「年上部下」の指導法とは?特徴・増加の理由・重要な2つの認識

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「年上部下」の指導法とは?特徴・増加の理由・重要な2つの認識

「年上部下」を持つ若手マネージャーの悩み

日本は、労働人口の減少、企業の生産性低下に伴い、終身雇用制度の雇用が厳しい状況にあります。

能力がある、結果を出す若手がどんどんと昇進し、「年上部下」へのマネジメントの機会も多くなっています。そんな若手マネージャーを最も悩ませる「年上部下」への悩みや具体的なマネジメント方法について解説していきます。

悩みの元になる「年上部下」の特徴

この記事をご覧になっていただいた優秀なビジネスパーソンの下には、こんな困った「年上部下」はいませんか?

指示を素直に聞いてくれない

指示をしたことに対して反発してきたり、指摘した改善点を受け入れてくれないなど、これまでの経験で培われたプライドが邪魔してしまうケースです。新しいルールややり方について、素直に受け入れてくれない年上部下が一定数います。

パフォーマンスが上がらない

「依頼した仕事がなかなか返ってこない」、「作業時間が長い」など自分や他部下と「年上部下」とのパフォーマンスのギャップに苦しんでいるマネージャーも多くいます。

情報処理能力や吸収力に劣り、素直さ、謙虚さが少なくなってきている「年上部下」のパフォーマンス向上はマネジャーの急務となっています。

ホウレンソウが足りない

報告、連絡、相談が少ないことに悩んでいるマネージャーも多いようです。これまでの経験から「自分でできる」というプライドを持つ年上部下が、ホウレンソウを行わないケースが発生しています。

特にプライドを持った「年上部下」は「相談すること」=「弱みを見せる」と捉えられており、若手マネージャーを悩ませています。


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「年上部下」が増えている理由

戦後の日本企業の成長を支えた人事制度は、従業員を定年まで雇用する「終身雇用制度」と、年齢や勤続年数に応じて賃金や役職を上げていく「年功序列制度」でした。

これらの制度は戦後の混乱期から、労働者の生活の安定、企業側の長期的な労働者の確保という点で、日本経済の発展に大きく寄与しました。

しかしながらバブル崩壊後、経済の停滞が起こる中、企業はコストを削減せざるを得ず、人件費カット、さらに見通しの立たない状況の中、定年まで社員を雇用し続けることが難しくなっていきました。

こうした状況から企業側は徐々に両制度を廃止し、成果や成績のみで評価する「成果主義」へと切り替える企業が増えていきました。

さらにコロナ禍におけるIT化の流れは成果主義を加速させ、より効率的、効果的に成果を出す若いビジネスマンがこれまでには無いスピードで昇進するケースが増え、マネージャーとして「年上部下」を管理することが増えていきました。

「年上部下」をいかにマネジメントできるかが重要

日本は超高齢化社会となった今、労働力人口(15〜65歳)は年々と減少し、「年上部下」を管理する若手マネージャーの数は年々増えていっています。いくら成果主義と言えども、企業活動を継続する上で労働力の確保は死活問題となっています。

「年上部下」を多く抱えながら、生産性、効率性を維持し、最大限成果を出さなければならないという、若手マネージャーの「年上部下のマネジメント能力」が問われている時代に入ってきています。

「年上部下」をマネジメントする上で重要な2つの認識

なぜ「年上部下」が扱いづらくなってしまうのか、まずは相手を理解していきましょう。

「年上部下」が「頑固」なのは老化が原因

「年上部下が言うことを聞いてくれない」「頑固」という若手マネージャーの悩みを良く耳にします。

そもそも、年齢を重ねるごとに人が頑固になっていくのは「脳の老化」と密接な関係があります。

人は老化とともに脳の情報処理速度が遅くなるため、脳は自然に「省エネ行動」をするようになっていきます。

新しい知識を学んだり、考えたりすることをできる限り減らし、これまでの経験や知識を使って、できるだけ思考せずに無意識的に行動を取ろうとします。

結果的に今までのやり方に固執したり、新しいやり方に対して批判的になるなど「頑固」な態度になるのは、この脳の老化からくる「省エネ行動」と言えます。

決してあなたのマネジメント力が無いわけでもなく、年上部下の性格でもなく、「頑固になってしまうのは生物学的な自然の流れである」という認識を持つことは、マネジメントの上で非常に重要なポイントです。

あなたと「年上部下」は「働く」価値観が違う

「モチベーションが低い」、「パフォーマンスが低い」…そう感じている「年上部下」を持つ若手マネージャーは多くいます。次に持つべき認識は、あなたと年上部下は「働く」ことの価値観が異なるということです。

年上部下が過ごしてきた時代は高度成長期〜バブル崩壊〜就職氷河期の時代。一方、若手マネージャーの多くがミレニアル世代やZ世代と呼ばれる世代です。世代によって社会情勢や国が掲げる教育方針は大きく異なっています。

幼い頃からスマホなどのデバイスに触れていたり、どこにいても世界とつながれた若手マネージャーにとっての「当たり前」は「年上部下」の彼らにとっては「当たり前」ではありません。

逆に「一つの会社に勤め続けること」、「長く働くこと」、「言われたことを言われた通りに実行すること」など、彼らにとっての「当たり前」は、若手マネージャー世代にとっては「当たり前」ではありません。

このように「年上部下」をマネジメントする上では「働く」ことの価値観が異なるということを念頭に置く必要があります。

「年上部下」を活かすマネジメント方法

扱いづらい「年上部下」活かすも殺すもあなたのマネジメント能力が問われています。成果を出すチームの一員として、「年上部下」のパフォーマンスを最大限引き出すために必要なマネジメント方法を解説します。

「年上部下」へリスペクトを持つ

「年上部下」は上下関係を厳しく教えられてきました。年下上司のあなたの言っていることは正しくても、言い方伝え方に注意しないと正しく受け取ってもらえません。

「年上部下」はあなたにとって人生の先輩です。気を使いすぎる必要もありませんが、一人の人間としてリスペクトしている姿勢を見せましょう。

できない部分、至らない点ばかりに目を向けるのではなく、「年上部下」の良い部分やチームに貢献している部分に目を向け、日頃から感謝を伝えるようにしましょう。

役職が変わった瞬間に敬語を使わなくなったり、偉そうに振る舞われるのは最も「年上部下」の反感を買うNG行動です。

コミュニケーション量を増やす

信頼関係構築のためには、コミュニケーションの質よりも量が重要です。

アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスの研究では「人は、同じ人やモノに接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持ちやすくなる」という「ザイオンス効果」を発表しています。

つまり、部下との関係性向上のためには業務内外においてコミュニケーションの回数を重ねていくことが非常に重要であるということです。

特に「年上部下」に対しては積極的にコミュニケーションを取るように心がけ、困っていること、ストレスに感じていること、どのような状況なのか、どうしたいかなど、「年上部下」が思っていること、感じていることなど1on1を通じて積極的に引き出すようなコミュニケーションを心がけましょう。


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命令から依頼、自分で選択させる

「年上部下」への伝え方は非常に重要です。

「○○をしろ」という上からの高圧的な表現では、反発が起きるのは当たり前です。で「○○してくれませんか」という依頼や「現状○○であるので☓☓をしたいのですが、どんなことを協力してもらえますか」といったように依頼の背景などをしっかりと伝え、自分ができるタスクを自分で選択させることも重要です。

信頼し、行動で示す

「あなたは組織にとって重要な存在」と考えていることを行動で示す必要があります。自分の中で答えがあったとしても、「どう思いますか」などと相談してみたり、他の部下には無い優れている部分を見つけたら褒めたりと、ポジティブなコミュニケーションを心がけましょう。

まとめ

今回は「年上部下」に対してのマネジメント方法を解説いたしました。

  • 「年上部下」は今後ますます増えていくということ
  • 「年上部下」の能力を引き出すためにはあなた自身のマネジメント力が問われているということ
  • 「年上部下」のマネジメントを成功させることがあなたのチームの成果を上げるということ

ということを認識し、日々のコミュニケーション方法から見直していきましょう。

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