バリュー評価とは|書き方・導入事例・メリットとデメリット

7125
バリュー評価とは|書き方・導入事例・メリットとデメリット

昨今、ビジネス環境の急速な変化やその機能から、行動評価の手法としてバリュー評価が注目されています。

本記事では、バリュー評価の定義から、特徴、メリット・デメリット、コメントの書き方、導入事例まで解説していきます。

バリュー評価とは

バリュー評価とは、企業の価値観や行動基準、すなわちバリューをどれだけ実践できたかを評価する手法のことを指します。

メルカリなど、著名な会社が導入するようになったことにより、その注目度が上がるに至りました。

バリュー評価への注目の背景

バリュー評価はどのような背景から注目されるようになったのかを2つの観点から解説していきます。

労働観の変化

近年、働き方は多様化してきています。

それに伴い、会社を選ぶ際の要素として、自分に合ったバリューを体現しているかどうかが重要性を増してきました。

そのため、企業側はバリューを体現することで採用における競合優位性を高めることが可能になったのです。

バリューを理解・体現できる人材の必要性

ITの発展・普及によってビジネス環境は日々変化しており、企業はそれに対応するために柔軟な対応を求められています。

そのような外的環境の変化の中で、企業が重要とする価値観を理解しつつ行動できる人材が競争力を高めるために必要なため、バリュー評価が注目されるようになったのです。

バリュー評価の特徴

前述の背景によって注目されているバリュー評価はどのような特徴をもっているのでしょうか。

本パートではバリュー評価の特徴を3つに分けて解説していきます。

情意評価として一要素を担う

バリュー評価は、業績に対する評価や目標に対する評価とともに人事評価の一要素として取り入れられることが一般的です。

バリューを意識して業務に取り組むことは会社の成長に直接的にはかかわらないために、情意評価の尺度として取り入れられています。

相対評価が行われる

評価手法に絶対評価と相対評価がある中で、バリュー評価では一般的に相対評価が実施されています。

成果などと異なり、定量的な基準がないので、相対的にどこまで行動基準に沿って業務に取り組めたかにより評価が行われます。

多面評価が行われる

バリュー評価では同僚や部下も含めた複数人により評価が行われる点も特徴的です。

バリュー評価に限らず、評価一般において多面評価は行われており、360度評価とも呼ばれています。

コンピテンシー評価との比較

バリュー評価と似た評価手法としてコンピテンシー評価という概念が存在します。

両者の共通点と相違点について、それぞれ解説していきます。

コンピテンシー評価との共通点

バリュー評価とコンピテンシー評価の類似点として挙げられるのは、社員の行動に対して評価する点です。

どちらも行動を評価するために業績評価などとともに用いられます。

コンピテンシー評価との相違点

両者の相違点は、バリュー評価は前述のように企業の方針や価値観に沿った行動を評価する手法です。

一方、コンピテンシー評価は実際に高い成果を上げている人材(=ハイパフォーマー)に共通する行動特性をモデルとして、それに沿った行動を評価する手法です。

バリュー評価のメリット

では、バリュー評価にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

本パートではバリュー評価のメリットを2つに分けて解説します。

企業と従業員の方向性が合致する

社員が企業の方針・価値観を意識して業務に取り組むようになるため、会社として一体感をもってすすむことができます。

また、一体感を持って会社を経営することにより、生産性が上がり、利益が増大します。

従業員エンゲージメントが向上する

社員が会社の方針・価値観を意識して業務に取り組むことにより、従業員エンゲージメントが向上します。

そして、従業員エンゲージメントの向上により、離職率が下がり、結果として企業の成長につながります。


●退職者1人あたりの企業の損失とは?
●生産性向上につながる職場の雰囲気とは?
●離職防止のために人事・経営が採るべき施策とは?
●風通しの良い職場を実現し離職防止を強化するためのチェックリスト

>>【無料】離職要因と離職防止のためのチェックリスト22をダウンロードする

バリュー評価のデメリット・注意点

一方で、バリュー評価の採用にはデメリットや運用上の注意点があります。

本パートで4つに分けて解説していきます。

客観的な評価が難しい

バリュー評価は業績評価などと異なり、明確かつ客観的な数字によって評価することが困難です。

そのため、評価者の主観が入ることにより、評価の納得感が減少し、不満感につながってしまいます。

前述のように多面評価を実施することでできるだけ客観的な評価に近づけ、評価の納得感を高めましょう。

導入までのハードルが高い

バリュー評価の導入のためには、バリューを作り、それを運用しなくてはなりません。

また、バリューが頻繁に変わる場合社員からの不信感につながりかねないため、慎重に作る必要があります。

そのため、導入前にそのコストや時間がかかってしまうのです。

導入を考える前に導入によるコストを試算し、それを上回るリターンが得られるかを検討する必要があります。

バリューを浸透させないと効果が低くなる

バリューは全社員を評価し、報酬などに反映させるものであるため、全社員に理解可能なものでなくてはなりません。

また、理解可能であっても浸透していなくては適切な評価が難しいため、全社セミナーや説明会によって周知することが必要です。

社員の十分な理解を得られないままの運用は、制度の形骸化や社員からの不満につながりかねません。

バリュー評価を意味のあるものにするためにバリューの明確化、浸透は必要不可欠です。

目標設定が曖昧になってしまう

バリューが浸透したとしても、実際の評価に影響する目標が曖昧である場合、社員はどのように行動しなければいけないのか具体的な想像ができません。

そのため、具体的な目標設定により社員にバリューの意識の目標を意識させることが必要です。

目標設定がされていない、あるいはそれが曖昧であると、社員は何を意識して行動するべきかわからないため、評価への不満感につながってしまうのです。

バリュー評価の書き方のポイント

バリュー評価の実践において、評価に付随するコメントが非常に重要です。

どのようにコメントをすればよいかを3点に分けて解説していきます。

実践できている・できていない点を明記する

評価に際して、バリューの中でどの要素が実践できているか、どの要素の実践が足りないかを明確にコメントすることが重要です。

何が足りていないか社員が分からないと、社員個人の短期的・中期的な成長が損なわれてしまいます。

その結果、社員の不満感やエンゲージメント低下につながってしまうのです。

具体的な点数を設定する

評価に際してそれぞれの要素の実践度合いに点数をつけることは評価の納得感を高めたり、社員が自分の現状を確かめるうえで効果的です。

社員が自分の現状と目標との距離のおおよそを測れることにより、社員のモチベーションアップや目標達成率の向上につながります。

次の目標・目標達成へのプロセスを明記する

社員への評価の後、次の目標やその達成のためのプロセスを決定して明記することにより、社員が次に目指すレベルを明らかにすることができます。

社員が次の目標をどうするべきか、目標のために何をするべきかが明らかにならないため、目標達成率の低下やモチベーションダウンにつながってしまいます。

バリュー評価の導入事例

実際にはバリュー評価はどのように運用されているのでしょうか。

本記事では2つの導入事例を紹介します。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリはフリーマーケットサービス「メルカリ」を主軸とし、非上場でありながらその評価額は10億ドルを超える国内唯一の「ユニコーン企業」です。

株式会社メルカリで2021年に新たに導入された人事評価制度では、「期待と評価の道標」を掲げました。

基軸とする「グレード」の構成要素の1つとして「メルカリグループが定めるバリューを発揮し、実践できたかどうか」によって行動を評価します。

以下の図のようにバリューを「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」の3つとし、さらにその発揮行動をそれぞれ2つずつ定義し、合計6つの行動指標をバリュー評価の軸としています。

その結果、「バリューが高ければ成果は上がる」を前提とし、成果主義に偏重させないシステム確立に成功しました。

参考:メンバーの活躍を“大胆に”報いる──大幅アップデートされたメルカリ人事評価制度の内容と意図 | mercan (メルカン) (https://mercan.mercari.com/articles/27642/)2021年3月23日

Chatwork株式会社

Chatwork株式会社は、ビジネスコミュニケーションツールとして大きなシェアを持つサービス「チャットワーク」を展開しています。

Chatwork株式会社は、バリュー評価をOKRと結びつけたことにより成功した事例です。

人事制度改定によって「行動評価」「目標評価」「業績評価」の3つを設定し、行動評価にバリュー評価を取り入れましたが、達成率が評価に直結するOKRを評価の主軸に置いたことで保守的なOKRを設定するといった課題に直面しました。

その解決のため、以下のコアバリューとの共通点からOKRを導入した背景を活かし、「OKRを通してどれだけチャレンジしたか」を評価指標として組み込みました。

  • 自然体で成果を出す
  • いつも心にユーモアを
  • オープンマインドでいこう
  • ユーザーに笑顔を
  • 自分ごとで行動する

これに加え、ツールとしてOKRを置くことでコアバリューの体現のための人事評価制度導入に成功しました。

参考:【MEETUP#01 俺のOKR】Chatwork西尾氏「『俺のOKR』自然体で成果を出そう」(https://www.hito-link.jp/media/event/meetup-okr-01-chatwork)2018年10月26日
参考:style | Chatwork株式会社(https://corp.chatwork.com/ja/style/

まとめ

以上のように、本記事ではバリュー評価について解説してきました。

本記事で述べたように、会社のコアバリューを社員の行動に落とし込むうえでバリュー評価は非常に効果的です。

以上を参考にしつつ、行動評価の手法としてバリュー評価の導入を考えてみてはいかがでしょうか。

バリュー評価の設計・運用ならCo:TEAM(コチーム)

コチームコンサルサイト

コチームは、マネジメントの最先端「パフォーマンスマネジメント」を支援する国内初のマネジメントツールです。

パフォーマンスマネジメントとは、米国TOP500の世界的企業約30%が採用する、メンバーのパフォーマンスを高めるため、一人ひとりの持つ能力やスキル、モチベーションを引き出すと同時に、上司が効果的なフィードバックを行い、目標達成を目指すマネジメント手法です。

パフォーマンスマネジメントの平均的な効果

パフォーマンスマネジメントを実践することにより、上記のような効果が期待できます。

パフォーマンスマネジメントには「バリューを浸透する」ことが非常に重要になります。
バリュー評価やバリューの設計・運用等は、私たちが間違いなくお役に立てます!