目次
部下が示す退職の兆候
部下や同僚が突然退職しショックを受けた経験はないでしょうか?突然の退職に感じたとしても、彼らは何かしらの前兆を示しているはずです。
退職をほのめかす兆候の内容は、退職検討段階の深刻さとともに変化します。上司は、部下の言動がどのくらい退職の危険性があるのかを把握することが大切です。
退職の危険性に応じて、上司として適切な対処やフォローを行うことで、部下の突然の離職防止に努めましょう。
- 退職者1人あたりの企業の損失とは?
- 上司に不満を持つ社員が退職するまでの考え方の推移
- 部下との信頼関係を築くためのマネジメント行動
- 離職防止のために人事・経営が採るべき施策とは?
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退職検討中の4つの兆候
まずは、退職検討段階における前兆を解説します。
退職検討段階では、部下の退職を引きとめられる可能性が高くなります。部下が退職を検討し始めている段階から、適切に対処することで、部下の離職を防ぎましょう。
1. 仕事に関する愚痴が増えた
退職検討段階では、仕事に関する愚痴が増える傾向があります。
仕事内容にやりがいを感じなくなってしまうと、部下は転職を視野に入れ始めてしまいます。
部下が仕事の愚痴を言っている場合には、放置せずにじっくり話を聞くことが大切です。
2. 飲み会など業務外での交流に参加しなくなる
退職検討段階では、飲み会と言った業務外での交流に参加しなくなる傾向があります。
退職を考え始めると、職場内交流に消極的になってしまいます。退職を考えていなかったとしても、職場内の交流にあまり参加しない場合は、職場内で何かしらの人間関係トラブルを抱えている可能性があります。
そのため、職場内の交流になかなか参加しない社員には、職場の人間関係がうまくいっているか気にかける必要があるでしょう。
結婚したり、子どもが生まれた場合は家庭を優先することが増えるため、この場合は例外です。
3. 評価や待遇に不満を示している
退職検討段階では、評価内容や待遇に不満を示し始める傾向があります。
実際の成果や業務内容に対して、適切な評価や待遇が受け取れなかった場合、部下は自分が認められていないと感じてしまうでしょう。
不当な評価だと感じてしまうことで、仕事に対するやる気が徐々に失われる危険性があります。
4. 笑顔が減ってやる気が感じられない
退職検討段階では、笑顔が減り業務へのやる気が見られない傾向があります。
現状の業務内容に満足していないと、だんだんと業務に対するやりがいを損ねてしまう可能性があります。
業務がつまらないと感じてしまうと、仕事に笑顔で取り組むことが少なくなるでしょう。
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転職活動中の5つの兆候
次に、転職活動中の段階における前兆を解説します。
転職活動中になると、退職を引きとめることはやや困難となるでしょう。しかし、部下の悩みを聞き出し課題解決ができれば、部下は退職を思いとどまる可能性があります。
転職活動中の兆候を知ることで、部下が転職先を見つける前に、悩みの解決に努めましょう。
1. 仕事中に私用電話で離席している
転職活動段階では、仕事中に私用電話で離席することが増える傾向があります。
転職活動をしていると、選考の結果通知や日程調整のため、電話がかかってくることが多くなります。
周りから隠れて私用電話をしている時間が増えたら、転職活動をしている可能性があると考えられるでしょう。
2. 身だしなみを整え始める
転職活動段階では、身だしなみを整えるようになります。
転職活動の面接に備え、髭を剃ったり髪の毛を染めるなどして、身だしなみに気を使い始めるでしょう。
また、これまでカジュアルな服装で通勤していたにもかかわらず、突然スーツで出勤した場合は、勤務後に面接を控えていると考えられます。
3. 退社時間が早まった
転職活動段階では、退社時間が早まる傾向があります。
転職活動を始めると、転職のための準備に費やす時間が増えるため、早々に仕事を切り上げるようになります。
また、仕事に対するやる気も著しく低下するため、残業をしないようになります。これまでと比べて残業時間が急に短くなった場合は、注意が必要です。
4. 休みが増える
転職活動段階では、休みが増える傾向があります。特に、週の半ばで休みが増えている場合には注意が必要です。
転職活動の面接は平日に行われるため、仕事を休む必要が生まれます。また、退職前に有休を消化しきるという意味でも、休みを取る回数が増えると想定できます。
休暇であれば、土日と合わせて連休にする人が多いため、月曜か金曜に休みを取ることが多いでしょう。そのため、月曜と金曜以外で積極的に休みを取る人には注意が必要です。
5. 資格習得に熱心である
転職活動段階では、資格習得に熱心に取り組む傾向があります。
転職活動では即戦力となる人材が求められることが多いため、選考においては業務経験だけでなく関連する資格が重要になります。
そのため、これまで資格習得に関心がなかった社員が資格勉強に取り組んでいたら転職を意識しているといえるでしょう。
もちろん、転職を考えていなくても現職でのスキルアップや待遇面を上げるため、資格勉強に取り組むこともあります。
しかし、資格が直接現職の昇進・昇給に影響しない場合は、資格習得よりも仕事で成果をあげることを優先することが多いでしょう。
退職間近の4つの兆候
次に、退職間近の段階における前兆を解説します。
転職先が決まっている段階では、退職を引きとめることは難しいでしょう。退職意思のある部下と話し合う際には、相手の意思を尊重することが大切です。
部下の悩みや意見を聞き、社内全体で改善できる余地がないか検討し、今後突然退職する部下が現れないよう対策を考えましょう。
また、退職意思のある部下が、前向きな気持ちで次の道に進めるように、上司として適切な支援や職場環境の整備に取り組むことが大切です。
1. 引き継ぎマニュアルを作成している
退職間近の段階では、自分が退職したあとのために引き継ぎに力を入れ始める傾向があります。
引き継ぎマニュアルを作成することで、引き継ぎにかかる時間を短縮し、速やかに退職することができます。
また、マニュアルを作成していなくても、自身の仕事を他の従業員に教えることで引き継ぎを始めている場合があります。
部署異動が決まっている場合や、権限移譲で自身の業務負担を減らしたい場合以外で引き継ぎをしている際には注意が必要です。
2. 新しい業務に関心がない
退職間近の段階では新しい業務に消極的な傾向があります。特に、その新しい業務が長期にわたって実施される場合は、ほとんど関心を示さないでしょう。
転職先が決まっている場合、現状の業務を整理したいと考えているため、新たな業務に積極的に取り組むことができません。
これまで新しい業務に積極的だったにもかかわらず、突然新しい業務を受けなくなった場合には注意が必要です。
3. 机の上を整理し始めている
退職間近の段階では、退職に備えだんだんと机の上を整理し始めるでしょう。
年度末といった区切り以外で、急に机の上を整理し始めた場合は速やかに退職する準備を始めています。
部下が机の上を整理したり、荷物を徐々に持ち帰っている場合は、退職間近であると考えられます。
4. 笑顔が増え楽しそうである
退職間近の段階では、仕事中笑顔が減っていた部下が、急に楽しそうに仕事に取り組み始める傾向があります。
業務内容や待遇が変化していないにもかかわらず、笑顔が減っていた部下が突然笑顔で仕事に励むことはあまりないでしょう。
転職先において自分のやりたいことを見つけた喜びや、もう少しで新たな職場に移動できる安堵から笑顔が増えていると考えられます。
部下が突然仕事を辞める理由
ここまで、部下が退職をする前兆についてレベルごとに解説しました。
では、部下はなぜ退職を検討し始めるのでしょうか。本パートでは部下が突然仕事を辞める理由について詳しく解説します。
1. 仕事にやりがいを感じていない
部下が退職を検討する理由の1つ目に、仕事にやりがいを感じていないことが挙げられます。
自分が大切にしている価値観と、会社から求められることに誤差が生じてしまうと、仕事に対するやりがいがだんだん損なわれてしまいます。
長期なキャリアプランと、現職の仕事内容がかけ離れてしまっていても、仕事がだんだんつまらなくなっていってしまうでしょう。
2. 待遇や評価に不満がある
部下が退職を検討する理由の2つ目に、待遇や評価に不満があることが挙げられます。
自分の能力や頑張りを正当に評価されていないと感じたり、同僚と比較し待遇面に差があると感じると、業務に対するやる気が失われてしまいます。
給料や待遇面におけるより正当な見返りを求め、退職を検討し始めてしまうでしょう。
3. 労働環境や労働時間が合わない
部下が退職を検討する理由の3つ目に、労働環境や労働時間が合っていないことが挙げられます。
職場と家が物理的に遠い距離であったり、家庭を持ち始めこれまでのように仕事に取り組めなくなったりすると、プライベートと仕事の両立が難しくなってしまいます。
仕事そのものに不満は感じていなくても、よりプライベートの過ごし方を大切にできる職場への転職を検討することがあるでしょう。
4. 職場の人間関係に問題がある
部下が退職を検討する理由の4つ目に、職場の人間関係に問題があることが挙げられます。
人間の悩みの多くは人間関係にあるといわれるように、人間関係におけるトラブルは誰にでも起こる可能性があります。
社内の上司や同僚との人間関係がこじれてしまうと、職場にいることが精神的につらくなってしまうでしょう。
そのため、新たな転職先が見つかっていなくても、人間関係でトラブルが起きてしまうと、現職を辞めてしまうことがあります。
意見の言いやすい、風通しの良い職場を目指すことにより、これによる退職は減少するでしょう。
5. 転職先に魅力を感じている
部下が退職を検討する理由の5つ目に、転職先に魅力を感じていることが挙げられます。
今の職場に大きな不満があるわけではなくても、自分がやりたいと思っていたことによりマッチする職場が見つかる可能性があります。
辞めそうな部下にとるべき対応
部下から退職の意思を伝えられた際、上司はどのように対処すれば良いのでしょうか。
ここでは、辞めそうな部下に対して上司が取るべき適切な対応を詳しく解説します。
1. 悩みや不満を聞いて受け止める
部下から退職の意思を伝えられたら、まずは部下の悩みや不満を真摯な姿勢で聞くことが大切です。
部下は、多くの選択肢を比較し、悩んだ上で退職という道を選択しています。いくら部下に退職してほしくないとしても、その決断をどうにか変えようと説得するばかりでは、部下の心はどんどん離れていってしまいます。
部下からの信頼を失わないためにも、まずは部下の選択の背景をしっかりと受け止めることが大切です。
2. 実際の業務内容や量を調査する
部下から退職の理由を聞いた後は、部下の実際の業務内容や業務量を把握しましょう。
部下は退職理由として、不当な評価や、業務内容への不満を挙げることがあるでしょう。
部下への評価や部下の業務を改善するために、上司として部下の頑張りや成果を見逃していないのか、しっかりと確認する必要があります。
3. 長期的なキャリアプランを考える
部下の悩みや考えを受け止めた上で、長期的なキャリアプランを一緒に考えましょう。
キャリアプランは必ずしも現職でのキャリアプランでなくて構いません。部下のやりたいことを長期的な視点で考えた時に、どの手段が一番適しているのかを1on1などで上司として見極め、助言することが大切です。
そうすることで、退職するにしても退職を思いとどまるとしても、上司と部下が両者ともに納得して選択を受け入れられるでしょう。
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優秀な社員の引きとめ方
退職を希望する部下に対し適切に対処をすることで、退職を引きとめることができます。
優秀な人材の流出を防ぐために、上司としてどのように引きとめればよいのかを理解し、実践することが大切です。
ここでは優秀な社員の引きとめ方について詳しく解説します。
1. 一緒に働きたい旨を伝える
優秀な部下を引きとめるには、正直に一緒に働きたいということを伝えることが大切です。
上司から一緒に働きたいと伝えられることで、職場内における自分の存在意義を見出すことができるでしょう。
自分は職場から必要とされていると感じることができれば、退職を思いとどまる可能性もあります。
共に働きたいと伝える際には、まずは部下の退職理由をしっかり受け止めることと、一緒に働きたい理由を一緒に説明することを意識することが大切です。
2. 待遇や評価を見直す
優秀な部下を引きとめるには、部下への待遇や評価を見直す必要があります。
優秀な部下は、頑張りに対する見返りに不満を持っている場合が多くあります。
部下の能力や仕事の成果を適切に評価したうえで待遇を見直し、その評価の理由を本人が納得する形で説明することが重要です。
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3. 配属や業務内容を見直す
優秀な部下を引きとめるには、部下の配属や業務内容を見直す必要があります。
長期的なキャリアを考えた際に、現状の業務がキャリアプランに沿っていないと感じた場合、部下は転職を考え始めるでしょう。
部下のキャリアプランを考えた上で、どのような配属や業務が適しているのかを一緒に考えることが大切です。
離職防止のため日頃からできること
部下が退職を視野に入れないためには、普段から部下がモチベーション高く仕事に取り組む仕組みづくりをすることが重要です。
ここでは離職防止のために日頃からできる取り組みについて詳しく解説します。
1. 密にコミュニケーションを取れる環境作り
突然の離職防止のため、普段から密にコミュニケーションを取り合う仕組みを整えることが重要です。
部下の些細な変化に気づくためには、日頃の部下の様子を知っておく必要があります。また、コミュニケーションを密に取り合うことで、職場内の人間関係を良好にし、部下が悩みを抱え込まない状態をつくりだすことができるでしょう。
コミュニケーションツールやチャットを活用することで、業務内容の進捗状況の把握はもちろん、日頃から声を掛け合う環境を整えましょう。
このような考え方をピープルマネジメントと呼びます。ピープルマネジメントを実現させるツール・システムについては以下の記事をご覧ください。
2. 部下のキャリアプランを把握する
突然の離職防止のため、上司は部下のキャリアプランを定期的に把握しておくことが大切です。
部下の長期的なキャリアプランを知ることで、新たな業務を任せる時に優先的に適切な部下に仕事を回すことができます。
また、現状の仕事が部下のキャリアプランにどのように影響しているのかを理解することで、部下の業務へのやりがいを知ることができます。
1on1を定期的に実施することで、キャリアプランに対する部下の現在の状態把握に努めましょう。
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3. 相互に賞賛する風土を作る
突然の離職防止のため、部下の仕事への取り組みを正当に評価し、賞賛する風土を作ることが大切です。
部下の頑張りを賞賛することで、部下の承認欲求を満たし仕事へのモチベーションややる気を向上させることができます。
賞賛する文化を作るために、賞賛や感謝を伝え合うためのツールを活用すると良いでしょう。
まとめ
部下は退職する前に幾つかの前兆を示しています。
部下に退職してほしくないとしても、部下の転職先が決まり、退職間近のタイミングでは退職を引きとめることが難しくなってしまいます。
退職意思のある部下に適切な対応をするためにも、部下の退職の前兆を見逃さないようにしましょう。
また、突然の離職を防ぐために、日常的に部下のモチベーションを維持する環境を整えることが重要です。
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