▼ この記事の内容
KPIが多すぎる場合は、1つのKGIまたはKSFに対して3〜5個を上限目安にします。数だけで削らず、コチーム式4条件で残す指標と保管する指標を分けることが重要です。
KPIは1つのKGIまたはKSFに対して3〜5個を上限目安にします。弊社支援先では、マネージャーの前向き度が73.3%から81.8%へ変化した事例もあり、追う数字を絞ることは管理職の行動にも影響します。
一方で、KPIを減らす会議では「重要な数字まで消えるのではないか」という不安が出ます。
削る理由を説明できないまま進めると、次の会議で同じ指標が戻り、目標管理は形骸化します。
この記事では、KPIが多すぎる状態を整理し、残す指標と保管する指標を分ける判断軸を示します。部門長や現場に、なぜそのKPIを追うのかを説明できるはずです。
KPIが多すぎる時の上限目安
KPIが多すぎる場合は、1つのKGIまたはKSFに対して3〜5個を上限目安にします。残す指標は数だけで決めず、目標への貢献、行動への変換、測定頻度、関係者の説明可能性で判断します。
KPIは3〜5個を上限にする
KPIは1つのKGIまたはKSFに対して3〜5個を上限目安にします。複数のKGIがある場合は、KGIごとに分けて管理します。
KPIは、最終目標であるKGIに向かう途中の進捗指標です。数が増えるほど管理は細かくなりますが、会議で確認できる論点と現場が動かせる論点は減る点が実務上の問題です。
人事部門なら、離職率、1on1実施率、評価納得度、目標達成率を同じ会議で追うだけでも議論が散らばります。各指標の担当者と改善行動が決まらない場合、そのKPIは運用上の優先指標から外します。
本記事では、残すKPIを選ぶ基準を「コチーム式4条件」と呼びます。これは、KGI貢献度、行動可能性、測定頻度、合意可能性の4つでKPIを判定する考え方です。
Bjerke and Rengerが2017年にEvaluation and Program Planningで発表した論文では、SMART法は測定可能な目標を作る主流手法として整理されています。KPIを3〜5個に絞る目的は、改善行動まで説明できる状態にすることです。
参考:Being smart about writing SMART objectives|ScienceDirect
多すぎるKPIが目標管理を崩す理由
多すぎるKPIは、目標管理の会議、評価面談、現場行動を分断します。追う数字が増えるほど、どの数字を改善すべきかを説明する時間が増える点が実務上の問題です。
仮にKPIが10個並ぶ会議では、未達の数字を順番に確認するだけで時間を使います。営業部門なら商談数、受注率、単価、継続率、提案速度を同時に扱い、改善策が担当者ごとに分散してしまうためです。
評価面談でも同じ問題が起きます。評価者が複数のKPIを根拠に話しても、本人が明日変えられる行動に落ちない場合、納得ではなく確認作業で終わります。
弊社が支援したコチーム導入企業では、マネージャーの前向き度が73.3%から81.8%へ変化しました。この数字だけでなく、会議後に画面を開いて自分の担当者を確認する管理職が増えた点を重視します。一時的な探索指標は、削除せず別管理にします。見るKPIと調べるKPIを分けると、目標管理の場では改善行動に直結する数字だけを扱えます。
たとえば定例会議で扱うKPIを売上、商談化率、継続率の3つに絞ると、各数字に対する担当施策を確認しやすくなります。反対に調査用の補助指標まで同じ場で扱う場合は、意思決定に使う数字か、原因分析に使う数字かを先に分ける必要があります。
見る指標と保管する指標を分ける
KPIを減らす時は、指標を削除するのではなく、見る指標と保管する指標に分けます。会議で扱う数字だけを絞ると、見落としへの不安を抑えられます。
見る指標は、週次や月次の会議で意思決定に使う数字です。保管する指標は、異常値の確認、監査、過去比較のために残す数字であり、毎回の議題には入れません。
人事KPIなら、月次会議で見る指標を離職率、1on1実施率、評価納得度に絞る方法があります。採用応募数や研修受講率は、目的が別なら保管指標として管理します。
人事領域で使うKPI例を広く確認したい場合は、人事KPIの一覧と使い分けを確認すると、候補を出す段階の抜け漏れを減らせます。候補を出す段階と絞る段階を分けると、議論の混乱を抑えられます。
保管指標を残す前提にすると、削る判断を関係者へ説明しやすくなります。次に必要なのは、どのKPIを会議で見る指標として残すかを決める基準です。
残すKPIを選ぶ4つの基準
残すKPIは、KGI貢献度、行動可能性、測定頻度、合意可能性の4条件で選びます。数を減らすだけではなく、会議、1on1、評価面談で使える指標だけを優先します。
KGIに直結しない指標は削る
KGIに直結しないKPIは、会議で見る優先指標から外します。売上、離職率、評価納得度などの最終成果に説明できる因果があるかを確認します。
KGIは最終的に達成したい成果で、KPIはその途中の進捗を示す数字です。KPIが多すぎる組織では、集計しやすい数字が残り、成果に近い数字が後回しになります。
人事部門なら、離職率を下げたいのに研修受講率だけを追っても、退職理由との関係を説明できません。1on1実施率、面談後の行動記録、評価納得度のように、KGIへ向かう道筋が見える指標を残します。
リスク監視のために必要な数字は、削除ではなく別枠で管理します。法定対応や監査に必要な指標まで会議KPIに入れると、改善のための論点と確認のための論点が混ざります。
KGI貢献度が低い指標を外すと、会議で扱う問いが絞られます。どの数字を改善すれば最終成果が動くのかを説明できる状態が、KPI削減の最初の基準になります。
現場が行動できる指標を残す
現場が行動できるKPIを残すと、目標管理は反省会ではなく改善の会議になります。遅行指標は結果が出た後に分かる数字で、先行指標は現場が先に変えられる数字です。
【専門家の見解】
結果指標だけを追うと、管理職は未達の理由を説明する側に回ります。成果から逆算して現場が今日変えられる活動指標を残すと、KPIは行動の選択に使えます。
支援先の一例では、営業課長が中途入社者の育成に使う時間をその場で計算し、週の半分が埋まると判断しました。本人が動かせる指標に置き換えたため、育成計画の優先順位を説明できました。
経営報告では遅行指標も必要です。現場会議では先行指標を中心にし、経営報告では遅行指標と並べて見ると、行動と成果の関係を確認できます。
測定頻度と会議体に合う指標を残す
測定頻度と会議体が合わないKPIは、優先指標から外します。週次で変わらない数字を毎週見ても、会議で決められる行動は増えません。
KPIは、数字の性質に合わせて見る間隔を変えます。週次会議では行動量や面談実施など短期で変わる数字を扱い、月次会議では成果や傾向を確認します。
会議体ごとの使い分けは、次のように整理します。
| 会議体 | 残すKPIの例 | 外す候補 | 判断基準 |
|---|---|---|---|
| 週次1on1 | 次回行動、支援依頼、進捗停滞 | 四半期評価点 | 本人が翌週までに変えられる |
| 月次人事会議 | 離職率、1on1実施率、評価納得度 | 日次の細かな入力件数 | 部門として打ち手を決められる |
| 四半期評価会議 | 目標達成率、貢献実績、評価分布 | 週次の一時的な変動 | 評価判断に耐える期間で見られる |
週次と月次を分けると、KPIの数を減らしても情報は失われません。短期で動かす数字と、一定期間で判断する数字を分けることが、会議の混乱を抑えます。
四半期評価用の指標は、頻度を下げて残す判断が有効です。すべての指標を同じ会議で扱わず、会議の目的ごとに見る数字を決めます。
関係者が説明できる指標を残す
関係者が説明できないKPIは、目標管理の合意形成を妨げます。残す理由、外す理由、評価との関係を部門長と現場が同じ言葉で話せる指標を優先します。
KPIを削る場面では、重要な数字まで消えるのではないかと不安が出ます。その場合は、会議で見る指標、保管する指標、監査用の指標を分けると、削除ではなく運用上の整理として説明できます。
弊社が支援したコチーム導入企業では、マネージャー同士のレベルが揃ったという経営者の声がありました。揃ったのは個性ではなく、目標、対話、評価を説明するための土台です。
評価面談で使うKPIは、本人がなぜその数字で見られるのかを理解できる必要があります。面談で説明できない指標を評価材料にすると、数字はあっても納得につながりません。
KPIと評価基準を整理したい場合は、まず関係者が同じ基準で説明できる状態を作るのがおすすめです。マネジメントの属人化に課題を感じている方は、以下の資料をご覧ください。
KGIからKPIを絞る手順
KPIの絞り込みは、KGI、KSF、候補KPI、削減理由、月次レビューの順で進めます。先に候補を削ると説明が弱くなるため、最終成果から逆算して残す数字を決めます。
- KGIを固定することで、最終成果に直結しない指標を候補から外しやすくします。
- KSFを分解することで、成果を左右する主要な成功要因を具体的な行動単位に落とし込みます。
- 候補KPIを洗い出すことで、測定できる指標を広く出してから比較できる状態にします。
- 4条件で残す指標を選ぶことで、重要度や管理可能性の低い数字を削ります。
- 削った理由と再評価条件を記録することで、環境変化があったときに見直しやすくします。
KGIとKSFを先に固定する
KPIを絞る前に、KGIとKSFを固定します。KGIが未確定のままKPIを減らすと、残した理由を部門長や現場に説明できません。
手順は、最終成果をKGIとして置き、成果を左右する要因をKSFとして分解し、最後に測定するKPIを候補化します。目標管理の型から整理したい場合は、目標管理手法の違いと使い分けも確認できます。
人事部門なら、KGIを評価納得度の向上に置き、KSFを評価基準の理解、面談準備、1on1記録の蓄積に分けます。KPIは各KSFに対して1〜2個ずつ出すと、候補が増えすぎません。
候補KPIを重要度で並べ替える
候補KPIは、重要度で並べ替えてから削ります。思いついた順に残すと、測りやすい数字だけが残り、成果への直結度が弱くなります。
並べ替えでは、KGI貢献度、行動可能性、測定頻度、合意可能性を点検します。各候補に高、中、低を付けるだけでも、会議で扱う数字と保管する数字を分けやすくなります。
よくあるケースとして、入力数や参加率は測りやすいため上位に残りがちです。成果への説明が弱い場合は、主要KPIではなく補助指標として扱います。
捨てるKPIの理由を記録する
捨てるKPIの理由を記録すると、指標の再増加を防げます。削った理由が残っていないと、次の会議で同じ数字が再び候補に戻ります。本記事では、削減理由を残す表を「コチーム式KPI削減ワークシート」と呼びます。列は、候補KPI、残す判断、削る理由、保管先、再評価条件の5つで構成します。
弊社が支援した企業では、いったん外したKPIの理由を残さなかったため、次月の会議で同じ入力件数が主要指標へ戻りました。削った理由と再評価条件を残すことで、議論は『戻すかどうか』ではなく『条件を満たしたか』に変わります。
たとえば研修受講率を主要KPIから外す場合、削る理由は「行動改善との直結度が低い」と書きます。保管先を人材開発レポートに置き、再評価条件を新任管理職研修の開始時に設定します。
月次レビューでKPI数を見直す
KPI数は、月次レビューで見直します。期初に3〜5個へ絞っても、施策追加や組織変更で指標は増えます。
月次レビューでは、使われなかったKPI、判断に使ったKPI、新たに必要になったKPIを分けます。会議で一度も意思決定に使われなかった数字は、保管指標へ移す候補です。
短期変動が少ない指標は、四半期レビューでも足ります。人事・目標管理では、次に評価面談や1on1で説明できる粒度へ落とすことが重要になります。
人事・目標管理での注意点
人事・目標管理では、部門KPIを個人目標へそのまま分解しません。評価面談や1on1で本人が変えられる行動に翻訳してから、残すKPIを決めます。
部門KPIを個人目標に直結させない
部門KPIを個人目標に直結させると、本人が変えられない数字で評価されます。個人目標には、部門成果へつながる行動や判断を置きます。
【専門家の見解】
評価面談で本人が説明に困るKPIは、目標管理の指標として粗すぎます。部門KPIは、本人が翌月の行動に移せる単位へ分けてから使います。
OKRを使う組織でも、ObjectiveとKPIを同じ粒度で扱うと指標が増えます。OKRとKPIの役割の違いを確認すると、目標と測定指標を分けて整理できます。
先行指標と遅行指標を混ぜて残す
人事KPIは、先行指標と遅行指標を混ぜて残します。遅行指標だけでは結果の確認に寄り、先行指標だけでは成果との関係が弱くなります。遅行指標は、離職率、目標達成率、評価納得度のように結果が出た後で確認する数字です。先行指標は、1on1実施、面談準備、支援依頼の対応など、結果の前に変えられる数字です。
弊社が支援したHR系スタートアップでは、売上が伸びた一方で営業担当者が退職しました。離職率改善KPIでは、離職率だけでなく1on1記録や支援依頼も合わせて見ます。
| 指標の種類 | 残すKPIの例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 先行指標 | 1on1実施、面談準備、支援依頼への対応 | 週次の改善行動を決める |
| 遅行指標 | 離職率、目標達成率、評価納得度 | 月次や四半期で成果を確認する |
表のように役割を分けると、KPIを増やさずに行動と成果を見られます。経営報告では遅行指標を中心にし、現場運用では先行指標を厚く扱います。
評価面談で説明できる粒度にする
評価面談で説明できないKPIは、評価材料から外します。本人がなぜその数字で見られるのかを理解できる粒度まで分けます。
評価者が部門KPIを並べても、本人の行動とつながらなければ納得は生まれません。面談では、目標、行動、支援、結果の順に説明できる指標を残します。
弊社が支援したコチーム導入企業では、マネージャー同士のレベルが揃ったという声がありました。評価に使わないKPIは保管指標として別管理し、面談で扱う論点を絞ります。
1on1で確認する行動に落とす
KPIは、1on1で確認する行動に落とすと運用に残ります。数字を見せるだけでなく、次回までに何を変えるかを合意します。
1on1では、KPIの未達理由を聞くだけでは足りません。面談の最後に、次回行動、必要な支援、確認する数字を1つずつ決めます。
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よくある質問
KPIが10個以上ある場合は多すぎますか
10個以上ある場合は、会議で毎回判断に使うKPIとしては多い可能性があります。まずKGIやKSFごとに分け、見る指標を3〜5個に絞るのがおすすめです。具体的な進め方は組織の現状に応じて調整します。
KPIを減らすと重要な数字を見落としませんか
重要な数字は削除せず、保管指標として残します。会議で見るKPIと、異常値確認や監査のために残す数字を分けると、見落としへの不安を抑えられます。まずは現状の課題を整理することから始めます。
OKRとKPIは同じ数で管理すべきですか
OKRとKPIは同じ数でそろえる必要はありません。OKRは目標と成果の方向性を示し、KPIは進捗確認に使うため、役割を分けて管理します。定着には週次での振り返りが効果的です。
まとめ
KPIが多すぎる時は、1つのKGIまたはKSFに対して3〜5個を上限目安にします。ただし、数だけで減らすのではなく、KGI貢献度、行動可能性、測定頻度、合意可能性で残す指標を選びます。
会議で見る指標と保管する指標を分けると、重要な数字を失わずに目標管理を整理できます。人事・評価の場面では、部門KPIをそのまま個人目標にせず、本人が1on1や評価面談で説明できる行動へ翻訳することが大切です。
KPIが増え続ける状態を放置すると、評価や1on1で何を改善すべきかが曖昧になります。目標管理と評価の納得感を高めたい方は、以下の資料をご覧ください。
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