組織改善とは、組織の機能・仕組み・構造・運用方法などを変えることで、企業や事業の成長を促す取り組みです。組織改善を行う際の方法は様々ですが、コンサル会社に頼もうと考えている人も多いのではないでしょうか?コンサル会社に依頼することで専門的なノウハウや第三者目線での改善ができるため、とても効果的だと言えるでしょう。しかし、それなりに大きな費用がかかり、また、実際のコンサルティングを受けるまで期待した効果が得られるかどうかわからないため、リスクがあることも確かです。
そのため、むやみにコンサル会社に依頼をする前に、一度、自社での改善施策を検討してみてはいかがでしょうか?
本記事では主に従業員同士の人間関係や職場の性質に注目した、自社での組織改善手法、コンサルに依頼するべき企業の目安、また、コンサルに依頼した際のメリット、コンサル会社を選ぶ際のポイントなどについて説明していきます。
目次
組織改善の必要性とは
外部環境の変化や自社企業の成長に伴い、従来の組織運用方法では上手くいかなくなっていきます。
環境の変化に対応し組織をこれからも発展させるためには、まず始めに現状を把握し課題を見つけ、課題に沿った取り組みを行うことによって改善していく必要があります。その結果、企業や事業の成長へとつながっていくのです。
組織改善の方法
本パートでは、自社での改善施策や、改善の指標について説明します。
1. バーナードの組織成立の3要素
バーナードの組織の3要素とは、組織が成立するために欠かせない3つの要素のことです。アメリカの経営学者であるチェスター・バーナードが提唱しました。3つの要素をそれぞれ解説していきます。
①コミュニケーション
従業員同士でコミュニケーションをとることはとても重要です。コミュニケーションが取れていないとトラブルの発見・対応が遅れてしまい、取り返しのつかない事態へと発展していく可能性があります。
従業員間でコミュニケーションをとることにより、相互理解や信頼が向上するため、物事をスムーズに進められます。また、コミュニケーションを通して組織の心理的安全性が向上することで、離職率の低下につながるだけでなく、発言やアイディアが自由に行き来するようになるため、生産性の向上にもつながるでしょう。
1on1などの定期的なミーティングから社内外のイベントまでと、幅広いコミュ絵ーションが、組織造りには必要といえます。
②貢献意欲(協働の意欲)
貢献意欲とは従業員が「組織に貢献したい」「組織のメンバーに貢献したい」と思う気持ちのことです。モチベーションとも言います。この気持ちがあることによって組織として成果を出し、存続することができます。
モチベーションを維持するためには、仕事の達成感を感じたり、従業員同士でコミュニケーションをとったりする必要があります。
仕事においての達成感は、達成しやすい目標を設定し、成功することによって感じることができます。成功したという経験が従業員の自信につながり、モチベーションが向上します。また、従業員同士でのコミュニケーションは仕事での協力を促し、より良い関係の構築に寄与するでしょう。
③共通の目的
共通の目的を持つことは、組織が一丸となって働く上で重要です。
企業ではMVVに表されるでしょう。組織の向かっていく方向性があることによって、従業員全員が同じ方向に向かって協力して業務を遂行できます。
2. 組織開発
組織開発とは、企業で働いている人同士の関係に注目し改善していくことによって、組織をレベルアップさせる取り組み、また、その支援のことです。
組織開発は組織改善の項目の一つであり、組織改善をするための一手段です。大きな枠組みとして組織改善があり、その中に組織開発も含まれています。本記事では従業員の関係性に注目した組織改善について書いているので、ここでは組織開発の流れについて説明していきます。
①目的の明確化
組織開発は手段であり、組織開発自体が目的ではありません。組織開発を通して「どのような組織になりたいのか」を明確にしておく必要があります。目的をはっきりさせ、目的に向かって組織開発を進めていきましょう。
②現状の把握
組織を改善していくうえで、現状を把握することは欠かせません。組織内の人間関係を確実に把握することは難しいです。しかし、ざっくりとした印象で決めるのではなく、従業員にインタビューをするなどして、具体的に把握するようにしましょう。
根拠から課題を考えることによって、適切な組織開発ができます。
③課題の設定
課題を設定する際に重要なのが、従業員自身に課題があった場合でも、組織の課題として考えることです。
従業員の能力に問題があるとするのではなく、他の従業員や上司などとの関係に注目するのが組織開発です。従業員へのヒアリングや調査などから原因を特定し、課題を設定します。
複数の従業員や部署を跨いだ協力が必要になることもあるので、前もって経営陣に許可を取っておくとスムーズに行えます。
④ネクストアクションを考える
設定した課題の仮説に対してのアクションを考えます。これは長期的なものではなく、短期的なものであり、小規模で行います。例を挙げると、ミーティングやワークショップなどが当てはまります。
次のステップである検証をしやすくするために、定量・定性を意識して考えましょう。
⑤検証とフィードバック
アクション後、結果を検証し、良かったポイントを関係者にフィードバックします。短期的な取り組みは早く成果が上がるため、早く検証・フィードバックができます。関係者にとって良い影響を与えるでしょう。
⑥成功事例を全社で行う
成功した取り組みは、ポイントを分析・整理して全社に展開していきます。過程を細かく分析することで、再現性高く全社で取り組めるでしょう。
全社に展開してからも検証とフィードバックを継続的に行うことで、取り組みを改良でき、従業員エンゲージメントにもつながります。
自社改善に向いている企業の特徴
組織改善を自力で行うことはとても理想的ですが、自社解決が全ての企業に効果的というわけでもありません。自社解決よりもコンサルに依頼した方が効果的な企業もあるでしょう。本パートでは、自社改善に向いている企業の特徴を紹介します。
- 人事部で対策を行う余裕がある企業
- 組織改善に人員や時間を割ける企業
- 組織風土においての課題と改善策がある程度明確な企業
- 組織の機能・仕組み・構造・運用方法改革の計画を自力で建てられる組織
組織改善コンサル導入のメリット
自社改善を検討した上で改善を見込めない、あるいは困難な場合は、迷わずコンサル会社に依頼をしましょう。
本パートでは、組織改善のコンサル会社に依頼した際のメリットについて解説します。
1. 第三者からの意見を取り入れられる
外部に組織改善コンサルを依頼すると社外の客観的な意見を取り入れられます。自社従業員のみで行うと、意見に偏りが見られたり、満足いかない結果になったりする可能性があります。
しかし外部のコンサルを通すことによって、公平な組織改善ができます。
また、組織改善に反発する従業員がいた場合に説得しやすいというメリットもあります。コンサル会社という外部からの意見には納得せざるを得ないこともあるでしょう。
2. 専門の知識を活用できる
組織改善コンサル会社は、その道のプロです。これまで多くの組織を改善してきています。プロであれば様々な経験の中から自社に合う手法を見つけ、導いてくれます。自社のみではなかなか解決しなかった事も専門知識があれば解決できるでしょう。
コンサル会社の支援を受けることで自社にはない知識を取り入れて、活用していくことができます。
組織改善のコンサル会社選びのポイント
もちろん、むやみにコンサル会社に相談することは、大きなリスクを伴います。コンサル会社を選ぶ際には慎重に見極めて選択することが重要です。
本パートでは、組織改善のコンサル会社選びのポイントについて解説します。
1. 自社の課題を解決できるコンサル内容であるか
コンサル会社によって得意とすることは異なります。一口に組織改善といっても分野は様々あるので、自社の課題の分野の解決が得意なコンサル会社を選びましょう。
事前に自社の課題を洗い出し、どのように解決してほしいかを考えてからコンサル会社を探すようにしてください。
2. 実績があるか
実績が豊富であるかはコンサル会社を選ぶ上で重要な指標です。実績の数も大事ですが、その内容も大事です。「どのように提案・検証し、結果はどうだったのか」に注目して選ぶと良いでしょう。
実績がなくても、良いコンサル会社はあるかもしれません。しかし多額の費用がかかり、これからの会社の運命を決める大事な決断です。実績がある会社に依頼する方が確実であると言えます。
組織改善のコンサル会社選びの際の注意点
1. 自社に合った会社を探すには時間がかかる
多種多様なコンサル会社があるため、自社に合った会社を探すには時間がかかります。また、依頼したコンサル会社が自社に合った会社だとは限りません。後悔しないためにもコンサル会社の得意分野は何か、組織改善の提案のみなのか、導入支援までしてくれるのかなど事前リサーチをしっかり行い、慎重に選びましょう。
コンサル会社の選定後はコンサル担当者としっかり話し合いましょう。せっかく自社に合った会社を選べたとしても、担当者と認識がすれ違ってしまうとコンサルを依頼した意味がなくなってしまいます。担当者と密にコミュニケーションをとりましょう。
2. 費用がかかる
コンサルの依頼には、もちろん費用がかかります。思っていたより費用に対して成果が出ないこともあります。
また、課題を解決している最中に新たな課題が見つかり、追加で費用がかかる場合もあります。事前に予算を決めておき、コンサル会社に伝えておくとよいでしょう。
組織改善コンサル会社5選
従業員の関係改善や組織の風土改善に関するコンサルを提供しているコンサル会社を紹介します。
コンサルティングは内容によって料金が異なります。料金については各会社にお問い合わせください。
1. 株式会社O:(オー)
株式会社O:(オー)はパフォーマンスマネジメントツール「Co:TEAM(コチーム)」を提供している会社です。オーではツールを提供のみならず、コンサルティングも行っています。ツールを実際に使用しながらのコンサルなので実践しやすいことが特徴です。オーは中小企業に対して特化しており、上司・部下間のコミュニケーション増加に課題がある企業に向いています。
コンサルのメニューは下記を中心に展開しています。
内容
- MVV策定ワークショップ
- 1on1研修
- 目標管理
- 評価者研修
- マネジメント研修
2. 三菱総合研究所
三菱総合研究所は、経済・社会・技術・テクノロジー、経営コンサルティングなど幅広い分野で活躍しているシンクタンクグループです。経験豊富人財と専門的な知識が特徴です。三菱総合研究所のコンサルは、環境の変化に対応できる組織運営と人材育成など計5つのコンサルメニューから自社の課題に合ったものを選択し、組織としてのパフォーマンスを向上させることが特徴です。
内容
出所:三菱総合研究所
- 働き方改革/職場環境改善支援
- 組織風土改革、従業員エンゲージメント向上支援
- スキル・人材の「見える化」による人材育成高度化支援
- ポスト・マネージャー戦略(PMI)支援
- 人材戦略立案、人事制度設計・導入支援
3. リンクアンドモチベーション
リンクアンドモチベーションは、人材開発・組織開発・人材採用の分野でサービス・研修・コンサルティングを行っている会社です。モチベーションを切り口にした組織人事コンサルティングが特徴です。数あるコンサルティングのうち、ここでは「職場改善コンサルティング」を紹介します。
内容
バーナードの「組織成立の3要素」をベースにコンサルティングします。
- 「共通の目的」職場は何のためにあるのかという職場の目的を明確化し、職場全体に共有する支援をする。
- 「コミュニケーション」職場のコミュニケーションを可視化し、上手くいっていない部分を明確化し解決に向けて策を講じる。
- 「協働意思」従業員エンゲージメントの向上やモチベーションの傾向を把握し、共有し、従業員の協働に対する認識を統一化。
4. BYWILL(バイウィル)
BYWILLは2023年4月に株式会社フォワードとWaara株式会社が合併してできた会社です。ブランドコンサルティング、組織強化コンサルティング、組織文化調査を行っています。ここで紹介するのは組織強化コンサルティングです。組織強化コンサルティングでは、企業の環境変化に対応するため、「事業戦略・ブランディング」「組織戦略・組織文化」という2つを提供します。
内容
出所:株式会社バイウィル
- 現状把握(組織文化調査、従業員・顧客インタビュー)
- 戦略策定(ミッション・ビジョン策定、行動指針・バリュー策定、組織変革シナリオ設計)
- 実行支援(人事・評価制度設計、表彰制度設計、組織変革ワークショップ)
5. 株式会社名南経営コンサルティング
株式会社名南経営コンサルティングは、経営をトータル的にサポートするプロ集団です。中堅中小企業に特化しています。
企業が持っているその集団特有の性格のことを「組織風土」といいます。組織に属し続けると、組織のメンバーの影響を良くも悪くも受けるようになります。組織風土をより良いものにしていくのがこのコンサルティングの特徴です。
内容
- 現状分析(組織風土診断)
- 企業文化改善対策立案
- 改善策の実行支援
まとめ
組織改善にはさまざまな分野がありますが、本記事では事業内容や評価制度の改善ではなく、主に人間関係や職場の性質などの「人の集団」としての組織改善について注目しました。
コンサル会社に依頼すると、専門的かつ客観的な意見を取り入れられるのでおすすめですが、自社で改善することを試みることもいいでしょう。
また、コンサル会社を選ぶ際、自社に適したコンサル会社を見つけるには多大な時間がかかります。メリットや選び方を考慮したうえで最善の選択をしてください。
株式会社O:(オー)が提供しているパフォーマンスマネジメントツール「コチーム」の詳しい資料は下記ボタンからダウンロードできます。
組織改善コンサルに関しては下記ボタンからお問い合わせできます。
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