この記事では組織変革を成功させるためのステップについて説明していきます。
また、組織変革で重要となる概念や注意すべき点とその対策について併せて説明していきたいと思います!
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組織変革に必要なリーダーシップとマネジメント
リーダーシップもマネジメントも「やるべきことを決定し、課題の達成に資する人脈や人間関係を築き、組織メンバーにきちんと仕事をさせる」という点では、共通しますが、その具体的な手法が全く異なります。
この違いを理解することで、組織変革の状況でリーダーシップが必要なのか、マネジメントが必要なのか判断することができ、効果的に組織変革を進めることができます。
リーダーシップとは
「マネジメントの父」であるピーター・ドラッカーは、リーダーシップとは、組織の目標管理や優先順位決めといった組織にまつわる統制を仕事として発揮することだとしています。
リーダーシップは、地位や立場によって決まるのではなく、組織全体の結果や自分の仕事に責任をもって取り組む力であり、周囲の人を巻き込む力であると言えます。
組織変革を実現する上で、組織変革の先にある大きな目的を目指し、周囲の人にその目的を共通目的と認識させ、周囲の人を巻き込んで組織変革を進めることができる人こそが、リーダーシップを持つ人と言えるでしょう。
マネジメントとは
ドラッカーはマネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています。
人が組織を作る理由は、個人では達成できない大きな目標や目的を達成するためです。その中で、マネジメントは組織に必要な要素の分析・管理を適切に実行し、組織の活動を維持・促進する役割を担っています。
組織変革においては、組織の現状を分析し、組織変革を効果的に進めていくための施策を実行し、組織変革を効果的に進めていくことができるマネジメント力のある人が重要です。
リーダーシップは「組織の目標達成のためにメンバーを導いていく能力」であるのに対し、マネジメントは「成果を上げさせるための手法を考え、組織を管理する能力」と言えるでしょう。。
組織変革を進める上で、その両方が非常に重要になってきます。
組織変革が失敗する8つの注意点
組織変革のステップの前に組織変革が失敗してしまう8つの要因について紹介していきます。この注意点を踏まえた上で、下記の「組織変革の8ステップ」を読むことでより理解しやすくなります。
今から紹介する注意点は各ステップに大きく関係しているため、ここでは紹介に留めて「組織変革の8ステップ」で各注意点の対策も紹介していきます。
- 「組織変革が必要である」ことが全社に徹底されていない
- 変革推進チームのリーダーシップが不十分である
- ビジョンが不明確である
- 社内のコミュニケーションが不足している
- 組織改革で生じる障害への対策をしない
- 短期的な成果を感じられない
- 変革が終わったと早期判断してしまう
- 変革の成果が浸透不足である
組織変革の8ステップ:コッターの8段階モデル
ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるジョン・コッターが、変化する100以上の組織を対象とした調査から開発した変革モデルです。
コッター博士が提唱したモデルは、リーダーが組織の変革を成功させるためのプロセスを8段階に分類しました。
ステップ1:危機意識を高める
多くの人は変化を嫌うものですが、現状に危機感がある場合はその変化の必要性を感じ、変化を受け入れやすくなります。変革を成功させるための最初のステップに、組織内の「危機意識を高める」ことが必要です。
これが上手くいかないと『「組織変革が必要である」ことが全社に徹底されていない』という注意点に引っかかってしまいます。
危機意識を高めるために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 近い将来、遠い将来に発生する可能性のある潜在的な脅威 (テクノロジーの変化、競合は社の進歩、市場の需要の変化など) を評価する。
- 自身が考えている危機について対話する機会を作り、さまざまな関係者から意見をもらう場を作る。
- 利害関係者、顧客、影響力のある人からのサポートを受けられるように根回しをする。
ステップ2:強力な連帯を築く
企業で変革をリードするためには、味方や利害関係者を巻き込むことが必要です。自分のビジョンに明確に賛同してくれるメンバーを社内に持つことで、社内のメンバーに強力なメッセージを送り、スピーディに支援の輪を広げることができます。
これには周囲の人を巻き込む力であるリーダーシップが非常に重要で、組織変革チームのコアメンバーには、リーダーシップ能力が長けている人を置く必要があるでしょう。
強力なサポート関係を構築するために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 組織内の主要な変革のリーダーと利害関係者を特定し、サポートを求める。
- 課題に取り組むためのチームを作る
- チームの弱点を洗い出し、さまざまな役職や部門など多種多様なメンバーを巻き込んで組織する。
ステップ3:戦略的ビジョンを策定する
変革が必要であるならば、実現したい理想の姿があるはずです。その姿(ビジョン)を明確で分かりやすいものにすることがとても重要です。
そして、現在と理想の姿を比較し、変革へのプロセスを明確にすることで、関係者に実現可能性を感じさせることができます。
これが上手くいかないと、チームメンバーが同じ方向を向くことができずに、チーム外の人たちに組織変革を働きかけることはできなくなってしまいます。
明確なビジョンを策定するために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 変革の過程で具現化したいコアバリューを特定する。
- 理想の姿(ビジョン)を1〜2行程度の簡単な文で表す。
- ビジョンを実行するための論理的な戦略を作成する。
- チームのメンバー全員がビジョンを明確かつ簡潔に伝えられるようにする。
ステップ4:ビジョンを全体に共有し、理解を得る
ビジョンとそれに対する戦略が明確になった後は、それらを各所に伝えて、理解を得る必要があります。社内全体が納得してこそ、変革というものが意味をなすでしょう。
これを成功させるためには、社内のコミュニケーションが必須で、組織変革のメンバーが社内の人たちに積極的にコミュニケーションを取ることができる仕組みを作ることが非常に重要です。
他者の理解を得るために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- ビジョンについて、確信と説得力のある表現で頻繁に語りかける。
- ビジョンを社内のすべてに結び付け、すべての人が関係していることを伝える。
- 前のステップで作成した戦略を基に、現在の状態と将来の状態の違いを明確に示す。
- 社員の懸念や不安を抽出し、それに対して真摯に答え続ける。
社内のコミュニケーションを促進するのにCo:TEAM(コチーム)が非常におすすめ!
ステップ5:障壁を取り除いて行動を可能にする
この時点に到達するまでには、おそらく変革への抵抗勢力が出現していることが多いでしょう。例えば、変革は必要ないという意見を広めたり、変革が起こると自分の立場が危うくなってしまうという不安も障害の1つです。これらの抵抗の原因となっている障害を除去することで、さらに変革に近づきます。
変革の障壁を取り除くために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 変革への抵抗が最も強い層を特定し、その懸念を取り除くか、抵抗を回避するための解決策を作成する。
- 組織の構造を評価して、ビジョンと組織のさまざまな階層とが一致していることを確認する。
- 初期段階で変革をサポートし、実行する人にインセンティブを与える。
ステップ6:短期的な成功を生み出す
ビジョンを定着させるためには、そのビジョンに弾みをつけることが必要不可欠です。短期的な成功は、新しいビジョンに取り組むメンバーにとって大きな動機となり、ビジョンに対する否定論者や批判者と持続的に戦うための原動力になります。そのような短期的な成功を繰り返すことで、組織は変革していくのです。
短期的な成功を計画的に設定していないと、組織変革メンバーのモチベーションが下がったり、やりがいを見失ったりしてしまいます。組織変革は長期プロジェクトですが、その中でも目に見える成果を感じられるようにあらかじめ計画しておくことは重要です。
短期的な成功を生み出すために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 費用がかからず、潜在的な反対者からの承認を必要としない短期プロジェクトを見つける。
- チームメンバーの力量に合った適切なプロジェクトを慎重に選択する。
- 目標達成に不可欠なチームメンバーに報酬を与える。
ステップ7:加速を持続する
変革での活動のすぐに成功が見られると、あたかも変革のプロセスが完了したような気持ちになりがちですが、真の変化は繰り返しと拡大によってのみ実現可能なものです。
小さな成功を実現できたら、喜ぶだけでなく(もちろん喜ぶことは非常に大切です!)なぜその取り組みが成功したのか分析するようにしましょう。
変化を確実に積み上げていくために以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 成功のたびに何がうまくいき、うまくいかなかったかを分析する。
- 徐々に野心的な目標を設定して、指数関数的に達成度を伸ばす。
- 影響力のある利害関係者や変革に必要な人材を追加で巻き込む。
ステップ8:変化を定着させる
変革プロセスの最後のステップでは、変革が企業文化に確実に組み込まれるようにします。時間の経過、経営陣の入れ替わりやスタッフの異動などを理由に、変革が簡単に崩壊してしまうこともあります。
そのため、組織に変化が生じたならば、変化した状態を組織にとって当たり前の状態にし、その状態でないと組織のメンバーが気持ちが悪いと感じるぐらいまで、組織に定着させることが重要です。
変化を企業文化に確実に定着させるためには以下のような行動を起こすと良いでしょう。
- 機会があれば必ず、進捗について伝える。
- 組織が変化することによるサクセスストーリーを共有し、他の人のストーリーを繰り返し伝える。
- 主要なグループと変革担当メンバーの働きを継続的に評価し、思い描いた変化に対するその貢献と実績を称える機会を作る。
- すべての新入社員とオリエンテーションプロセスにコアバリューを浸透させる。
今の時代に対応する組織変革の考え方:デュアル・システム
先ほどまで、コッターの8段階モデルについて説明してきましたが、このモデルは1996年に提唱されたものです。
「VUCA」時代と言われる変化の早い現代において、段階的に1つの変革を目的とするのではなく、情勢に合わせて絶え間なく変化し続ける考え方が必要であるとコッターは主張しています。
その考え方こそが、次に紹介する「デュアル・システム」です。「デュアル・システム」もコッターが主張したもので、前述した「8段階モデル」の重要な要素は変わっていません。
※「VUCA(ブーカ)」とはVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味する言葉
デュアル・システムとは
デュアル・システムは2つの組織の形を同時に構成するシステムです。1つは現在多くの会社が当てはまり、上司・部下が存在する階層型組織(ピラミッド型組織)で、もう1つは特定のリーダーを設定しないネットワーク型組織です。
ネットワーク組織では特定の人が権限を持つことがないため、自由な意見が言いやすく、素早い意思決定ができ、立場に関係なく業務に取り組みやすくなります。
一方で、組織変革が重要な課題であるには変わりませんが、組織として成果を安定して出し続けなければなりません。そのため、現在成果を出している階層型組織を維持したまま、それを補完する役割としてネットワーク組織を置いているのです。
現在のビジネスの主力となる階層型組織を維持しつつ、これにイノベーションに取り組むネットワーク型組織を共存させるとしているのが「デュアル・システム」です。
デュアル・システムを成功させる原則
コッターは2つの組織の形を両立させ、成功させるためには以下の5つの原則を押さえておく必要があります。
- 社内のさまざまな部門からたくさんのチェンジ・エージェントを動員する
- 「命じられたから」ではなく「やりたい」気持ちを引き出す
- 理性だけでなく感情にも訴えかける
- リーダーを増やす
- 階層組織とネットワーク組織の連携を深める
新しい変革プロセス:8つのアクセラレータ
8つのアクセラレータとは、前述したデュアルシステムの考え方に基づき提唱された変革プロセスです。
アクセラレータというのは「加速させるもの」という意味で、組織開発を加速させるものです。この中身を見ていくと、上述の「8段階モデル」と内容は以下の通りほとんど同じです。異なるのは「組織変革のコアグループを作る」「ボランティアを集める」「変化を体質化する」です。
- 危機意識を高める
- 組織変革のコアグループを作る
- 戦略的ビジョンを策定する
- ボランティアを集める
- 障壁を取り除いて行動を可能にする
- 短期的な成功を生み出す
- 加速を持続する
- 変化を体質化する
「8段階モデル」では8つのステップを段階的に進めていくことが提唱されていましたが、デュアル・システムを基本とする「8つのアクセラレータ」では、段階として進めていくことは踏襲しつつも、ネットワーク組織を活かして各要素を高速回転させていくことが提唱されています。
「組織変革のコアグループを作る」と「ボランティアを集める」に関しては、8段階モデルでは「ビジョンを全体に共有し、理解を得る」とされていましたが、8つのアクセラレータでは変革の必要を感じた人が自ら声をかけて仲間を増やしていくというコミュニティ活動のように活動を広げていく形をとっています。
また「変化を体質化する」に関しては、8段階モデルでは変化を組織文化に定着させていくことがゴールとされていました。しかし、「VUCA」時代では組織変革を進めているうちに、外部環境が変化することは当然のように起こります。そこで、変化を定着させるだけではなく、変化そのものが組織の習慣になるようにする必要があるということです。
8段階モデルと8つのアクセラレータの特徴
「8つのアクセラレータ」についての説明を読んでいると「8段階モデル」が必要ないのではないかと感じると思いますが、それぞれに特徴があり、ご自身の組織の状態によって向き不向きがあります。
2つのモデルの特徴を比較することで、どちらがご自身の組織に適しているのか判断しやすくなるので、特徴についてまとめていきます。
8段階モデルの特徴
●限定された順次的な方法で、一時な変化に対応する
●少人数の影響力のある中核グループによって推進する
●階層型組織のまま組織変革を進めることができる
●時間をかけて直線的に1つの目的に注力することができる
8つのアクセラレータの特徴
●ステップを同時かつ継続的に実行する
●組織のさまざまな階層やグループから成るボランティア集団を結成し、彼らを変革の原動力とする
●立場に関係なく、ネットワーク組織で柔軟かつスピーディーに活動する
●外部環境の変化に合わせて、常に変化を追い求める
まとめ
今回はコッター博士の「組織変革の8段階モデル」や「8つのアクセラレータ」をもとに組織変革のステップについてご紹介しました。
組織変革はその段階ごとに様々な困難があります。今の段階はどこにあるのかについて考え、その先に待ち受ける困難を予測して対策を立てて、組織変革を達成しましょう!
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