会社での目標設定がストレスにならないために! 原因や対処法を解説!

「部下のモチベーション・エンゲージメントを向上させる」「部下の業務の生産性を高める」という目的で、社員一人ひとりに個人目標を設定させるようにしたものの、思うような効果が現れていないと悩んでいる管理職は多いのではないでしょうか。それは、部下が目標設定に対してストレスを感じているからかもしれません。

本記事では、目標設定がストレスの原因になる理由と、ストレスになりにくい目標設定の方法などを解説します。さらに、目標設定と1on1面談を組み合わせることのメリットも紹介するので、最後までご一読ください。

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目標設定がストレスの原因になる理由

なぜ目標設定が部下のストレスとなってしまうのかについて解説します。

  • 社員のプレッシャーとなることがある
  • 目標設定の時間が業務の邪魔になる

社員のプレッシャーとなることがある

目標設定がストレスの原因になる理由1つ目として、社員のプレッシャーとなることが挙げれられます。近年では、目標達成度合いによって、昇給・昇進を決める会社も少なくありません。一見、キャリアアップの目安が具体的になることで、社員からの不満が出にくくなると思えるでしょう。

しかしながら、以下の様に考える部下も存在します。
「難易度の高い目標を設定してしまうと、目標達成度が低くなるかもしれない」

「達成度が低いと、自分のキャリアパス実現が不可能になってしまうかも」

「できるだけ低い難易度の目標を設定したいけど、上司からはギリギリ達成できる難易度の目標を設定する様に言われている」

このように、部下が「目標達成度が自身のキャリアパスに大きく影響を与えること」と「目標達成難易度に対する上司からの要求」の間で板挟みになると、部下は自身の目標設定にプレッシャーを感じてしまいます。その結果、目標設定がストレスの原因となる可能性があります。

目標設定の時間が業務の邪魔になる

目標設定がストレスの原因になる理由2つ目として、目標設定の時間が業務の邪魔になることが挙げられます。目標設定は、目標項目の設定、目標達成基準の設定、目標達成までの計画など、さまざまなプロセスを踏む必要があります。さらには、個人目標は組織目標・チーム目標とすり合わせる必要があるため、上司やチームメンバーとの面談時間を確保することも必要です。

このように目標設定のプロセスは、非常に多くの時間を必要とするため「目標設定のせいで個人業務に割ける時間が減った」と捉えてしまう社員もいます。特に、繁忙期などで目標設定に時間がかかり残業時間が増えると、ストレスの原因となることが多いでしょう。

そのため、目標設定の意義を浸透させるとともに、目標設定にかかる負荷が高くなっていないかを確認し、プロセスを効率化することも重要です。

目標設定がストレスにつながるケース5選

ここでは、目標設定がストレスにつながるケースを5つご紹介します。

  • 上司と部下の間に意識の差が生じている
  • 目標設定を強制している
  • 目標設定を実施するメリットがわからない
  • 目標を達成しても給与や評価に反映されない
  • 目標が高過ぎるor低すぎる

上司と部下の間に意識の差が生じている

上司と部下の間に「目標設定の重要性」「個人目標の適切な難易度」などにおける意識の差があると、双方がストレスを感じやすくなります。

例えば、上司は目標設定には「最短ルートで目的を達成できる」というメリットがあることを理解しているのに対し、部下がその重要性を理解できていなかった場合、上司は「ギリギリ達成できるレベルの個人目標」を、部下は「余裕で達成できるレベルの個人目標」を設定するでしょう。

この様な目標達成難易度や目標設定の重要性などに対する意識のズレは、部下にとっては仕事自体がストレスとなり、上司にとっても部下を評価・指導する上でストレスにつながります。

目標設定を強制している

目標設定はあくまでも自分ごととして行うことであり、上司から強制されると部下は目標設定そのものをストレスに感じてしまいます。

例えば、業務量的・時間的に余裕がない状況で、上司から「〇日までに目標設定するように」と強制されると、それまで個人業務で手一杯だった状態からさらに負担がかかってしまいます。その結果、「個人業務をまず終わらせたいけど、目標も早く設定しなければ」といった意識が先立つことが予想されます。このような状況では、目標設定にストレスを感じてしまい、有益な目標設定が難しくなります。

さらに、「こんな目標設定じゃダメだ」と上司からダメ出しを受けてしまい、部下は「せっかく時間を割いて目標を設定したのに」と目標設定に対する嫌悪感を募らせてしまいます。忙しい中で目標設定を急がせてしまうと、その職場の雰囲気・環境が社員のストレスになり得る可能性があります。

目標設定を実施するメリットがわからない

目標設定を何回も重ねていくと、目標設定の仕組みが形骸化してしまい、社員が「目標設定を実施することでどのようなメリットがあるのか」を把握できていないケースが多くあります。

目標設定をしなければいけない理由が不明瞭であれば、目標達成に向けて努力する意義を見失い、悶々としたまま日々の業務をこなさなければなりません。

そのため、達成感や方向性の明確化、人事評価に直結するなど、社員にとっての目標設定の具体的なメリットを示すことができないと、ストレスの原因となってしまう場合もあります。

目標を達成しても給与や評価に反映されない

従業員自身の努力や成果に対する対価が支払われなければ、目標達成へのモチベーションが低くなるでしょう。

ここでの対価とは、「人事評価が高くなることで、給与アップにつながる」ことを主に指します。目標を達成しても評価・給与に影響しないと、頑張っても意味がないと感じ、目標設定は「無意味」「めんどくさい」と従業員からは捉えられてしまいます。

目標が高過ぎるor低すぎる

部下の能力に合っていない高すぎるor低すぎる目標を設定することもストレスにつながります。

部下の成長スピード・生産性を極限まで上げたいがために、現状のレベルにしては達成が不可能な目標を設定してしまうケースが多くあります。ある程度難易度が高い目標は部下の成長のために必要ですが、明らかに達成不可能な目標は却って達成感・モチベーション低下につながります。

一方で、目標の達成難易度が低すぎて努力せずに達成できてしまうこともNGです。目標達成による達成感や自信の向上を重要視することも大切ですが、簡単に達成できてしまう目標は部下の「意識せずとも気づいたら目標を達成している」状況を作り出してしまいます。簡単に達成できる目標では個人の成長はもちろん、会社全体の業績アップも期待できません。

そのため、今の実力から多少背伸びをしないと届かない「ストレッチ目標」を設定するのがおすすめです。最大限の努力をすることによって、新たな能力が見つかる可能性もあるでしょう。

このように部下の能力に見合った目標の難易度を設定することが重要です。

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ストレスになりにくい目標設定の方法

次に、ストレスになりにくい目標設定の方法を紹介します。

  • SMARTの法則を活用して納得度のある目標設定にする
  • 会社、従業員、マネージャー全ての意見を取り入れる
  • 余裕のある目標を設定する
  • 目標達成までの中間目標を複数設定する
  • 目標達成を給料や評価に反映させる

SMARTの法則を活用して納得度のある目標設定にする

ストレスになりにくい目標設定の方法1つ目は、SMARTの法則を活用して納得度のある目標設定にすることです。

SMARTの法則とは、下記の5つの要素の頭文字を取った誰が見ても理解しやすい、具体的な目標を設定するためのフレームワークです。

  • S:Specific(具体的・5W1Hが明確)
  • M:Measurable(数字で測定可能)
  • A:Achievable(達成可能)
  • R:Relevant(上位目標との関連性がある)
  • T:Time-bound(期限が明確)

上記の5要素を意識することで、「今何を最優先でするべきで、それはなぜか」が明確になります。このように納得感の高い目標を設定することで、部下は目標達成に向けてストレス無く自主的に行動するようになるでしょう。

会社・従業員・マネージャー全ての意見を取り入れる

ストレスになりにくい目標設定の方法2つ目として、従業員・会社・マネージャーすべての意見を取り入れる様に心がけましょう。

例えば、マネージャーのKPIを達成するために、マネージャーの意見を一方的に押し付けてしまうと、従業員から不満が出てきてしまうでしょう。さらに、部門目標や個人目標は会社の組織目標達成のために存在するため、会社全体としての目標から逸れてもいけません。だから、従業員・会社・マネージャー、3つの立場の意見を目標設定に取り入れる必要があるのです。

以下で、3方よしになる目標例をいくつか紹介します。

  • 従業員のキャリア成長目標
    • 目標:従業員Aがプロジェクトマネージャーとしてのスキルを向上させる。
    • 従業員の利益:スキルアップによりキャリアの進展と昇進の可能性が高まる。
    • 会社の利益:高度なプロジェクトマネジメントスキルを持つ従業員が増えることで、プロジェクトの成功率が上がる。
    • マネージャーの利益:管理するチームの能力が向上し、マネージャーの評価も向上する。
  • 顧客満足度向上目標
    • 目標:顧客対応時間を平均10分短縮し、顧客満足度を5%向上させる。
    • 従業員の利益:効果的な顧客対応スキルを習得し、個人の評価が向上する。
    • 会社の利益:顧客満足度の向上により、顧客のリピート率が上がり、売上が増加する。
    • マネージャーの利益:部下の成果が顕著になり、部門全体の評価が上がる。

余裕のある目標を設定する

ストレスになりにくい目標設定の方法3つ目として、余裕のある目標設定を心がけましょう。余裕のある目標とは、達成可能でありながらも挑戦的であり、部下が成長を感じることができる範囲内の目標を指します。

現実的で達成可能な目標を設定することで、予期せぬ問題や障害が発生した場合でも、対応する時間を確保できるため、部下に過度なプレッシャーをかける必要がなくなります。

これにより、部下は安心感を持って業務に集中できるようになるでしょう。最終的に、部下が焦らずに小さな成功体験を積み重ねることで、ストレスを抱えることなく、さらなる挑戦への意欲を引き出せます。

目標達成までの中間目標を複数設定する

ストレスになりにくい目標設定の方法4つ目として、目標達成までの中間目標を複数設定しましょう。長期目標だけでなく、比較的達成しやすい短期目標を設定することで、一つひとつゴールをクリアしていく達成感を得ることができます。

また、「今すぐにやるべきこと」と「この目標を達成できたら、次にやるべきこと」が明確化されるため、具体的な見通しが立っていない長期目標をダラダラと追いかけることがなくなります。その結果、部下の「本当に長期目標を達成できるのか分からない」という不安・ストレスを軽減することができるでしょう。

目標達成を給料や評価に反映させる

ストレスになりにくい目標設定の方法5つ目として、目標達成を給料や評価に反映させましょう。まず、目標達成を部下の評価基準とすることで、「評価を上げるために自分は何を達成すべきか」「日々の業務で何を意識するべきか」が明確になります。部下それぞれに仕事の方向性を明示してあげることは、日々の業務における迷いや悩みを減らすことが可能となるでしょう。

また、目標達成が給料・評価アップに直結することで、部下の目標達成へのモチベーションを維持・向上させることができます。目標達成度に応じたインセンティブは、部下が目標に向かって努力する原動力となるでしょう。

例えば、部下が目標達成の意義を見失いそうになったら、以下のように目標自体の意義を思い起こすことができます。

自分はなぜ目標達成を目指しているのか?

給与・評価を上げるため

目標達成するとなぜ評価が上がるのか?

組織目標達成に貢献するから

といったように、目標達成を給料・評価アップに紐付けることで、「目標達成は自分の評価に影響を与えるだけでなく、組織目標達成にも影響を与える」と部下は考えられる様になります。その結果、これまではただ漠然と目標設定して目標達成に向かっていた部下も、「目標達成するとこのような良いことが起きる」とポジティブに捉えられるようになり、目標設定の過程でストレスを感じにくくなります。


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目標設定と1on1は相性が良い

目標設定と1on1面談は相性が非常に良く、上手く組み合わされることで、効果的かつ効率的に社員の個人目標を設定することができます。

1on1面談とは週に1回30分や、隔週に1回30分といった短いサイクルでリーダーとメンバーが定期的に1対1で話すことです。1on1は、定期的に部下の業務での悩みを聞き出し、それに対してアドバイスやフィードバックを行うことで、効果的かつ効率的に人材育成を行うことができます。

1on1面談は簡単に始められるという良さがあります。実施する際には、リーダーは何を話すべきか事前に決めておきましょう。また、メンバーには事前に聞きたいことを整理しておいてもらいましょう。この準備によって1on1ミーティングを有意義な時間にできます。

1on1で目標設定をすると目標への納得度が上がる

目標設定と1on1の相性が良い理由の1つ目として、1on1で目標設定すると目標への納得度の向上が見込めることが挙げられます。これは、上司と部下の一対一で面談を行うことで、お互いの理解をより深めることができるためです。

1on1では部下の目標をただ設定しようとするのではなく、「従業員が将来的に何を成し遂げたいのか?」「会社としては何を期待しているのか?」「部下の個人目標と会社の組織目標がマッチしているか?」を擦り合わせることが重要です。そうすることで、お互いが求めていることを理解した上で個人目標について話し合うことができ、納得度が高い目標設定となるでしょう。

また、定期的な1on1面談は、部下との信頼関係を構築するために絶好な機会となります。部下が自身の考え・感情を自由に表現できる環境を作り出すことで、部下は挫折しそうになった際に「諦めるのではなく、とりあえず上司に相談してみよう」と考えるようになるでしょう。このように、1on1面談は部下の目標設定の納得度を高めるだけでなく、部下が目標達成まで挫けない様なサポートの提供を実現します。

従業員のストレスを緩和してモチベーションを向上させることができる

目標設定と1on1の相性が良い理由の2つ目は、従業員のストレスを緩和してモチベーションを向上させることができます。

例えば、営業チームのメンバーAの個人目標が「今期で新規顧客を10件獲得する」であったとします。週1回の1on1で「今、目標の達成度どう?」と部下に聞くことで「今期目標達成しそうじゃん!」と褒めてやる気を出させたり、「このままだと未達成だから対策しよう!」と一緒に解決策を練って目標達成へと導けるでしょう。

このように進捗度に対するフィードバック・サポートを提供することで、目標達成までの道筋が明確になります。その結果、本当に個人目標を達成できるのか不安に思っている部下のストレスを軽減したり、サポートしてくれる上司への信頼感の醸成にに繋がるでしょう。


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納得度のある評価に繋げやすい

目標設定と1on1の相性が良い理由の3つ目として、納得度のある評価に繋げやすいことが挙げられます。

日本の多くの企業では、期初の評価面談で半期の目標を設定し、半年後の評価面談で設定された目標の達成度を評価するといった流れが一般的です。このような半年に一度の評価面談では、フィードバックの頻度が低くなり、従業員が自分の進捗状況や立ち位置、改善点を把握できる機会が限られてしまいます。

その結果、目標を設定してから半年後にいきなり評価を言い渡され、「なぜこの様な評価になったのか」を理解できなかったり、部下の自己評価と大きく乖離して納得できないということが発生します。

この様な状況を改善するために、週に一度1on1面談を行うことで、部下は定期的に自分自身の現状を把握することができます。具体的には、「このままいけばAランク評定!」「このままだと評価下がっちゃうかも、理由は〇〇」と言うことを伝えておくと、最後の評価に納得してもらいやすくなります。その結果、部下の人事評価に対するストレスを緩和することができるでしょう。

まとめ

部下にメリットを伝えずに目標設定を強制していたり、目標を達成しても給与や評価に反映されなかったりすると部下はストレスを感じてしまいます。この状況を改善するために、「1on1の導入」「SMARTの法則を活用する」「会社、従業員、マネージャー全ての意見を取り入れる」「余裕のある目標設定」「中間目標の設定」「目標達成を評価に反映させる」などを導入することをおすすめします。本記事が自社の目標設定に少しでも役立てば幸いです。

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