導入事例

「ミッション・ビジョン・バリュー半分、業務半分」というバランスで経営すると、会社はうまく回りだす

株式会社フクナガエンジニアリング
事業内容
保管・運搬用フレコンバッグの製造・販売、産業車両用ノーパンクタイヤなどの製造・販売、金属資源リサイクル
設立
1994年
従業員数
28名
「ミッション・ビジョン・バリュー半分、業務半分」というバランスで経営すると、会社はうまく回りだす

-本日はミッション経営の実現に向けて本格的に舵を切った福永社長にお話しを伺います。福永社長はまず、働く個人の思いを引き出すことを非常に重要視されていますよね。

はい。例えば、当社にはベトナム国籍の方も多く在籍しているのですが、ベトナムってちょっと特徴的だと思っていて。ベトナム人って、家族が大好きで仕事よりも家族優先。真面目で勤勉でっていうのは、日本と似ててすごく親和性がいい国だなって思ってるんです。

そんなベトナム出身のお母さんが社員にいます。彼女たちと話していると家族の話をしましょうみたいなことになる。7つの習慣ってご存知ですか? 7つの習慣を家族のために学ぼうよっていうふうに、私が7つの習慣の事例を話しています。

例えば、親の言うことを聞かずにお友達におもちゃを貸さない子供の話とかね。 そういう話を例えて、7つの習慣から原理原則の話をしてるんですね。

仕事でなくて、家族の話をとっかかりに聞き出すんですよ。仕事の話だったらみんな聞かないけど一番関心のある自分の子供の話になると、お母さんたちの目がキラキラしだすんですよね。

そんなことを、ここ一年やってたんですよ。それで10分ぐらいやって感想を1人ずつ言ってもらうんです。で、はじめは家族の話をしているんですがそのうち仕事のことを言い出すんですよ。

私はお客さんのためにもっと何ができるかっていうことを考えないといけないとか。こちらから聞かなくても仕事に関する意見を言ってくれるようになるんです。これには驚きました。こちらからは仕事の話はしていないのに、したくなってくるんですね。

最近新しい社員をミッション採用したんです。フクナガエンジニアリングは人を育てる会社で、売上だけを上げる会社ではないですっていうふうに採用したんです。それに共感する人が入ってくださいと。今その教育をしなければならない。メンバーみんなのキャリアプランを作らないと、ということをしています。

「みんながワクワクしている姿を見たい。それが自分のやりたいこと」

-福永さんのパーソナリティや意思が組織に色濃く反映されていますね。先ほどおっしゃられたような売り上げだけじゃなくて、きちんと人間性が育つことを重視されているところで、上司の皆様が部下の方にそういうことをやっていこうという思いで接されているという点も大きそうですね。例えば、ミッション経営がそのあたりに関わっている感覚っておありですか。

そういう(7つの習慣のような)原体験があったのでやりたいと思ったんです。これ面白いな、絶対応用できるよねと。自分自身ずっと人参ぶら下げ系でやってきて失敗してきたんですよ。

今年で29期目。同じことやってももう面白くないし、次の世代に譲ろうと明言もしているので何か逆算で考えてやろうぜみたいなことやってるわけです。

そこで自分が何がしたいんだって考えたらやっぱり周りがイキイキワクワクして楽しくやってるのを俺がニヤニヤって見てて、その状態が俺の一番やりたいことって思うんですよ。売り上げじゃなくて利益でもないんですよ。

-なるほど。今、この先・未来の話が出ていますが、こういうことを語れる経営者は多分日本でも少ないです。どうしてそういった未来を描けるようになったのでしょうか。

訓練をしてるからですかね。たまたまですが、元々前職のサラリーマンのときも新規事業の部署しか行ってないんですよ。

私の弱点は、決まった仕事を大きくするのが全然駄目だというところです。飽き性なんですよね。流れ作業が大嫌いです。そういうタイプだっていうことがわかって今でもやってます。

コロナになって、最初は厳しい状況だと感じていたのですが、今はwebでいつでも誰とでも会えるじゃないですか。瞬間的に分刻みで。

私が東京にいなくても東京の情報が集まってきます。例えばスタートアップのmorning pitchの情報なども。そういうオンラインのところに、どんどん入っていって、情報のいいとこだけ取るっていうのは自分の天性だと思っています。

それと、やってるうちにいろんな人のパターンが見れるから、自分の絵をかきやすい。人のパターンを見て、じゃあ自分はこうしたらいいなっていうのを書きやすい。慣れているのですね。

「同じ種類の泥臭さを感じた。不確実性の高い人と付き合いたい。」

-コロナによってオンラインに移行していったものが増えたことで、逆にアンテナさえはっていれば情報が手に入れやすくなったことはありますよね。そんな中弊社とも出会っていただいたわけですが、我々と一緒にミッション経営をやってみようと思われたきっかけはなんでしたか?

社内メンバーが、谷本さんと話して、いい人います!って聞いたんです笑

そのメンバーは私と性格も似てて、嗅覚があると信頼しているのでね。我々のビジネススタイルや技術ノウハウというか、我々のメンバーってみんな原石で、磨いたら、すごく輝くと思っていて、谷本さんとだったらそういうことができそうと思ったんです。

これって泥臭いことなので、引き合いがあってもあまり表に出さない感情ではあるのですが、でも同じ種類の泥臭さを谷本さんには感じたんですよね。それでお願いしてみることにした、という。

私は不確実性の高い人と付き合いたいと思ってるんです。自社の役員にもいつも話しているのですが、計算して確実なところにそつなく収まってしまうようでは大きくなれないぞ、と。そんな感覚でずっと仕事しても面白くないぞと。

自社の役員にも確実性を重視するタイプはいるのですが、それをうまくコントロールするのが自分の仕事だと思ってます。そこに谷本さんが方針を引っ張ってきて説得する、そういう役割分担がうまくできたかなと思います。

-ありがとうございます。役員の野村さんもこの話おっしゃっていて、深夜までずっと一緒に話し合いをしてあれは良かったと、ブレーキがいい意味で外れましたということをおっしゃっていました。

でもね、マネージャーは役員と違って免疫がないから、私がもし役員みたいに接したら、そういうことは心理的安全性を阻害すると思うので、直接話はあんまりしてないんです。

「MVVを業務の軸にもってくることが、長期的に会社の未来へ繋がっていく」

-そうなんですね。

今は月1回の対話は呼びかけてるけど、ただやっぱり、彼らは通常業務でやることがいっぱいありますから、「ミッションビジョンバリューのことはちょっとできるかどうかわかりません」とは言われたことはあります。

なので、それは違うよって、そうじゃなくて、「ミッション・ビジョン・バリュー半分、業務を半分」というバランスにしていかないと会社はうまく回りませんよ、ミッション・ビジョン・バリューを業務の軸にもってくることがミッション経営であり、長期的に会社の未来に繋がっていくんですよっていうこと言っています。

でも、そこは役員がマネージャーに語ることっていうふうに切り分けていきたいんですよね。役員にいつも伝えてはいるのですがなかなかまだ難しいところではあります。

社員たちの課題が大きいというか、今回のミッション経営は社員たちには気付きにはなっているんだけど理解したっていう程度だと思います。でもすべての社員に腹落ちさせることが次のステップかなと思うし、やっぱりここは役員に頑張ってもらいたいなと思ってます。

-心理的安全性はちょっとずつ組織内に以前より生まれていますか?生まれている場合、人材育成という観点ではどのようにお感じでしょうか。

例えばうちにも能力の高い営業社員がいるのですが、でもその能力を属人化してるうちは意味ないと思っています。役員候補のメンバーもいますが、やはりもうちょっと基礎力をつけたい。基礎がないと上にあげても結局潰れてしまいますよね。

MBTIって知ってますか?世界で一番有名な性格分析です。それを利用して今各部署で個人分析をしてるんです。それをやりながら、自分をちゃんと見つめて自分の目標を立てて、自分はどこ行きたいのか、っていうところを順序立ててやらないとと思っています。

そういう段階に持っていくためにも評価制度は作らないといけないというこということなんでしょうね。

「個人の想いと仕事を結びつける。それが会社のミッションに繋がっていけば最高」

-今、評価という話がありましたけど、今後ミッション経営をより強化していく中でどのような評価制度をされていきたいと思われてるんですか。

我々がやりたいのが、結果だけにフォーカスするのではない評価ですね。我々がやりたい経営って、人として成長していくところ、人としての成長を後押ししていくような評価制度。

それで全てじゃないんですけど、個人と既存の仕事をまず結びつける。個人の思いと今やってる仕事がどう繋がりがあるのか、そこを明らかにするためにまず個人にフォーカスしています。

個人は、10年後でも20年後でも30年後でもいいからどこへ行きたいんだということを徹底的に時間かけて掘り下げますよっていうことをやっています。これは7つの習慣や冒頭のベトナムの話と一緒なんですけど。

それからまずは自分が今やってる仕事とどういう関係性があるのかをできるだけ近づけるように。上司はそれを普段の仕事の中にちょっとずつ入れていこうってことをしています。1on1を利用したりしてですね。

あとは評価制度にどうそういう部分を紐づけていくか。仕事そのものが自分ごとになっていくきっかけになるし、それがチームミッションと繋がる可能性ある、そのチームミッションが会社のミッションと繋がる可能性もある、ていうふうに最終的に繋がったら、最高の形ですよね、評価制度って。

これからもっとリモート勤務を推進して置き換え可能なところはデジタル化するつもりなので、リアルをどういうふうに活性化させるか、が今の課題です。

2ヶ月に1回あるリアルをどういうふうに活性化するか、そのときのことを思いっきり考えています。そのときに絶対谷本さんが必要だと思うよってみんなには言ってるんです。

谷本さんはリアルが強い人ですよ。リアルの方が、谷本さんらしさが無茶苦茶出るんですよね。方法はオンラインでもいいんですけど、リアルの谷本さんの方がもっと魅力的な谷本さんが出る。で、これからオンラインは進むけど、オンラインが進むビジネスモデルの中でリアルの可能性ってめちゃめちゃあるんですよ。

リアル一辺倒だったときのリアルと、オンライン主流となったビジネスモデルの中にちょこちょこ出てくるリアルの価値は比べものにならないくらい上がるんですよね。

そういう時代になってくると私は思ってます。我々のビジネスもそういうふうにしていきたいんです。コロナが収束した後、全部元に戻っても意味ないですよね。変化は受け入れて活かさないと。

だから俺は出張行かないって決めてる。たまに1年に1回、ベトナムに行ったときの価値は、以前に毎月行ってたときよりも100倍上がるみたいな価値にしたいですね。

-ありがとうございます。実際ミッションビジョンバリューをご一緒に作らせていただいて、感触といいましょうか、福永さんはどうお感じでしょうか。

1年目に失敗したことは逆によかったなってみんな言ってて。

その失敗があったから今の成功があるので、これからもそういうことがいっぱいあるし、今回の小さな成功みたいなことは、単なるたまたまの成功だし、またいっぱい失敗するし、それを怖がってたら何もできないので、どんどんチャレンジはしていかないといけないよっていう話はしています。

数回、気づきを与えていただいたところで、なかなか人間の染みついた何十年の習慣と感覚って変わらないので、これで終わり、と思わないようにしています。

「不確実性の高い時代、自分がやりたい経営を突き詰めることも大事」

-なるほど、ありがとうございます。最後の質問なんですけども、ミッション経営については、御社以外もやろうとしていたり、取り組んでいるけどうまくいかない会社さんなどが結構多いんです。福永さんが今試行錯誤されている中で、同じ経営者としてそういった方にメッセージをお願いします。

私はミッション経営が、経営にとって絶対必要だとは思っていなくて、経営のやり方の一つだと思っています。はっきり言って効率悪いやり方じゃないですか。

そんなことしなくても、とにかくプロフェッショナルであることを求める、結果を出すことを求めるっていうミッションを立てて経営した方が簡単なんだと思うんです。でも社員の意見を変えてでも、ミッション経営をしたいっていうのは私のエゴですよね。

でも、私はそういう人材、そういう会社にしたい、そういう人集まれっていうことなんでしょうね。自分がやりたい経営を突き詰めるっていうのは、中小企業、谷本さんもそうですが、いろんなリスクを個人で抱えるので、やっぱり自分が何をしたいのかっていうのを見つけることが一番大事だと思っています。

そのための経営の手法っていうのをやっぱり常に考えておかないと、今もう普通のビジネスモデルが3年持つかどうかの時代になってきましたから。だから、ただ単にコテ先で売上利益でやってるだけではやっぱりもう通用しない世の中が日本なんですよね。

そう考えるとやっぱり自分はどういう経営をしたいのかなっていうのを考えて、ミッション経営をされるとか、どういう経営をされるかっていうのをお考えになるといい仕事人生を送れるんじゃないかなというふうに思います。

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