目標を決めるとき、過去の経験やこれから予見される未来のことを考慮すると、難しく感じる人は少なくないのではないでしょうか。
上司として提案した目標が従業員に浸透しなかったり、批判されることもあるでしょう。
目標を決めても、従業員のモチベーションに繋がらないこともある中、どうすれば、チームにとって効果的な目標を立てられるのでしょうか?
本記事では、マネージャーが組織の適切な目標設定をするための方法について解説します。
適切な組織の目標設定が重要な理由
効果的なマネジメントは、思考を巡らせるだけでなく、実行に移すことで結果が得られます。
例えば、おいしいケーキを作ろうとしても、材料が不十分だったり、工程を飛ばしたりすると、おいしいケーキは作れません。
最高のプロジェクトが小さなミスによって悲惨な結果を招くこともあるということです。
マネージャーの役割は、従業員全員が高いモチベーションで、与えられた条件を満たす目標を設定することです。
本パートではその方法の説明をしますが、本論の前に、目標を設定する必要性について説明します。
目標設定は、マネジメントの中で最も重要な手段であり、リーダーシップの発揮において最重要項目ともいえるでしょう。
綿密に設定された目標は、従業員にチームの主眼、判断基準、整合性、明確さ、安心感と目的意識を提供します。
マネージャーが組織の適切な目標設定をする3つの方法
目標は、ペナルティを課すような懲罰的なものであってはなりません。
適切な目標の設定は従業員の混乱を防ぎ、外部との交流を促進し、全ての従業員の仕事をスムーズにします。
適切な目標の設定は業務において地図の様な役割を果たすのです。
質の高い目標を設定することは、チームの仕事をより良いものにするきっかけとなります。
本パートでは、組織にとって適切な目標設定をする方法を紹介します。
組織の全体像を理解する
組織の全体像を理解するために、次の3点について考えてみましょう。
- あなたの職場が、今どんな状況か把握していますか?
- 上司の個人としての目標を把握していますか?
- 組織や会社全体で掲げている目標を理解していますか?
人間は、自分の仕事が価値や影響力のあるものであり、かつ、例えば、会社や組織といった自分よりも大きな概念に繋がっていて欲しいと考える傾向があります。
そのため、掲げる目標のうち 1 つは、組織の優先事項の高い目標と関連しているべきでしょう。
したがって、先程の質問に対して答えられない、つまり、組織の目標について知らない場合は、まず全体の目標を正確に理解する事から始める必要があります。
個人の目標と全社の目標を関連づけるには、2つの方法があります。
- OKRのような個人と組織の目標を関連づけるための方法論やプロセスを採用する
- 複数の従業員が協働で取り組める、共通のパフォーマンス目標を追加する
なお、後者の場合は、特に、組織間交流、コミュニティの構築、自発的な行動責任が芽生え、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。
従業員を目標設定のプロセスに参加させる
人材を重視する経営戦略は、透明性、一貫したコミュニケーション、頻繁なコラボレーションが重要とされます。
そのためには、最初にいくつかの目標を従業員に考えてもらい、最終的に統合させる方法があります。
この方法は目標達成を保証するものではありませんが、従業員のモチベーションへ繋がりやすくなるでしょう。
目標を実際に書き出すときは、SMARTフレームワークを実践しましょう。
SMARTフレームワークとは、以下の5つの要素を目標設定の際に考慮するものです。
- Specific(具体的な)
- Measurable(測定可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Relevant(経営目標と関連性のある)
- Time-bound(期限設定のある)
の5つの要素に重点を置いて実施する手法です。
また、職場でOKRを採用しているなら、達成したい最終結果に基づいて目的(Objective)を設定し、目的を達成するために必要なタスクや結果を成果指標(Key Results)として書き出していることを確認しましょう。
SMARTフレームワークとOKRは目標の書き出しに悩んでいるチームには、有効な手法です。
提出する目標リストには、以下を含めるのが良いでしょう。
- ストレッチ目標
- 会社とチームの目標
- 最低1つの個人目標
ストレッチゴール、会社やチームのための目標、さらには個人的な目標のうち、専門性の高い目標を少なくとも1つ含めましょう。
一つの目標を永遠に掲げない
状況が変化すると最善を尽くした計画を立てても上手くいかない事があります。
柔軟性を持ち、目標を修正・追加・削除することは前向きである、ということを、チームで共有しましょう。
設定した目標は、今ある情報から何をすべきかを推測したものであり、最善の手段を盛り込んだものです。
しかし、それらは不動のものではなく、いつ、どのように状況が変化するかを考慮する必要があります。
変化に応じて目標は変更する必要があるのです。
よりタイムリーで管理しやすいように、毎年ではなく四半期ごとに目標を検討しなおすのもいいでしょう。
まとめ
目標はベンチマークであり、案内役であり、上司と従業員で継続的に使える会話の種です。
定期的にコミュニケーションをとり、組織の状況をチェックすることで、従業員は上司からのサポートを手厚く感じる事でしょう。
さらに、上司の機敏さや理解力、柔軟性を示すことができれば、一見煩わしいように思える目標管理という取り組みが、実際には役立っていることがすぐにわかるでしょう。
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