SPIN営業術とは?ヒアリング手法・難易度の高い「示唆質問」のコツ【活用事例付き】

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SPIN営業術とは?ヒアリング手法・難易度の高い「示唆質問」のコツ【活用事例付き】

営業パーソンなら一度は営業スキルに関する書籍を手にとったことがあるのではないでしょうか。

ニール・ラッカム氏の著書である「大型商談を成約に導く『SPIN営業術』は営業スキルに関する書籍の中でも大変人気な書籍であるため一度は耳にしたことがあるかもしれません。

今流行りのインサイドセールスの業界でも、当たり前のようにSPINという言葉が使用されています。

SPIN営業術の中で一般的に示唆質問の難易度が高いと言われていますが、もし示唆質問をマスターできたらトップセールスの仲間入りも夢ではないかもしれません。

SPIN営業術とは

SPIN営業術はイギリスのニール・ラッカム氏が1988年に考案した営業手法で彼の著書「SPIN Selling」はニューヨークタイムズ誌のビジネスベストセラーに認められています。

1995年日本語訳され出版されたことで日本でもニール・ラッカム氏のSPIN営業術が知られるようになります。

他の営業手法がトップセールスマンの感覚から生まれたものが多い中で、ニール・ラッカム氏は自身がセールスパーソンではなく心理学者でした。

また、このSPIN営業術は12年間、20カ国以上、35000件の営業電話から調査、分析された科学的根拠に基づく営業手法であったことから新規性の高いものとなりました。

SPINは、汎用性と知名度の高い営業話法に関するフレームワークであり、PSS(Professional Selling Skill)と双璧を成していると言ってよいでしょう。

SPIN話法を駆使する事によって、ヒアリング能力を飛躍的に高める事が可能となります。

具体的にSPIN営業術はS、P、I、Nの4つの頭文字から始まる質問で構成れています。

成約率を高めるためには、この4つの質問をS→P→I→Nの順で用い、顧客の潜在的なニーズを引き出す事が必要になります。

ヒアリング能力を高めるSPIN話法のコツ

本パートでは、SPIN話法におけるヒアリングのコツを紹介します。

前述の通り、SPINによるヒアリングは、S:状況質問→P:問題質問→I:示唆質問→N:解決質問の4つの順で行うため、各質問の定義と成功のコツを解説します。

S(Situation Question):状況質問

状況質問は顧客の現状を把握するための質問です。

あくまで次の問題質問につなげるための質問であるので、全ての状況質問を必ず行う必要はありません。

むしろ、この質問が続くことで顧客に不快感を与えたり、他の質問をする時間がなくなってしまうので、事前に調査した上で仮定をしながら質問していくと良いかもしれません。

P(Problem Question):問題質問

問題質問は顧客の既存ニーズを確認するための質問です。

「〜について何か課題はありますか?」のようなオープンクエスションでも、「〜の課題はありますか?」のようなクローズドクエスションでもどちらでも構いません。

顧客が返答しやすいように、他社の事例を挙げながら確認することをオススメします。

I(Implication Question):示唆質問

示唆質問は顧客の潜在ニーズを引き出すための質問です。

顧客が気づいていない不利益について解決すべき課題だと認識させる必要があります。

ポイントは顧客自身に気づいてもらうことです。

ニール・ラッカム氏の調査では、トップセールスは他の営業パーソンに比べて4倍も示唆質問をしていたという結果が出ています。

N(Need-payoff Question):解決質問

解決質問は顧客のニーズに対してどのように解決ができるかをイメージさせるための質問です。

この時、自社のサービスと顧客の抱える課題がいかにマッチングするか、自社のサービスがいかに有効であるかを認識してもらえるかがポイントになります。

せっかく示唆質問まで上手く組み立てられても、自社のサービスや製品でそれを解決できないのであれば成約に繋がることはありません。

SPIN営業術の活用事例

例えば、弊社で営業する場合にどんなやりとりが想定されるか、SPINに則った商談の進め方例を挙げてみました。

状況質問(Situation Quesiton)の活用事例

営業「営業日報は運用されていますか?

顧客「はい。」

営業「御社では営業日報をどのように運用されていますか?

顧客「今はメールで営業日報を提出してもらっています。」

問題質問(Problem Quesiton)の活用事例

営業「営業日報では提出率が問題になるとよく聞きますが、御社ではいかがでしょうか?」

顧客「そうですね、確かに人によって提出率はバラバラですね。」

営業「営業日報が提出されないことで、何か困ることはありませんか?」

顧客「そうですね、弊社が今リモートワーク中でして、営業日報が提出されないとそれぞれのメンバーの様子がわからないですね。」

示唆質問(Implication Quesiton)の活用事例

営業「リモートワーク中なんですね!最近、他のリモートワーク中のお客様で突然の休職者や退職者が出ているとお聞きしていますが、御社様ではいかがですか?」

顧客「うちは今のところ大丈夫ですが、そういうことも実際に起きているんですね!」

営業「そうなんですよ。エンゲージメントサーベイ等を使ってメンバーの調子が悪いとわかった時にはすでに休職寸前だったとか、退職願いを作っていたとか手遅れになっているケースが多いようです。」

顧客「確かに日頃の様子が見えないと、未然に休職や退職を防ぐのは難しいですもんね。」

解決質問(Need-payoff Quesiton)の活用事例

営業「もし営業日報から自動的にメンバーに問題があった時に、自動アラートでお知らせしてくれたらどうでしょうか?」

顧客「それはいいですね!営業日報を片っ端からチェックしてるのですが、時間が足りなくなってしまうので助かりますね。でも、そもそもメンバー全員がちゃんと営業日報を提出してくれないと意味がないんじゃないですか?」

営業「その通りです!弊社のサービスでは・・・・で・・・・なので営業日報が定着しますよ。」

顧客「それはいいですね!詳しく聞かせてもらえますか?」

SPIN最難関「示唆質問」における3つのコツ

一般的には状況質問や問題質問は簡単なため、誰でも容易に質問することができます。

小型商談であれば、この2つの質問に解決質問があれば成約することができるかもしれません。

しかし、大型商談になれば示唆質問ができるかできないかで成約率に大きく差をつけてしまいます

では、なぜ示唆質問は難しいのでしょうか。

それは、示唆質問は顧客のことを顧客より知っている必要があるからです。

本来、潜在ニーズとは顧客が気づかないニーズであり、潜在ニーズを引き出すためには営業パーソンが顧客が抱えているであろう潜在ニーズを先読みして仮定する必要があります

そのため、示唆質問ができるようになるためには、ある程度の知識や準備が必要で、かつ情報の整理の仕方を知る必要があります。

既存顧客の本当の課題を知る

顧客のことは顧客に学ぶことが一番です。

自社のサービス、製品を購入してくれた既存顧客の本来の課題がどこにあるのかを事実ベースでまとめてデータとして蓄えましょう。

企業によっては分業制度によりカスタマーサクセス部署が知見を持っている場合があります。

情報を必ず共有してもらうようにしましょう。

示唆質問のパターンを知る

示唆質問をいくつかのパターンとして自分の引き出しに持っておくことが大切です。

いきなり示唆質問ができる人はなかなかいません。

本番のための準備を怠らないようにしましょう。

具体的にはSPIN営業術の具体例のような形で営業と顧客の2役で複数の質問パターンを作りましょう。

個人の知見としてではなく、チームで共有することで引き出しにしまっておけるアイディアが何倍にも増える可能性があります。

ワークショップ形式でチーム内の情報共有をしても良いかもしれません。

「As Is」「To Be」のフレームワークを用いて情報を整理する

どんなに一生懸命に準備をしても想定外のことが発生します。

せっかく聞き出した情報から落ち着いて示唆質問にもっていくために「As Is」「To Be」のフレームワークを用いることをオススメします。

「As Is」は現在の状態で現在進行形の情報。

「To Be」は理想の状態、つまり未来の情報となります。

SPINで質問をしながら、現在と未来どちらの話をしているのか、情報を整理していきます。

現在の状態が続くことでどのような不利益があるかを顧客に気づいてもらうための質問が示唆質問で、現在の状態から理想の状態に変化するために何が必要かを顧客に気づいてもらうための質問が解決質問です。

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まとめ

SPIN営業術は顧客の潜在ニーズを引き出し、成約率をあげるための科学的根拠のある営業手法です。

このSPINを使いこなすには示唆質問ができるようになる必要がありますが、一般的に難易度は高くなります。

示唆質問をするためには、まず示唆質問のパターンを自分の中に持っておいて、「As Is」「To Be」のフレームワークを用いて情報を整理し、「As Is」の状態が続く場合にどんな不利益があるかを質問しましょう。

これで明日からSPIN営業術を使いこなせるようになりますよ。