エンジニア(SE・IT業)の人事評価制度における評価基準や注意点を解説!【評価シート付】

エンジニア(SE)の人事評価制度の制定に難しさを感じている経営者や人事担当者は少なくないでしょう。エンジニアの貢献は定量的に把握しづらく、業務領域も多岐にわたるため、スキルやノウハウの適切な評価が難しいとされています。また、専門性の高い業務が多いため、どのように評価項目や基準を設定すれば良いのか迷う担当者も多く見られます。

しかし、評価基準やポイントをしっかりと理解すれば、エンジニアを正当に評価できる制度を制定することは可能です。この記事では、エンジニアの評価制度に関する企業の課題や評価制度の作成方法、導入時の注意点について、評価シート付きで詳しく解説しています。IT業界にお勤めの方に限らず、エンジニアの評価制度に悩む方々にとって、参考になる内容になっておりますので、ぜひお役立てください。

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エンジニアの評価制度とは

エンジニアの評価制度とは、企業がエンジニアの業績や能力、活動内容を評価し、その結果をもとに給与や昇進を決定するための仕組みです。エンジニアにとっても企業にとっても、適切な人事管理を実現するために必要不可欠な人事制度です。

人事評価制度には、以下の3つの重要な要素が含まれています。それぞれの要素がエンジニアの評価にどのように関与しているかについてご説明します。

1. 等級制度

等級制度とは、エンジニアの職務内容やスキル、貢献度に基づき、等級(ランク)を設定して分類する仕組みです。この制度により、エンジニアの役割や職位が明確化され、それに応じた報酬や評価が行われます。

等級制度のメリットは、エンジニアにとって成長の目標が明確になる点です。等級ごとの要件がはっきりしているため、エンジニアはどのスキルを磨けばよいか、どのようにキャリアを積んでいけばよいかが分かりやすくなります。また、企業側もエンジニアの能力や成果に基づいて適切な人材配置ができるため、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。

2. 評価制度

評価制度は、エンジニアの仕事の成果やスキルアップの度合いを評価し、企業の目標達成にどの程度貢献しているかを判断する仕組みです。エンジニアリングの分野では、プロジェクトの完了度やコードの品質、技術的な問題解決能力などが評価の対象になります。

評価基準が曖昧であると、エンジニアのモチベーションが低下し、不公平感が生まれる可能性があります。そのため、企業は評価基準を明確に設定し、公平で透明性のある評価制度を運用することが重要です。これにより、エンジニアが自分の努力が正当に評価されると感じ、さらなる成長意欲を持ちやすくなります。

3. 報酬制度

報酬制度は、エンジニアの等級や評価に基づいて、給与や賞与などの報酬を決定する制度です。この制度は、エンジニアのモチベーションに大きく影響を与えるため、公正で透明性のあるものが求められます。

適切な報酬制度がなければ、エンジニアがどれだけ努力し成果を上げても、それが報酬に反映されないと不満を抱き、離職率の増加につながる可能性があります。そのため、報酬制度は等級制度や評価制度と連動し、エンジニアの評価がしっかりと報酬に反映される仕組みが必要です。

エンジニアの3つの評価項目

エンジニアの評価制度では、「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つの項目が使われます。それぞれの概要は以下の通りです。

  • 業績評価:エンジニアの成果を評価する項目です。プロジェクトの完了状況や納期遵守、品質改善などが主な評価基準となります。
  • 能力評価:エンジニアのスキルや知識を評価する項目です。プログラミングの技術力、新しい技術の習得度、問題解決力などが含まれます。
  • 情意考課:エンジニアの勤務態度や職場での行動を評価する項目です。チームワークやコミュニケーション能力、責任感などが対象です。

このように、エンジニアの評価は、業績、スキル、態度の3つのバランスを考慮し、多面的な成長を促進する仕組みとなっています。
それぞれの評価項目の詳細について、以下にご説明します。

業績評価

業績項目とは、数値で示すことができ、その成果をもとに評価される項目のことを指します。業績項目を設ける際には、結果だけでなく、その結果に至るプロセスも評価できるようにすることが重要です。そのため、「業績結果項目」と「業績プロセス項目」の2つに分けて設定することが推奨されます。

結果だけを重視すると、成果主義に偏った評価となり、エンジニアの成長や指導、育成につながりにくくなるというデメリットがあります。対して、結果に至るまでの行動や努力のプロセスを評価することで、エンジニアのスキル向上やモチベーションの向上が期待できます。

エンジニアの業績項目の具体例としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 業績結果項目
    • プロジェクトの完了
    • バグ修正の数
    • システムの稼働率 など
  • 業績プロセス項目
    • コードレビューの回数や質
    • ドキュメント作成の正確さ
    • チームとの協力度 など

数値で表す項目を設定し、その評価においてウエイトを非常に高くしすぎると、プロセスを無視した結果主義の評価になってしまうため注意が必要です。また、通常、管理職には業績項目のウエイトを高く設定し、初級職には低く設定することでバランスを保ちます。

能力評価

能力項目とは、実績を残すために必要な能力、知識、資格などを評価するための項目です。これらの項目は、エンジニアが業務で成果を出すための基礎的な力を養うために設定されます。
ただし、能力があるだけでは評価の対象にはなりません。仕事の現場でその能力をどのように活用したか、具体的な成果や実行力が評価されます。例えば、スケジュール管理力があるというだけでなく、実際に漏れや遅れ、ミスがない形で仕事を遂行して初めて高い評価につながります。

能力項目においては、下位グレードの従業員のウエイトを大きく設定することが一般的です。なぜなら、能力が高まることで将来の成長が見込めるからです。上位グレードの従業員に対しては、これらの能力はすでに備わっているものとみなされるため、能力項目のウエイトは低く設定されます。
しかし、専門性の高い職種では、特定の能力やスキルに高いウエイトを与え、その重要性を認めることが必要な場合もあります。その場合でも、能力項目だけで総合評価が高くなるのではなく、他の評価項目とバランスを取りながら、全体的なパフォーマンスを評価することが重要です。

エンジニアの能力項目の具体例としては、以下のような項目が挙げられます。

  • スケジュール管理力:納期の厳守、タスクの進捗管理、遅延を未然に防ぐ対応策の実施 など
  • 専門知識とスキル:プログラミングやシステム設計に関する技術力の高さ、特定の分野(例:クラウド、AI)の専門的な知識や最新の知識 など〉
  • 資格:AWS認定資格や情報処理技術者試験といった業務に役立つ資格の取得 など
  • 人材育成力:後輩エンジニアへの技術指導、コードレビューを通じたフィードバックの提供、チーム内での知識共有の促進 など
  • 問題解決能力:システムの不具合を迅速に特定・修正する力、障害発生時の対応策の提案、業務効率を改善するためのプロセスの見直し など

これらの能力項目は、実際の業務に活かされることで初めて意味を持ちます。ウエイトを高く設定しすぎると、業務よりも自己学習や資格取得が目的となり、偏りが生じてしまう恐れがあるため、バランスの取れた評価が求められます。

評価におけるウエイトについての詳細は下記記事をご覧ください

情意評価

情意項目とは、エンジニアの仕事に対する姿勢や勤務態度を評価するための項目です。これはいわば、「会社が求める人間力」を評価する項目といえます。情意項目は、自社の社員としてふさわしいかどうかを判断する重要な基準であり、全社員がまずクリアすべき最低限の要件でもあります。

評価方法としては、能力項目と同様に、下位グレードほどウエイトを高く設定することが一般的です。情意項目は、経営理念に直結する基本的な考え方や姿勢を反映しているため、全ての部門で配分点数を統一することが望ましいです。

情意項目を評価する際には、「行動に落とし込んで初めて評価できる」という注意点を覚えておくことが重要です。例えば、「積極性」を評価する場合、単にその人が積極的であると感じるだけでは不十分です。「新しいことや経験のない仕事に自主的に取り組んだかどうか」といった具体的な行動基準を設定することで、主観が入り混じらない、客観的で明確な評価が可能になります。

エンジニアの情意項目の具体例としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 規律性:業務規則の遵守、自己管理能力の高さ、時間厳守 など〉
  • 責任性:タスクの完遂、ミスへの対応、業務への誠実さ など
  • 協調性:チームとの連携、コミュニケーション力、問題解決の協力 など
  • 積極性:自己啓発への取り組み、新規提案、挑戦意欲 など

情意項目の評価は、職場の風土や文化に大きな影響を与えます。特に共同作業が求められる環境では、これらの項目が重要視されるべきです。従業員一人ひとりの姿勢が職場全体の雰囲気や生産性に大きく影響するため、情意項目を適切に評価することは、健全な企業文化の維持・発展に欠かせません。

エンジニア評価制度で企業が持つ課題

エンジニアの評価制度は、企業にとって非常に難しいとされています。その理由として、エンジニアの評価にはさまざまな課題があるからです。

ここでは、エンジニアの人事考課における主な課題として、何が考えられるのかについて解説します。

短期間で結果が出にくい業務が多い

エンジニア評価制度で企業が持つ課題の1つ目は、「短期間で結果が出にくい業務が多い」ことです。

エンジニアの業務は、短期間で成果を出すことが難しいため、評価が難しいとされています。特に長期にわたるプロジェクトでは、年に数回の評価面談の時点で成果が現れないことが多く、「この段階でプラス評価をすべきか」と評価者が悩むことがあります。

もし「成果が出ていない」という理由でマイナス評価をすると、長期的なプロジェクトに関わるエンジニアが、「すぐに成果が出ない業務は損だ」と考え、意欲を失うリスクがあります。そのため、「成果が出ているからプラス評価」「出ていないからマイナス評価」といった単純な評価基準を用いることは避けるべきです。

エンジニアの評価を公平に行うには、業務の特性を考慮し、短期的な成果だけでなく、その過程や努力も評価に含める必要があります。成果以外の評価項目や基準を設けることで、公平で納得のいく評価ができるようにすることが重要です。

専門知識を持つ評価者が不足している

エンジニア評価制度で企業が持つ課題の2つ目は、「専門知識を持つ評価者が不足している」ことです。

エンジニア職は高度な技術職であり、業界や業務に関する豊富な知識が必要なため、エンジニア経験のない上司や人事担当者が正確に評価することは難しいとされています。このため、エンジニアを評価する際に、技術力の評価が不十分となり、適切な能力評価などが行えなくなります。

例えば、会社内に専門知識を持つ評価者が不足している場合、評価者はエンジニアの業務内容の難易度等がわからないため、適切に評価できない可能性があります。この場合、技術力を考慮せずに能力評価を実施してしまうため、評価が適切に行われずにエンジニアの不満が溜まることにつながる恐れがあります。

このような問題を防ぐために、しっかりと技術力が伴った評価者を育成することや、技術に関する評価基準を明確にすることが重要です。

客先常駐型のエンジニアの評価が難しい

エンジニア評価制度で企業が持つ課題の3つ目は、「客先常駐型のエンジニアの評価が難しい」ことです。

客先常駐型のエンジニアの評価には、いくつかの問題があります。自社の上司が直接エンジニアの勤務態度や業務に対する意欲を観察できないため、正確な評価を行うのが難しくなる恐れがあるのです。

例えば、エンジニアが常駐先でどのように働いているかを評価するためには、常駐先の企業からのフィードバックが必要です。しかし、常駐先の企業が自社以外の社員の評価を行うことには消極的な場合が多く、給与や昇給に関わる評価を提供することに対して協力的でないこともあります。このため、常駐先から得られる情報が限られていると、評価が不十分になるリスクがあります。

さらに、常駐先での業務の特性や状況によって、エンジニアの貢献度や姿勢を適切に把握するのは難しく、評価基準を明確に設定することが重要です。自社の上司は、定期的にエンジニアとコミュニケーションを取り、常駐先の担当者からのフィードバックを積極的に収集するなど、評価の透明性と公平性を保つための工夫が求められます。

エンジニアの評価制度が重要な理由

ここまでご説明してきたように、エンジニアの評価制度においては、企業はさまざまな課題をもっています。

とはいえ、評価制度はエンジニアのモチベーションとエンゲージメントを高めるために重要です。仕事のスキルや態度が正当に評価されることで、エンジニアは自身の努力が認められたと感じ、さらなる成果を出そうという意欲が高まります。この結果、エンジニアのモチベーションが向上し、業務に対する意欲が増す可能性があります。

また、正当な評価を受けることでエンジニアの自社に対するエンゲージメントも強化されます。自分の頑張りがきちんと認識されることで、会社への信頼感や貢献意欲が高まり、離職のリスクが低減します。エンジニアが会社に対して強い帰属意識を持つことは、離職予防に繋がり、長期的な人材の安定にも寄与します。

つまり、評価制度はエンジニアに限らず、全従業員のモチベーションとエンゲージメントを向上させるために欠かせない制度です。適切に設計された評価制度は、従業員の離職を予防し、企業の成長と安定に貢献します。

エンジニアの半数以上は評価に納得していない!

エンジニアの評価制度の適切な運用は、離職のリスクの低減につながるとご説明しましたが、実際にエンジニア職の従業員は、人事評価に対してどのような思いを抱いているのでしょうか。

引用)Findy「エンジニア調査レポート」

AIを活用してエンジニアのマッチングを行う「Findy」を運営するファインディ株式会社の調査によると、エンジニアの約51%が自身の評価に納得している一方、残りの約49%は「どちらでもない」または納得していないと回答しています。

さらに、評価を受ける立場だけのエンジニアよりも、自らエンジニアを評価するリーダーやマネージャーの方が納得度が高い傾向があります。この差は、評価の透明性やフィードバックの質に起因していると考えられます。

現在、エンジニアの需要が高まっているため、評価に納得できないエンジニアが転職を検討するケースが増えています。このような状況を避けるためにも、企業は評価制度の改善が必要です。評価制度が整備されていない企業だけでなく、既存の制度に課題がある企業も、今一度評価制度の見直しを行い、エンジニアのモチベーションやエンゲージメントを高めることが重要です。

エンジニア評価制度の作成方法

ここまでご説明したとおり、評価制度は、エンジニアのモチベーションを高めるために非常に重要です。ここでは、効果的な評価制度の設計方法を解説します。

主な作成手順については、下記のとおりです。

  • 評価目的の設定
  • 評価基準の作成
  • 評価項目とルールの決定

具体的な流れについて、以下にご解説します。

評価目的の設定

エンジニア評価制度の作成手順の1つ目は、「評価目的の設定」をすることです。

評価制度の設計には、まずその目的を明確に設定することが重要です。評価制度の主な目的には、以下のような点が挙げられます。

  • モチベーションの向上と意欲的な仕事の促進
  • 離職率の低下
  • 能力の正確な把握と適切な人事配置 など

評価目的を設定する際には、経営層や人事担当者とエンジニアの間で評価制度に対する期待や要望が異なることがあります。そのため、エンジニアからのフィードバックを積極的に取り入れ、両者の視点を反映させることが効果的です。エンジニアへのヒアリングを通じて、実際のニーズや意見を確認し、より実効性のある評価制度を設計することが望ましいでしょう。

評価基準の作成

エンジニア評価制度の作成手順の2つ目は、「評価基準の作成」をすることです。

先程ご説明したように、評価基準は、「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つの観点から作成します。

評価基準を設定する際には、評価制度の目的を達成するための具体的な基準を設けることが重要です。例えば、業績評価においては、どのような成果がどの程度の評価を受けるのかを明確に定義し、能力評価では、スキルの具体的なレベルを示す指標を設定します。また、情意評価では、期待される行動や態度を具体的に記述することが求められます。

このようにして設定された評価基準は、評価が公平で透明性のあるものとなるようにするために必要です。

評価項目とルールの決定

エンジニア評価制度の作成手順の3つ目は、「評価項目とルールの決定」をすることです。

まず、エンジニアの職種に応じた評価項目を設定します。エンジニアにはシステムエンジニア、インフラエンジニア、サーバーエンジニア、プロジェクトマネージャーなど、さまざまな役割があります。そのため、それぞれの職種に合った評価項目を作成することが重要です。

例えば、システムエンジニアには以下のような評価項目が考えられます。

  • 提案力:クライアントやチームに対して有益な提案ができる能力
  • 問題解決力:技術的な課題を効率的に解決する能力
  • コミュニケーション能力:チームやクライアントとの効果的なコミュニケーションの能力
  • 論理的思考力:問題を論理的に分析し、解決策を導き出す能力

次に、評価のルールを決定します。評価は何段階で行うか、評価基準の具体的な内容、評価者の役割などを明確にします。例えば、5段階評価(非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪い)を採用する場合、それぞれの段階に対する具体的な評価基準を設定し、評価者が一貫性を持って評価できるようにします。

これにより、評価項目とルールが明確に定義され、評価の公平性と一貫性が保たれます。

エンジニアの評価基準例

エンジニアの評価制度では、単に成果だけを見て評価するのは不十分です。成果は重要な要素ですが、エンジニアの業務は複雑で多面的なため、他の評価基準も考慮する必要があります。

以下に6つの評価基準を詳しくご紹介しますので、エンジニアをより正当に評価するための参考にしてみてください。

プロジェクトの結果と貢献度

エンジニアの評価基準例の1つ目は、「プロジェクトの結果と貢献度」です。

この基準では、エンジニアが関与したプロジェクトの成果と、エンジニア自身の貢献度を評価します。プロジェクトはチームで取り組むものであり、プロジェクト全体の結果が悪かった場合でも、エンジニア個人の評価が不当に低くならないようにすることが重要です。

個々のエンジニアがどのように貢献したか、例えば作業の効率化や適切な管理ができたかなど、その取り組み方や実績をしっかり把握しましょう。プロジェクトの結果だけでなく、エンジニア個人の具体的な貢献度にも注目して評価することが大切です。

個人目標の達成度と自己評価

エンジニアの評価基準例の2つ目は、「個人目標の達成度と自己評価」です。

エンジニアには、個別に設定された目標があります。この目標の達成度を評価することは、評価基準の重要な要素です。目標を達成するためには、自分の役割や業務内容を適切に理解し、実行する能力が求められます。そのため、目標達成度はエンジニアの評価において重要な指標となります。

また、エンジニアの自己評価も重要です。なぜなら、自己評価をヒアリングすることで、評価者が見落としがちな工夫や技術的な側面を把握することができるためです。評価者が一方的に評価を行うと、エンジニア自身の努力や成果を正しく評価できない場合があるため、自己評価を取り入れることが求められます。

ただし、自己評価が正当でない場合もあります。そのため、評価基準や方法についてエンジニアに明確に伝え、正しい認識を持ってもらうことが大切です。例えば、自己評価が過剰に高いエンジニアに対しては、評価の基準や方法をしっかりと説明し、正確な自己評価のやり方を理解してもらうことで、評価に対する不満や誤解を防ぐことができます。

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問題解決能力

エンジニアの評価基準例の3つ目は、「問題解決能力」です。

エンジニアの仕事には、予期しないトラブルや複雑な問題がつきものです。そのため、問題解決能力は重要な評価基準となります。特にエンジニアは、専門的な知識や技術を駆使して問題に対処する必要があり、高度な問題解決能力が求められます。

この能力を評価する際には、エンジニアが直面した問題にどのように取り組んだか、どのような解決策を講じたかを観察しましょう。問題の特定から解決に至るまでのプロセス、創意工夫、そして最終的な成果を評価することで、エンジニアの問題解決能力を正確に把握できます。

スキルや知識の習得度

エンジニアの評価基準例の4つ目は、「スキルや知識の習得度」です。

エンジニアのスキルや知識の習得度は、評価の重要なポイントとなります。エンジニアが新しい技術や知識をどれだけ効率的に習得し、それを業務に活かしているかを評価することで、個々の能力をより正確に把握できます。

また、スキルや知識の習得度は、業務の進行や目標達成にも影響を与えるため、評価基準として重要です。特に、エンジニアが最新技術や業界のトレンドに追いつき、チームやプロジェクトに貢献しているかを見極めることで、目標達成の過程を評価しやすくなります。

業務上で重要となる資格をリストアップして、資格要件を設定しても良いでしょう。


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仕事への取り組み姿勢

エンジニアの評価基準例の5つ目は、「仕事への取り組み姿勢」です。

この基準では、エンジニアの仕事に対する積極性や意欲を評価します。例えば、問題解決に対する前向きな姿勢や、チームメンバーとの協力的な態度が含まれます。しかし、積極性があってもミスが多い、または非効率的な方法を用いる場合は、その姿勢だけで高く評価するのは難しいでしょう。

さらに、エンジニアはチームでの協力が求められるため、協調性も重要な評価ポイントです。プロジェクトを成功に導くためには、チーム内でのコミュニケーションや協力が不可欠です。そのため、エンジニアがチームメンバーとどのように連携し、共同で目標を達成するかも評価の際に考慮する必要があります。

マネジメントスキル

エンジニアの評価基準例の6つ目は、「マネジメントスキル」です。

業務を効率的に進行させるためには、マネジメントスキルが重要です。特に組織の規模が大きくなるにつれて、プロジェクトを円滑に運営するために、チームリーダーやプロジェクトマネージャーが必要になります。そのような立場の従業員は、メンバーの管理や案件の調整、場合によっては教育も担当します。

たとえチームリーダーやプロジェクトマネージャーでなくても、業務委託を抱えるメンバーや他部署と頻繁に連携する役割のエンジニアも、マネジメントスキルが求められます。これにより、業務全体の効率を高め、チームやプロジェクトの成果を最大化することが可能です。

特にタスクマネジメントスキルは、どのエンジニアにも必要です。プロジェクトをスムーズに進行させ、多くのタスクを効果的に管理できる能力を持つエンジニアは、「マネジメント人材」として別軸で評価することが望ましいでしょう。


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エンジニアの評価制度で注意するポイント

続いて、エンジニアの評価制度で注意するポイントについて、ご解説します。

前述した6つの評価基準とあわせて、以下の4つの注意点について、ぜひご参考にしてください。

現場の意見をヒアリングする

エンジニアの評価制度で注意するポイントの1つ目は、「現場の意見をヒアリングする」ことです。

エンジニアの評価は専門性が高いため、評価を行う人が実務を理解していない場合、適切な評価が難しいことがあります。そのため、現場の意見を取り入れることが重要です。

経営層や人事部だけで評価制度を作成してしまうと、いざ運用しようとした時に、現場の業務が適切に評価できないということがよく起こります。また、そのような評価制度のもと評価を無理矢理してしまうと、評価に納得しない従業員が多く出てしまい本末転倒になってしまいます。

そのため、現場の業務をきちんと評価できるような評価制度を構築するために、現場のマネージャーやメンバーから業務に関するヒアリングを実施することが重要です。

複数視点から評価する

エンジニアの評価制度で注意するポイントの2つ目は、「複数視点から評価する」ことです。

エンジニアは、設計、開発、回収、品質保証など、さまざまな業務に関わるため、評価も多角的に行うことが重要です。一つの視点だけでは、エンジニアの全体的な貢献や能力を正確に把握するのは難しいことがあります。

そのため、複数の視点から評価を行うことが効果的です。
例としては以下のような評価が考えられます。

  • 客観的な評価 :実績や成果を数値や事実に基づいて評価します。
  • 自己評価   :エンジニア自身が成果や貢献度を評価することで、自己認識と実際のパフォーマンスとのギャップを把握します。
  • 業務工程の評価:プロジェクトの進行状況や業務の流れに対する評価も取り入れ、どのようにプロセスに貢献しているかを評価します。

これらの視点を組み合わせることで、より公平で包括的な評価基準を確立することができます。

スキルや技術の社内共有を評価する

エンジニアの評価制度で注意するポイントの3つ目は、「スキルや技術の社内共有を評価する」ことです。

エンジニアが自分のスキルや技術を積極的に社内で共有する姿勢は、評価の重要な要素となります。例えば、自社の技術力を全体的に向上させることを目指している場合、エンジニアが勉強会を開いたり、技術的な情報を共有したりすることで、他のエンジニアのスキル向上や組織全体の強化が期待できます。

具体的には、「月に一度の勉強会を実施する」や「チーム内での技術的な知識共有を行う」といった詳細なアクションを評価基準として設けると、成果を客観的に測ることができます。このように、スキルや知識の共有を評価項目に組み込むことで、エンジニア個人だけでなく、チーム全体の成長を促進する評価制度を構築することができます。

定期的に評価制度を見直す

エンジニアの評価制度で注意するポイントの4つ目は、「定期的に評価制度を見直す」ことです。

エンジニアの評価基準や評価制度は、企業の成長フェーズやプロジェクトの内容、エンジニアの成長度に応じて変化する可能性があります。そのため、評価制度は定期的に見直し、現状に合わせて柔軟に修正することが重要です。

例えば、事業が成長するにつれて求められるスキルや評価項目が変わることがあります。また、エンジニア個々のスキルや成果が変化することもあるため、評価基準も適宜調整することが必要です。定期的に評価制度を見直すことで、より正確で効果的な評価が可能になり、エンジニアのモチベーション向上や組織の成長に貢献できます。


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エンジニアの評価シートの記入例

エンジニアの評価制度における、評価シートの記入例をご紹介します。

評価は、5段階評価やS〜Dによる評価など、段階による評価を設け、それぞれに配点すると評価を数値で出しやすくなります。また、運用時には、適した評価項目を数字評価できる内容として、「評価シート」に記載して用います。

エンジニアの評価シートテンプレート

下記は、エンジニアの評価シートのテンプレートです。

あくまで参考になりますので、自社の場合なら「どの項目を設けるべきか」や「どの項目のウェイトを高めるべきか」などを考えたうえで作成することが重要です。

まとめ

この記事では、エンジニアの人事評価制度について、その評価基準と注意点を解説してきました。

エンジニアの正当な評価を実施することで、エンジニアの自社へのエンゲージメントが向上し、意欲的な活動が期待できます。また、エンジニアの評価制度では、プロジェクトの結果やスキルの習得度に加え、仕事への取り組み姿勢も重要な評価ポイントです。成果だけでなく、これらの要素も含めて総合的に判断することが大切です。

本記事の内容にあわせ、エンジニアの評価シートテンプレートを参考にすることで、ぜひエンジニアの適切な人事評価の運用に取り組んでいただければと思います。

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