための手段としてシステム導入や、保守・メンテナンス、システム導入後の業務プロセスの定着まで幅広く支援しています。
そして、昨今ニーズの高まるデジタルトランスフォーメーションのエリアに関しても非常に力を入れていて、働き方改革にもつながる、IoTやRPA、AIを活用した業務改革支援にも積極的に取り組んでおります。
グローバルでは、日本に本社を置き、アジア(中国やタイ、シンガポール、インドネシア、マレーシアなど)を中心に各国に拠点を持っており、アメリカやヨーロッパ、南米にも拠点があります。
ーありがとうございます。続けて堀江様ご自身について、過去の経歴から現状の役割や職務内容などをお伺いしても宜しいでしょうか。
(堀江様)
まず、弊社での過去の経歴としてはアメリカに約7年間滞在し、2年前に日本に帰国しました。
アメリカ国内ではニューヨークとシカゴに滞在していましたが、ダラスやロサンゼルスにも毎週行っていましたし、南部のアトランタ、メキシコやブラジルのプロジェクトも担当していました。
我々はお客様のオフィスに常駐し、お客様とチームを組みながら仕事をさせていただく形態が基本スタイルなので、勤務地は国内外を問いません。
現在の私の所属について話す前に、弊社の組織について説明します。
弊社のコンサルティング部門はインダストリーとサービスラインと呼ばれている2つの組織に分かれています。
インダストリーとは金融や商社、製造業、官公庁など業界ごとの専門性を持った部門で、サービスラインとは経営戦略や会計領域などお客様のビジネスプロセスにおける各サービス領域のスペシャリストが集結した部門です。
それぞれ複数のセクターに分かれておりまして、私は1,000名程度のコンサルタントが所属するセクター長として組織を推進しています。
また、デジタルやクラウドなどの新しいテクノロジーを活用しながら、グローバルでお客様の業務改革を推進していくチームのリーダーも務めています。
また、弊社が2017年910月に健康経営宣言を行い、Well-Being Initiativesが発足すると同時に、リーダーに任命されました。
健康経営の取り組みは始まったばかりですが、私自身は「グローバル」をキャリアのひとつのキーワードにしていますので、今後はグローバルでも展開できるようになりたいと考えています。
-Well-Being Initiativesはどのような体制で行っているのですか。
(堀江様)
弊社の働き方改革の推進体制は、取締役兼CWO(Chief Workstyle & Well-Being Officer)をリーダーとし、4つの軸(「Smart Work」「Diversity&Inclusion」「Well-Being」「Social Contribution」)で各イニシアチブが変革を推進しています。
また、部門毎にチェンジエージェントというリーダーをたて、各それぞれが決めた方針をアクションプランにまで落とし込んだものを各部門に浸透させることで、取り組みを進めています。
公募して手を挙げた社員が40名ほど集まり、イニシアチブチームを形成
そもそも、働き方改革の取り組みは「Diversity&Inclusion」から始まり、その後「Smart Work」を開始しました。
2017年の健康経営宣言を制定に合わせてWell-Being Initiativesを設置し、今年度からはかねてから取り組んでいたCSR活動を「Social Contribution」として加えました。
約3年間で徐々に形が出来てきました。
-Well-Being Initiativesは何名くらいから成り立っているのですか。
(堀江様)
現在は私を含めて48名です。
やはり巻き込みが重要であると考えており、一部の興味がある人だけでやっているように映ってしまっては当事者意識を持つことが出来ません。
方針や活動を浸透させるためにコンサルタント自身が中心になって取り組むような形にしております。
もちろん専門知識を持った方も含めてイニシアチブを構成していますが、基本的には公募して手を挙げた社員が40名ほど集まり、イニシアチブチームを形成しています。
-設立当初から40名程度いたんですか?
(堀江様)
まずは少数から始めました。
最初は私自身、全く知識がなかったので様々なことを勉強させてもらいながら、1年目は社員への浸透を目標として掲げ、私が学んできたようにビジョンやミッションを社員にも理解してもらおうと1年くらい啓蒙活動を進めてきました。
イニシアチブを立ち上げてから半年後くらいに公募を開始し、今期は社内でも認知度が高まり、現在は48名で運営しています。
-挙手制にした意図はなんだったのですか。
(堀江様)
主体性ですね。
我々が考えているビジネスアスリートの重要なポイントはプロフェッショナルとして自らが健康やパフォーマンスをマネジメントすることです。
自分の頭で考えて仮でもいいので答えを出して、行動できる人でなくてはいけないと考えています。
なので、受け身のスタンスではなく、公募にしました。そうすることで、主体性が高まり、活動を盛り上げていけると考えています。
-なるほど。最終的に手を挙げられる方が全社員になっていたらいいですね。
(堀江様)
そういうことです。
パフォーマンスがあがることによりお客様に貢献できると考えれば、コンサルタントは成長意欲が高いので、モチベーションも上がる
少し付け加えると、手を挙げた人はもっと沢山いたんですね。
今回は運営人数が限られていたのですが、本気で動いてくれるメンバーが集まっています。
-もし手を挙げてくださる方がいなかったらどうしていましたか。
(堀江様)
認知度を上げるためにもっと工夫していたと思います。
実際、2017年度の秋にイニシアチブが立ち上がり2018年の4月から公募をした時に、参加して楽しく、オープンなイベントになるように工夫し、盛り上がっている雰囲気を訴えかけ続けていました。
また、パフォーマンス向上というキーワードを用いて、コンサルタントである社員の興味を引くように工夫しました。
例えば健康診断の数値を改善しましょうというのは社員にとってあまりピンと来ません。パフォーマンス向上の話だと自分事になっていくし、パフォーマンスがあがることによりお客様に貢献できると考えれば、コンサルタントは成長意欲が高いので、モチベーションも上がると思います。
-立ち上げられてから活動を拡散していくまでは打ち出しを含めて、はじめは1年間啓蒙しながらという感じなのですね。
(堀江様)
我々は認知度を上げることや周りを巻き込むことが重要であると考えているので、例えば、毎年行われる社員総会においてCWOが本活動の進捗を報告するなど、経営層も巻き込んで活動を推進しています。
それによって、社員も本気でやらなければならないという雰囲気が伝わりますね。
-なるほど。トップの方が本気でやることはとても重要なのですね。
各チームの集まりをされている企業様は他にもあると思うのですが、他社様と御社の違いは何だと思いますか。
(堀江様)
おそらくトップ自ら活動を推進していることだと思います。前述の社員総会での方針説明や、チェンジエージェントの定例会ではCWOがファシリテートをしています。この定例会は四半期に1回程度行っており、その場で各部門の目標値に対してどのような進捗であるかや、どのようなことに困っているのかを共有する場として活用しています。
定例会は経営層もいれば、スタッフレベルなど、様々なレイヤーのメンバーがいる中で、それぞれが自ら考え、行動しています。
-ちなみに、Well-Being Initiativesで掲げられているKPIはありますか。
(堀江様)
「Social Contribution」チームイニシアチブは検討段階ですが、「Smart Work」「Diversity&Inclusion」「Well-Being」の3つはKPIを設けており、各々が目標に変えてアクションに落とし込んでいます。
また、「Well-Being」の中でも、「食事」「運動」「睡眠」「検証」というチームに分かれており、チーム毎にKPIを設定しています。
具体的には、「食事」は毎朝朝食を摂ること、「運動」は毎日の活動量の増加、定期的な運動習慣の増加などをアンケートをもとに数値化し目標として設定しております。
また、「睡眠」はその質の改善による満足度向上、パワーナップ(仮眠)の取得率向上などです。
それぞれのチームで目標を決めて、施策をうっています。
「検証」チームは、「食事」「運動」「睡眠」チームの施策の評価や、健康習慣とパフォーマンスの関連について検証をしています。
-KPIを立てるときに意識していることはありますか。
(堀江様)
アンケート結果などの数値をクリアしたから満足するという感覚は持っていません。従業員のパフォーマンス向上を重要視しています。
-ありがとうございます。
健康経営の具体的な取り組みについては後半記事に続きます。
【アビーム社】最大の課題である「従業員をどう巻き込むか」- 社員2,000人以上が運動プログラムや睡眠改善の参加に至るまで
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